厚生労働省へ「聴覚障害者のスポーツ施策への要望について」を提出



連本第090486号
2009年11月13日

厚生労働大臣 
  長妻 昭 様

162-0801東京都新宿区山吹町130SKビル8階
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財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野 富志三郎

聴覚障害者のスポーツ施策への要望について

 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 日頃より、私ども聴覚障害者の福祉向上にご理解ご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
 2009年9月5日から15日まで、台湾台北において第21回夏季デフリンピックが開催されました。日本からも選手・スタッフ併せ245名が参加し、金5個、銀6個、銅9個、計20個のメダルを獲得するという好成績を収めることができました。
 つきましては、さらなる聴覚障害者スポーツの施策推進をお願いしたく、下記の通り要望いたしますので、その早期実現をお願い申し上げます。

① デフリンピック派遣への国庫補助増額及び報奨金を拡充してください。
(説明)
 今回の台北デフリンピックへの選手団派遣に際し、初めて国庫補助金が交付されましたことに対し、深く感謝の意を表します。
 しかし、派遣に要する経費全額ではなく、3分の2の金額の補助のため、残りの3分の1を選手団で負担せざるを得ず、スタッフ一人当たり約11万円の負担をお願いせざるを得ませんでした。競技レベル向上のために努力してきた選手たちにとって、この負担は重荷となっています。つきましては、選手の負担を軽減させるため、国庫補助金の増額等の施策を要望いたします。
 また、パラリンピックにはメダリストたちに報奨金を支給し、彼らの努力と功績を讃えておりますが、デフリンピックでのメダリストに対しては報奨金の支給はありません。これは聴覚障害者のスポーツをパラリンピック、オリンピックと比較して低く位置づけるものではないかと感じます。
 デフリンピック選手団に対しても、オリンピック、パラリンピックと同様にメダリストへの報奨金支給の実施を要望いたします。

② 国民へのデフリンピック啓発のための事業に対する制度の創設及び拡充を行ってください。
(説明)
 台北デフリンピックに関するメディアの取り扱い、国民の関心は以前に比べれば高くなったものの、オリンピック、パラリンピックに比べるとまだまだ低いと言わざるを得ません。
 そのため、選手が所属している会社に派遣に伴う休暇を申請してもなかなか認められない、企業に派遣に対する協賛をお願いしてもなかなか認めてもらえない等、認知度が低いがゆえに起こる問題が多く存在します。
 これを解決するために、社会へのデフリンピック啓発普及事業を行ってきておりますが、まだまだ不十分であり、この事業をより一層拡充させていく必要があります。
 国民、社会へのデフリンピック啓発普及事業に対する取り組みに対する制度の創設及び拡充を要望いたします。

③ 全国障害者スポーツ大会について、出場資格を得たチームに対する予算配慮を充分に行ってください。
(説明)
 現在、全国障害者スポーツ大会への出場資格を得たチームが全て出場できる制度にはなっておらず、出場できるかどうかは、そのチームの所在する都道府県の予算によるという状況になっています。これは健常者の国体が出場資格を得たチーム全てが出場できるのに比べても不公平な状況となっています。
 このようなことが起こる背景として、都道府県行政の中には、まだ昔の障害者スポーツをリハビリと社会参加の促進の一環として位置付けていた考えが残っているからと推察されますが、障害者スポーツを競技スポーツの一種としてみるようになってきている世界の潮流から見ても、そのような考えは時代遅れとなっていることは明らかです。
 このような障害者スポーツに対する見方を改め、全国障害者スポーツ大会への出場資格を得たチームが全て出場できるようにするための、制度改善、予算的措置への配慮を要望いたします。

以  上