総務省へ聴覚障害者の参政権等について要望書を提出



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 2014年5月16日(金)、3団体政見放送検討委員会(全日ろう連/全通研/士協会)は、総務省を訪問、聴覚障害者の参政権等について要望書を提出し、意見交換を行いました。
 
【写真】
総務省訪問:中橋情報・コミュニケーション委員会委員長(右)
 
【出席者】
全日ろう連/中橋道紀・吉原孝治
全通研/村石彰
士協会/真下京子・武居みさ・望月香代・宇田川恵子

総務省 政見放送関係事務担当者 様

三団体政見放送検討委員会
委員長 小 椋 英 子 

総務省訪問時(5月16日)の確認事項について

 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 日頃より、聴覚障害者の福祉向上にご理解ご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
 さて、5月16日午前に予定しております総務省訪問にあたりまして、下記の事項を確認したいと考えておりますのでよろしくお願いいたします。

1 聴覚障害者の参政権保障について
 2011年4月から、都道府県知事選挙の政見放送に手話通訳を付けることが認められ、参議院議員比例代表選出選挙、衆議院議員比例代表選出選挙と合わせ、政党(都道府県知事選挙では候補者)の「任意」という条件ながらも、手話通訳付政見放送が実現しており、手話通訳の付与率は徐々に上がっています。また、昨年の参議院比例代表選出選挙から字幕の導入が実現し、参政権保障が手話のわからない聴覚障害者にも拡大したことに対し重ねて感謝いたします。
 しかし、現状では、手話通訳が全くつかない政党(候補者)もあり、聴覚障害者の参政権を保障した政見放送とは言い難いのが現実です。聴覚障害者が国民の一員として平等に選挙に参加する機会をいただきたく、衆議院・参議院・都道府県知事選挙のすべての政見放送に手話通訳及び字幕を義務付けられるよう早急にご検討ください。

2 政見放送や候補者の演説等に携わる手話通訳者の身分について
 公職選挙法により「選挙運動に従事する者のうち、専ら手話通訳のために使用する者」には「報酬を支払うことができる」とされていることについて、公正・中立を重要な倫理とする手話通訳者が選挙運動員とされることは、手話通訳者の社会的信用に関わるだけでなく、基本的な人権としての参政権を求める聴覚障害者の取り組みが選挙運動とみなされる懸念があります。手話通訳者については、「選挙運動に従事する者」に含めないこととし、手話通訳者の社会的信用と公正・中立を保障するとともに、公務員の手話通訳者も従事できるように早急にご検討ください。

3 政見放送に関する研修会の公費開催について
 現在、政見放送の手話通訳を担っている者は、「政見放送及び経歴放送実施規程」により手話通訳士となっておりますが、毎年、資格を取得する新たな手話通訳士や関係法令等の改正の理解及び政見放送内容に関わる新しい手話の習得のために「政見放送従事者研修会」が必須となっております。現在、未実施である参議院議員選挙区選挙や都道府県知事選挙に対応できるよう、選挙ブロック毎での研修会を1年に1回以上国の責任の元に開催していただくようご検討ください。

4 政見放送収録における手話通訳の事後収録について
 現在、政見収録の録画については、政見及び手話通訳を同時収録としておりますが、字幕作成作業と同様に、政見を収録し、手話通訳を事後収録としていただくようご検討ください。

三団体政見放送検討委員会事務局
 一般社団法人日本手話通訳士協会
以  上