厚生労働省へ「聴覚障害者の福祉施策への要望について」を提出



連本第080590号
2009年1月16日

厚生労働大臣
 舛添 要一 様

東京都新宿区山吹町130 SKビル8F
電話03-3268-8847・Fax.03-3267-3445
財 団 法 人 全 日 本 聾 唖 連 盟
理 事 長 安 藤 豊 喜

聴覚障害者の福祉施策への要望について

 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 日頃より、私ども聴覚障害者の福祉向上にご理解ご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
 さて、国連では、今年5月3日に障害者権利条約が発効しました。
 日本においても批准に向けて、障害者権利条約の趣旨に基づき、国内法制度の見直しが求められているところであり、国におかれましてもさらなる聴覚障害者の福祉及び社会参加の施策推進をお願いしたく、下記の通り要望いたしますので、その早期実現をお願い申し上げます。

1.聴覚障害者情報提供施設について下記事項を要望します。
 
(1)  重点施策5か年計画にも明記されているように、全ての都道府県に一日も早く、聴覚障害者情報提供施設を設置するよう、指導・支援を図ってください。また、相談員の配置とその人件費の新設を要望します。
 
(2)  聴覚障害者情報提供施設を、手話通訳派遣、相談機能を有するとともに、CS障害者放送統一機構による「目で聴くテレビ」放送に対応できる通信放送設備を備えた、地域の「聴覚障害者センター」に発展させるよう、予算を確保してください。
 
(3)  指定管理者制度の対象から聴覚障害者情報提供施設を除外して下さい。
 
2.障害者自立支援法の趣旨は、障害者が地域で生活していく力を促進することですが、ろう重複障害者が地域で生活するための受け皿がないという問題があります。ろう重複障害者の豊かな地域生活のために下記の事項を要望します。
 
(1)  ろう重複障害者の生活と職業について、全国的な実態調査を実施し、その結果に基づき、一日も早く施策を図るようにお願いします。
 
(2)  ろう重複障害者に働く場の保障を図ってください。
 
(3)  ろう重複障害者のためのグループホームの設置を行なってください。
 
3.日常生活用具について下記事項を要望します。
 
(1)  補聴器電池支給の復活をお願いします。
 
(2)  市町村に「アイドラゴンⅡ」支給についての通達を出すようにしてください。
 「アイドラゴンⅡ」は、「アイドラゴン」にない緊急情報受信機能を有することを理解していないため、「アイドラゴン」受給者が「アイドラゴンⅡ」を申請しても支給されないケースが報告されていますので、そのようなことがないよう、改めて通達をお願いします。
 
4.ろうあ者相談員について、障害者自立支援法の趣旨の中に相談支援事業が重要と謳われていることから下記事項を要望します。
 
(1)  地方自治体独自施策の「ろうあ者相談員」制度を厚生労働大臣公認「聴覚障害相談支援員(仮称)」制度に格上げするよう、お願いします。
 
(2)  ろうあ者相談員の専門性の確立と資質の向上を図るための研修事業費を新設して下さい。
 
5.障害者基礎年金について下記のとおり要望します。
 
(1)  障害基礎年金の所得制限を撤廃してください。
 
(2)  障害基礎年金において子を扶養する者が、等しく加算受給できるようにしてください。
 
(3)  国籍要件撤廃の対象以外の在日外国人に対して障害基礎年金を支給できるようにして下さい。
 
6.聴覚障害者福祉施策について下記の通り要望します。
 
(1)  ろう高齢者施設を全国各地に設置できるよう、財政的措置を図るとともに、一般の老人ホームにろう者が安心して共同生活を送れる環境や条件を築いてください。
 
(2)  介護保険制度における全ての段階で十分なコミュニケーションできるように保障してください。
 
7.AED(自動体外式除細動器)には聴覚障害者に対応した「文字ガイダンス(表示)」の義務化を薬事法などにおいて製造メーカーに指導してください。
 
(1)  近年、AEDの普及が全国的に進み、駅、公共施設、企業等に急速に設置されていますが、聴覚障害者がAEDを使用してもその音声メッセージが聞こえず困ることがあります。音声と文字表示のあるAEDの製造義務化、それに切り替える作業をするよう、関係機関に働きかけてください。
 
(2)  今後製造発売されるAEDは、ユニバーサルデザインの理念に基づき、誰でも使える機能を義務付けするよう、薬事法、AHA国際ガイドラインに働きかけてください。
 

以  上