文部科学省生涯スポーツ課へ「聴覚障害者のスポーツ施策への要望について」を提出



連本第100317号
2010年10月22日

文部科学大臣
 高木 義明 様

162-0801東京都新宿区山吹町130SKビル8階
Tel03-3268-8847・Fax03-3267-3445
財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野 富志三郎

聴覚障害者のスポーツ施策への要望について

 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 日頃より、私ども聴覚障害者の福祉向上にご理解ご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
 さて、現在内閣府において「障がい者制度改革推進会議」が行われ、障害者の「文化・スポーツ」においても意見が交わされています。
 つきましては、さらなる聴覚障害者スポーツの施策推進をお願いしたく、下記の通り要望いたしますので、その早期実現をお願い申し上げます。

① 聴覚障害児のスポーツ活動を支援するため、地域一般校との交流活動を進め、障害にかかわらずスポーツを楽しむ機会の拡充を図ってください。
(説明)
 聾学校では児童数の減少により、学校教育におけるスポーツ活動は大幅に制限されています。学童期にスポーツを通して体験できる人間的な成長の機会を保障するためにも、現在行われている学校交流を一層促進するための施策の拡充を要望します。
 
② 小学校・中学校の教科書にオリンピック、パラリンピックとあわせ、「デフリンピック」等の障害者スポーツに触れる項目を作成し、その啓発を図ってください。
(説明)
 当連盟では今年度、独立行政法人福祉医療機構の助成を受け「ろう学校等におけるデフリンピック啓発事業」を行っております。この事業は、ろう学校の中学・高等部の生徒に、台北デフリンピックで活躍した選手の体験を知ってもらい、デフリンピックをよりいっそう身近に感じるとともに未来への様々な夢に向かって努力することの大切さを学んでいただくことを目的として取組む事業です。全国聾学校校長会の協力を得て、 今年度は18校を訪問し、事業を展開しておりますが、ろう学校においてもデフリンピックの認知はまだまだ低く、障害者のスポーツ全般がまだまだ社会的認知を受けられない状況が続いています。
 ぜひ障害者スポーツのすそ野を広げるためにも、小学校中学校で障害者スポーツについて教科書で取り上げるよう、国を挙げて指導を行ってください。
 
③ 聴覚障害児・者へのスポーツ普及振興及びレベルアップを図るため、地域でのあらゆるスポーツ活動において、積極的に障害者を受け入れる体制に力を入れるとともに、スポーツ指導者への「障害理解」の啓発に力を入れてください。
(説明)
 世界レベルの競技力を持つスポーツ選手を増やすためにも、聴覚障害児、者が常日頃からスポーツに親しみ、練習、競技を行うことができる環境を整備し、裾野を広げることが必要です。そのためにも、地域における「スポーツ教室」からスポーツクラブ活動に至るまで、障害者の受け入れに対する一定の基準を設けるなど、国が積極的な施策を打ち出すことで、受け入れ態勢が向上します。
 また、指導資格取得の際、障害に対する講習を義務化する等、競技団体が障害者の受け入れが容易に行えるような制度の設立を要望します。
 

以  上