警察庁および消防庁を訪問、聴覚障害者の情報アクセスについての要望書提出と意見交換



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警察庁を訪問

消防庁を訪問

 2012年12月10日(月)・11日(火)、情報・コミュニケーション委員会及び連盟福祉・労働委員会は、警察庁および消防庁を訪問、聴覚障害者の情報アクセスについて要望書を提出し、意見交換を行いました。
 
写真(上)警察庁訪問:左より、吉原情報・コミュニケーション委員会副委員長、中橋委員長

写真(下)消防庁訪問:左より、中橋情報・コミュニケーション委員長、小出福祉・労働委員会副委員長
 

連本第120432号
2012年12月10日

警 察 庁
長官 片桐 裕  様

162-0801東京都新宿区山吹町130SKビル8階
 Tel03-3268-8847・Fax03-3267-3445
財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野 富志三郎

聴覚障害者の情報アクセスに関する要望について

 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 日頃より、私ども聴覚障害者の福祉向上にご理解ご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
 さて当連盟は、本年6月10日京都府京都市において開催された第60回全国ろうあ者大会にて、聴覚障害者の情報アクセスに関する大会決議を行ないました。ついては、下記の通り要望いたしますので、その早期実現をお願い申し上げます。

1.聴覚障害者・言語障害者向けの110番、119番FAX通報を全国で統一した番号で利用できるようにしてください。
(説明)全国各地で聴覚障害者・言語障害者向けの110番、119番通報が行える手段が整備されつつありますが、FAX119番については、直接"119"でFAX送信できるように改善されつつあるものの、自治体によっては"xxx-xx-119"といった、市外番号から入力しなければならないケースが見られます。また、FAX110番に関しては、"0120-xx110-xx"といった、都道府県によって異なる番号になっています。
 このような状況下では、旅行や遠距離移動などで住んでいる地域以外に移動した場合には、FAX110番、FAX119番を個別に確認する必要があり、その利用が非常に困難です。
 電話による通報では全国統一であるにもかかわらず、FAX通報ではすぐに利用できず、安全安心の面で大変な社会的不利益を受けています。
 全国で統一した番号で利用できるシステムを構築するとともに、FAX、メール110番のリストを公開してください。

2.「いつでもどこでもだれでも緊急通報出来る」新システムを整備して下さい。
(説明)現在整備が進められているFAX110,119番は在宅のときにしか使えず、メール通報は真に緊急なときには入力に時間がかかり通報が困難な場合もしばしばあるという課題があります。そこで、メール通報等の現システムを携帯電話や最近普及しているスマートフォンで、ボタンをクリックするだけで通報出来る新システムへの切り替えをお願いします。
 また、情報アクセシビリティの観点から、ろう者の言語である手話等で通報し、オペレータを通して司令室に音声で伝える電話リレーサービスの導入をお願いします。電話リレーサービスは、欧米や韓国等海外では、24時間365日無料で提供されております。日本でも通信費以外の費用負担がかからない形で緊急通報出来る「緊急通報リレーサービスセンター」を開設して下さい。
 また、緊急通報に関わる電話リレーサービスの実施費用をユニバーサルサービスで拠出できるように総務省に申し入れて下さい。

※国民生活に不可欠な基礎的電気通信役務(ユニバーサルサービス)
加入電話(基本料)又は加入電話に相当する光IP電話(※)、第一種公衆電話(総務省の基準に基づき設置される公衆電話)、緊急通報(110番、118番、119番)は、日本全国で提供されるべきサービスとして位置づけられています。

※なお、聴覚障害者からの緊急通報をいったん緊急通報リレーセンターが受理し、これを司令室に音声で転送する仕組みである以上、いたずら電話の増大というような心配はないことを申し添えます。

以 上

連本第120432号
2012年12月11日

総務省消防庁
 長 官 岡崎 浩巳  様

162-0801東京都新宿区山吹町130SKビル8階
 Tel03-3268-8847・Fax03-3267-3445
財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野 富志三郎

聴覚障害者の情報アクセスに関する要望について

 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 日頃より、私ども聴覚障害者の福祉向上にご理解ご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
 さて当連盟は、本年6月10日京都府京都市において開催された第60回全国ろうあ者大会にて、聴覚障害者の情報アクセスに関する大会決議を行ないました。ついては、下記の通り要望いたしますので、その早期実現をお願い申し上げます。

