国税庁へ「国税庁主催の改正法人税等の説明会に係る情報保障について」を提出
2016年3月2日(水)全日本ろうあ連盟情報・コミュニケーション委員会は国税庁を訪問、国税庁主催の改正法人税等の説明会に係る情報保障について要望書を提出し、意見交換を行いました。
連本第150601号
2016年3月2日
国税庁長官
中原 広 様
東京都新宿区山吹町130 SKビル8F
電話03-3268-8847・Fax.03-3267-3445
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理 事 長 石野 富志三郎
国税庁主催の改正法人税等の説明会に係る情報保障について
時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
日頃より、私ども聴覚障害者の福祉向上にご理解ご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて当連盟は、2015年6月15日群馬県前橋市において開催された第63回全国ろうあ者大会にて、聴覚障害者の福祉施策に関する大会決議を行ないました。また、2016年4月より「障害者差別解消法」が施行され、障害者への合理的配慮のためにも、聴覚障害者への情報アクセス・コミュニケーション保障の整備が急務となっております。
つきましては、下記の通り要望いたしますので、その早期実現をお願い申し上げます。
記
都道府県および政令指定都市の所轄税務署が主催する改正法人税法等の説明会に主催の責務で手話通訳・要約筆記を付ける等、情報保障を図ってください。
また、貴庁から貴庁管轄の諸機関に、情報保障の実施について通知し、指導を図ってください
【説明】
公益法人等を有する団体は、法人税等の納税義務者になり、改正法人税、年末調整等の内容を理解するために国税庁等主催の説明会に出席する必要があります。現在、都道府県および政令指定都市の聴覚障害者団体のほとんどが法人格を有しており、経理に携わっている聴覚障害者の職員が増えています。聴覚障害の職員が納税業務を円滑に遂行するためには説明会において手話通訳、要約筆記を付ける等の情報保障が必要です。
本年4月より「障害者差別解消法」が施行されます。「障害者差別解消法」では障害のある当事者の申し入れにより「合理的配慮」を提供しなければならない、としています。更に、聴覚障害者への基礎的環境の整備や合理的配慮として、情報アクセス・コミュニケーション保障は国の責務であると考えます。
今後、貴庁及び貴庁管轄の諸機関が開催する説明会において、情報保障にかかる費用を予算化し、説明会における情報アクセシビリティを向上させてください。
【経緯】
○2014年
公益社団法人兵庫県聴覚障害者協会は神戸税務署に対し、改正法人税等の説明会(期日2014年10月23日)に聴覚障害のある職員が出席するにあたって、手話通訳を付けてほしいと要望したところ、情報保障の費用の予算化は地方の裁量で進めることができないとの理由で断られました。
○2015年
公益社団法人札幌聴覚障害者協会は、札幌西税務署に対し、年末調整説明会(2015年11月24日)に聴覚障害者の職員が参加するので手話通訳者を配置してほしいと申し入れたところ、特別扱いはできない、不公平になるとの理由で断られました。
北海道には「北海道障がい者条例」があり、2016年4月より障害者差別解消法も施行されるので、聴覚障害者の情報保障は必要と再度申し入れをしましたが、「配慮内容については国(国税庁)が考える」との理由を繰り返すのみでした。
結局当日は字幕付きDVD上映とページ数を手で示し資料読み上げで対応しましたが、聴覚障害職員は、読み上げられているページがどこなのか、時々迷いながら読み進めたとのことです。質問は別途個別相談窓口へ行くように促されましたが、説明会の場で質問することができず、個別相談窓口には手話通訳者が配置されていないため、その職員は窓口へ行くことはありませんでした。
参加した聴覚障害のある職員は、もちろんこのような対応は到底納得できるものではありませんでした。
参考:「北海道障がい者条例」http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/shf/jyoureitop.htm
以上