厚生労働省へ「障害者差別解消法に基づく衛生事業者向けの対応指針(案)」に関する意見を提出



2015年9月18日、全日本ろうあ連盟より厚生労働省へ下記意見を提出致しました。

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厚生労働省 健康局総務課企画法令係 御中(FAX番号:-)

件名:「障害者差別解消法に基づく衛生事業者向けの対応指針(案)に係る意見 」

団体名:一般財団法人全日本ろうあ連盟
    東京都新宿区山吹町130 SKビル8階
    TEL.03-3268-8847 FAX.03-3267-3445
    担当:理事長 石野 富志三郎

第2 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方

1.P10 (1)②正当な理由の判断
下線部・文言の追加

・(前略)事業者は、正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めること、また理解を得られない場合は、相談窓口等と調整を図ることが望まれます。

→理由:障害者から理解を得られない場合に、相談窓口が事業者と障害者の間に入ることで、調整・歩み寄りを図る必要があると考えるため。

2.P11 (2)①合理的配慮の基本的な考え方
下線部・文言の追加

・…代替措置の選択も含め、障害者が必要とするコミュニケーション手段(手話通訳者・要約筆記者等、通訳を介するものを含む)を用意したうえで、双方の建設的対話による相互理解を通じ、必要かつ合理的な範囲で柔軟に対応がなされるものです。

理由:障害者が必要とするコミュニケーション手段の準備があって、初めて双方の建設的対話ができるため。

3.P11 (2)① <意思の表明>
下線部・文言の追加

・意思の表明にあたっては、(中略)言語(手話を含む。)のほか、(中略)、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(手話通訳者・要約筆記者等、通訳を介するものを含む。)により伝えられます。

理由:障害者が適切に意思の表明ができるようにするためには、コミュニケーション方法の配慮だけでなく、コミュニケーションを支援する者についても明記する必要と考えるため。

4.P11~12 (2)① <意思の表明>
下線部・文言の削除
なお、意思の表明が困難な障害者が、家族、介助者・支援者等を伴っていないことなどにより、(中略)、当該障害者に対して適切と思われる配慮を提供するための提案をするための建設的対話を働きかけるなど、自主的な取組に努めることが望まれます。

理由:障害者がコミュニケーション等が難しいために「建設的対話」が難しい場合も想定される。厚労省「福祉事業者向け対応指針」の文言を参照されたい。

5.P12 (2)① <環境整備との関係>
下線部・文言の追加

・(前略)技術進歩の動向を踏まえた取組が期待されています。ただし、新しい技術の導入にあたっては、障害当事者団体の意見を踏まえ、障害当事者が本当に必要とする支援を導入できるよう、検討が必要です。(後略)

→理由:聴覚障害者を例にすると、テレビ電話による手話通訳サービスの導入にあたっては、今までの手話通訳者の配置も維持しつつ、新しい技術と人的支援の双方のメリットと障害当事者団体の意見を十分にふまえた環境整備が必要であるため。

<参考>全日本ろうあ連盟
「テレビ電話を使った手話通訳サービスに対する指針について
 ~地域協会の合意を取りつつ手話通訳制度の発展のために~」(2013年)
https://www.jfd.or.jp/info/2013/20130813-tvdenwa-shishin.pdf

第3 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の例

6.(2)合理的配慮と考えられる例
P15:下線部の削除
 また、事業者に強制する性格のものではなく、ここに記載された事例 であっても、事業者の事業規模等によっては過重な負担となる可能性があるため、事業者においては、法、基本方針及び本指針を踏まえ、合理的配慮の提供について具体的場面や状況に応じて柔軟に対応することが望まれます。

→理由:例示されている合理的配慮が事業者にとって「過重な負担」であることが前提のように読めるため。

7.P17 <情報提供・利用手続きについての配慮や工夫>
下線部・文言の追加

手話、要約筆記、筆談、図解、ふりがな付文書を使用するなど、わかりやすい説明を行うこと、必要に応じて、手話通訳や要約筆記者を用意すること

→理由:具体的なコミュニケーション手段と人的支援の双方の例示が必要と考える。
また、事業者として手話通訳者・要約筆記者等を用意するという考え方も必要と考えるため。

7.P17 <職員などとのコミュニケーションや情報のやりとり、サービス提供についての配慮や工夫>

下線部・文言の追加
手話・筆談等でやりとりやコミュニケーションをすること。また必要に応じて、手話通訳や要約筆記者を配置すること

理由:職員が相手のコミュニケーション手段に合わせてやり取りをすること、また、込み入った話の場合は手話通訳を配置する等、状況に応じた例示が必要と考えるため。

8.P21(3)障害特性に応じた対応について
文言の修正
聴覚・言語障害(ろうあ・難聴) → 聴覚障害 へ訂正
                「ろうあ・難聴」を削除

→理由:「聴覚障害」がよりわかりやすい表記と考えるため。

9.P21 下線部・文言の修正
〔主な特性〕
・先天性のろう者の場合は、手話でコミュニケーションをとる人も多い
・難聴者は補聴器や人工内耳で聞こえを補う

→ 聴覚障害者のコミュニケーション方法は手話、筆談、口話などがある。また補聴器や人工内耳で聞こえを補う人もいる。

→ 理由:難聴者でも手話でコミュニケーションをする人がいる。ろう者・難聴者の定義・線引きは難しい面があり、「聴覚障害者」に統一するのが良いと考える。

10.P23 下線部の削除

・聴覚障害者のコミュニケーション方法には手話、筆談、口話など様々な方法があり、一人ひとり異なる。また、どれか一つの方法で十分ということはない。相手が一番やりやすい方法でコミュニケーションをする。

→理由:聴覚障害者のコミュニケーション方法は様々であるため、相手のコミュニケーションしやすい方法で対応することが大切と考えるため。

11.P23 下線部の削除

・聴覚障害者に筆談で対応する場合は、相手の状況に合わせ、わかりやすい書き方を心がける。

理由:筆談の方法の具体的な明示が必要と考えるため。

12.P23〔主な対応〕

・手話や文字表示、手話通訳や要約筆記者の配置など、目で見てわかる情報を提示したりコミュニケーションをする配慮

理由:具体的なコミュニケーション手段と人的支援の双方の例示が必要と考える。
また、事業者として手話通訳者・要約筆記者等を用意するという考え方も必要と考えるため。

13. P45 下線部文言の追加
第4 事業者における相談体制の整備

・(前略)また、相談窓口には障害の特性に関する専門知識を有する障害当事者を含む外部有識者を入れ、地方自治体の相談窓口や障害者差別解消支援地域協議会、障害当事者団体、医療、教育、労働関係機関などとも連携して、差別解消に向けた取組を着実に進めていくことが望まれます。

理由:障害の特性についての理解があって、はじめて障害者及びその家族等の相談に適切な対応ができると考えるため。

2642字

 
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