1.聴覚障害者でも使える、字幕またはテロップ等の文字表示機能付きのAED(自動体外式除細動器)の設置の義務化又は法制化を厚生労働省と連携して、取り組んで下さい。
(説明)全国の各地にはAEDを設置した、自治体、駅、空港、学校、会社を含める施設が加速的に増加しています。突然の心停止が発生した場合でも迅速に対応できる体制が確立されつつ、一人でも多くの命を助けることが国民にとって喜ばしいことであります。しかし、現在設置されているAEDはほとんど音声方式であるため、聴覚障害者には不向きとなっています。救急蘇生教育又は救急法講座を受けた聴覚障害者が大勢いるにもかかわらず音声方式のAEDでは使えない状況です。国や地方公共団体がバリアフリーで誰でも暮らしやすい、使いやすい社会実現への一つのステップとして字幕またはテロップ等の文字表示機能付きのAEDの設置の義務化又は法制化を図ってください。

2.聴覚障害者に対する防災情報伝達手段(音声情報の可視化対策も含めて)・体制を全国で統一して下さい。
(説明)「消防法」では警報機等の設置を義務付けていますが、音・音声による避難誘導では聴覚障害者にはその情報が伝わりません。非常時の際、その情報を得るのが遅くなればなるほど命の危険にさらされます。不特定多数の人が利用する公共の施設・ホテル等には、緊急時の報知機器に光・振動で知らせる装置をあわせて設置するよう義務付けてください。
 また、視覚的な情報伝達手段・体制について地域格差が起こらないよう、最低限必要な基準を設け、全国で確実に実施されるよう図ってください。

3.聴覚障害者・言語障害者向けの110番、119番FAX通報を全国で統一した番号で利用できるようにしてください。
(説明)全国各地で聴覚障害者・言語障害者向けの110番、119番通報が行える手段が整備されつつありますが、FAX119番については、直接"119"でFAX送信できるように改善されつつあるものの、自治体によっては"xxx-xx-119"といった、市外番号から入力しなければならないケースが見られます。また、FAX110番に関しては、"0120-xx110-xx"といった、都道府県によって異なる番号になっています。
 このような状況下では、旅行や遠距離移動などで住んでいる地域以外に移動した場合には、FAX110番、FAX119番を個別に確認する必要があり、その利用が非常に困難です。
 電話による通報では全国統一であるにもかかわらず、FAX通報ではすぐに利用できず、安全安心の面で大変な社会的不利益を受けています。
 全国で統一した番号で利用できるシステムを構築するとともに、FAX、メール110番のリストを公開してください。

4.「いつでもどこでもだれでも緊急通報出来る」新システムを整備して下さい。
(説明)現在整備が進められているFAX110,119番は在宅のときにしか使えず、メール通報は真に緊急なときには入力に時間がかかり通報が困難な場合もしばしばあるという課題があります。そこで、メール通報等の現システムを携帯電話や最近普及しているスマートフォンで、ボタンをクリックするだけで通報出来る新システムへの切り替えをお願いします。
 また、情報アクセシビリティの観点から、ろう者の言語である手話等で通報し、オペレータを通して司令室に音声で伝える電話リレーサービスの導入をお願いします。電話リレーサービスは、欧米や韓国等海外では、24時間365日無料で提供されております。日本でも通信費以外の費用負担がかからない形で緊急通報出来る「緊急通報リレーサービスセンター」を開設して下さい。
 また、緊急通報に関わる電話リレーサービスの実施費用をユニバーサルサービスで拠出できるように総務省に申し入れて下さい。

※国民生活に不可欠な基礎的電気通信役務(ユニバーサルサービス)
加入電話(基本料)又は加入電話に相当する光IP電話(※)、第一種公衆電話(総務省の基準に基づき設置される公衆電話)、緊急通報(110番、118番、119番)は、日本全国で提供されるべきサービスとして位置づけられています。

5.パトカーや救急車や消防車のサイレンと赤色警光灯との使い分けなどの方法について、聴覚障害者への配慮をお願いいたします。
(説明)パトカー、救急車、消防車はサイレンと赤色警光灯で、優先通行、赤信号通行を行えることになっており、一般車両はそれに従わなければなりません。しかし、中には警光灯のみでサイレンは鳴らさない巡回パトカーもあり、緊急車両でないので聞こえない人は混乱してしまいます。また、救急車の警光灯も点滅しないことがあり、気がつかなくて危ない思いをした聴覚障害者もたくさんいますし、車両移動のマイクの声も聞こえません。緊急車両とそうでない車両の区別や、どこからでも気が付きやすい警光灯、無線で携帯等の端末に緊急信号を知らせるシステムを開発するなど、聴覚障害者や視覚障害者などの障害者の安全を配慮した緊急車両を整備してください。

以 上