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ストーリー
satuei2.jpg ある夏の暑い日の工務店。
63歳のベテラン大工、敬一(聾)が突然倒れた。
入院を拒む敬一は、最愛の恋人を病気で亡くした過去を引きずっていた。

それは昭和40年代にさかのぼる。
字幕がついていなかった映画を敬一の耳になって通訳してくれた早苗と将来を約束するものの、早苗の両親はろう者である敬一との結婚を決して許さなかった。
「私たちにも運転免許を!」ろうあ者の権利を訴える運動の記録映画を撮影していた敬一が夜遅く帰宅したとき、早苗が意識不明で倒れていた。
敬一の子どもを身ごもっていた早苗は息を引き取ってしまったのである。

30余年たった1999年、その年は運転免許や民法11条改正などを勝ち取ってきたろう者と手話通訳者の差別法令改正運動が頂点に達した年でもあった。
全国からの署名が150万を超えるとき、運動家の大川は早苗の死で中断した記録映画を、この大きなうねりの中で完成させたいと、敬一に続きを撮ってほしいと訴えた。
すでに肺がんに侵されていた敬一は迷った。

そんな時、敬一は薬剤師試験に合格しながらも欠格条項により国家資格を却下された尚美(聾)に出会う。
また自分の気持ちを舞台で表現したくてもオーディションになかなか受からないでいる吾朗(聾)にも出会った。

いま自分がやらなくて誰ができるというのだ!
このまま何もしないで天国で早苗に合わせる顔があるのか・・・。
敬一はカメラをもって立ち上がった。
記録映画を完成させて次の若い世代に手話と仲間の大切さを伝えていくために。