警察庁へ「聴覚障害者の福祉施策への要望」を提出
連本第090427号
2009年10月8日
警 察 庁
長官 安藤 隆春 様
162-0801東京都新宿区山吹町130SKビル8階
Tel03-3268-8847・Fax03-3267-3445
財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野 富志三郎
聴覚障害者の福祉施策への要望について
時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
日頃より、私ども聴覚障害者の福祉向上にご理解ご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、国連では昨年5月3日、障害者権利条約が発効しました。
日本においても批准に向け、国内法制度の見直しが求められているところであり、国におかれましてもさらなる聴覚障害者の福祉及び社会参加の施策推進をお願いしたく、下記の通り要望いたしますので、その早期実現をお願い申し上げます。
記
- 「道路交通法施行規則第23条」を改正してください。
(説明)
「道路交通法88条」の改正、及び平成20年度「施行規則第23条」の改正により、聴覚障害者へも運転免許取得の道が開けてまいりました。しかし、施行規則23条の免許試験(適正検査の聴力検査)は撤廃されず、また改正後も聴覚障害者が運転免許を取得できる車種が限定されるなど、依然として聴覚障害者の運転免許取得は制限されています。下記の通り、速やかに施行規則23条の改正をお願い致します。
(1)施行規則第23条の免許試験(適正検査)「聴力:10mの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえるものであること」を撤廃してください。(2)撤廃までの間、現行の施行規則第23条については、下記について早急に検討してください。
① 聴覚障害者が運転免許を取得できる車種を拡大してください。
② 聴覚障害者の運転免許に関する検討委員会に、聴覚障害者を委員として委嘱してください。
(説明)
今年度、警察庁内に検討委員会を設け、聴覚障害者がバイク等を運転するときの安全性を検証するとお聞きしています。しかしこの委員会に聴覚障害者が入っていません。
障害者の社会参加を保障する障害者権利条約第4条3項には「条約を実施するための法令や政策の策定・実施等について、障害のある人の団体を通じて障害者と緊密に協議し、積極的に関与させる」と規定しています。
聴覚障害者の運転免許取得も社会参加のためには不可欠です。聴覚障害者の実証実験への協力だけでなく、制度等を策定する際にはこのような委員会に聴覚障害者を委員として委嘱し、当事者が参画できるようにしてください。 - 聴覚障害者に対しては、教習所や試験場、更新時の教習等、免許取得までのあらゆる場面においての情報・コミュニケーション保障をお願いします。
(1)教習所での学科教習時の「ビデオ教材」への字幕・手話通訳の挿入や、更新時の講習、試験場での情報・コミュニケーション等、補聴器使用者を含めての対応(手話通訳者等の予算措置を含む)をお願いします。
(2)今回の改正で3種の運転免許証が発行されます。交通取締り等で混乱が起きないよう、警察官の聴覚障害者への対応について周知徹底してください。
以 上