厚生労働省(障害者雇用対策課)へ「聴覚障害者の労働及び雇用施策への要望について」(研究会委員委嘱等)を提出
連本第110372号
2012年1月11日
厚生労働大臣
小宮山 洋子 様
〒162-0801東京都新宿区山吹町130 SKビル8F
電話 03-3268-8847・FAX 03-3267-3445
財団法人 全日本聾唖連盟
理事長 石野 富志三郎
聴覚障害者の労働及び雇用施策への
要望について
時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
日頃より、私たち聴覚障害者の福祉向上については深いご理解とご配慮をいただき、厚くお礼申し上げます。
さて、国連・障害者権利条約の批准に向けて、障害当事者が参画する「障がい者制度改革推進会議」において審議されてきた改正「障害者基本法」が2011年8月5日に施行されました。
貴省におかれましても障害者権利条約及び障害者基本法の趣旨に基づいて更なる聴覚障害者の雇用・就労環境の改善並びに社会参加のための施策推進をお願いしたく、下記の通り要望いたします。
記
1.障害者雇用促進法等、障害のある労働者に関する法の整備及び制定等の検討には、聴覚障害者をはじめ全ての障害者の意見を十分に反映してください。
(1)世界の障害者が「私たち抜きに私たちのことを決めないで」と採択に参画してきた障害者権利条約です。その精神を尊重し、障害者雇用促進法の改正及び整備等を検討する貴省の労働政策審議会障害者雇用分科会、他関連研究会に聴覚障害者をはじめとする各障害当事者団体に委員を委嘱し、当事者の意見を十分に反映させてください。
(説明)
現在障害者権利条約の批准に向けて、2010(平成22)年6月に閣議決定された「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」に基づいて、貴省において「雇用・労働分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する研究会」及び「障害者雇用促進制度における障害者の範囲等の在り方に関する研究会」が開催されています。2008年5月28日以来、毎年要望をしているにもかかわらず、研究会に聴覚障害者団体である当連盟への委員委嘱がないだけでなく、後述の研究会にはヒアリングにも呼ばれておりません。その根本には、聴覚障害者に深く関わりのある雇用・就労施策を検討する労働政策審議会障害者雇用分科会に、今まで当連盟に委員委嘱がなされていないという問題があります。
当連盟は障害者施策に関する厚生労働省(福祉施策)、総務省、国土交通省等各省庁の関係会議において委員委嘱を受け、意見を申し上げ施策に反映させていただいております。また「障がい者制度改革」関係では障がい者制度改革推進会議だけでなく、文部科学省中央教育審議会初等中等教育分科会「特別支援教育の在り方に関する特別委員会」等に当連盟より聴覚障害当事者が委員として出席しております。
このように我が国においても障害者権利条約批准に向けての国内法整備の検討には当事者参画が当然の流れとなっております。
しかし貴省の労働分野における審議会及び各研究会委員委嘱は障害当事者団体に広く門戸を開けることなく限定され審議が進められている状況は、障害者権利条約の理念を踏まえた国内法整備には程遠いものです。
2.障害当事者の参画する諸会議においては、当事者が議論に参加できるよう、合理的配慮をお願いします。
(説明)
「障害者雇用促進制度における障害者の範囲等の在り方に関する研究会」では、「障がい者制度改革推進会議」等で行われているような、「発言者が挙手をして座長の氏名を受けて、氏名を名乗ってから発言する」という基本的な運営がなされておりませんでした。このような基本的な運営がなされていないと、障害当事者である委員は他の委員と平等に議論に参加することが難しい状況になります。
障害者の雇用・就労施策を検討する諸会議の運営においても、「障がい者制度改革推進会議」に倣い、合理的配慮をお願いします。
以上