全国生活協同組合連合会・こくみん共済COOP(全労済)・中央共同募金会(教職員共済生活協同組合)の助成により作成しました

デフリンピックってなに?

デフリンピック
(Deaflympics)とは?

耳の聞こえないアスリートの
ためのオリンピックです。

デフリンピックとは、デフ+オリンピックのこと。デフ(Deaf)とは、英語で「耳が聞こえない」という意味です。デフリンピックはこくさい的な「ろう者のためのオリンピック」なのです。


オリンピックと同じように4年に1度、夏季大会と冬季大会がそれぞれ開かれます。ルールはオリンピックとほぼ同じですが、耳の聞こえない人のために様々な工夫がされています。


初めて開かれたのは、1924年のフランスの夏の大会でした。その時、9カ国、148人の選手が出場しました。2017年に第23回目の夏の大会がトルコのサムスンで行われ、史上最多の100カ国・地いき、約3,100人の選手が出場しました。残念ながらこれまで日本ではまだデフリンピックは開かれていません。100年近い歴史を持つ大会を日本で開くことを目指しています。


画像、2017 年、第23回夏季デフリンピック、サムスン、開催スタジアム
画像、2017 年デフリンピック、サムスン、聖火点灯
画像、2017 年デフリンピック、サムスン、日本選手団、行進

「世界一の高みをめざして夢咲かせよう」

第23回夏季デフリンピックサムスン2017

(2017年7月18日から30日 トルコ・サムスン市で開催)

「耳」が聞こえなくても
「目」でわかる方法とは?

スタートの合図など、
「音」の代わりに「目」で
見えるように合図を送ります。

デフリンピックのルールは、ほぼオリンピックと同じです。では、スタートの合図は、音ではなく、どのように聞こえない人たちに伝えるのでしょうか?


デフリンピックでは、「耳」が聞こえなくても、参加者が不利にならないよう「目」でわかる様々な工夫がされています。目でおぎなうことを「しかくほしょう」と言います。


「目」でわかる合図

例えば、100メートル走のスタートの出発音。光がピカッと光る『フラッシュランプ』でスタートを知らせます。『フラッシュランプ』は、バスケットボールやハンドボールなど、様々なスポーツでも活用されています。
他にもサッカーやラグビーなど、審判の笛の合図はどのようにしているのでしょうか。審判は笛を鳴らすとともに、旗をあげたり手をあげたりして選手に知らせます。選手が「目」でわかるように、様々な工夫が整えられています。

画像、サッカー競技で審判が使用する旗 1
画像、サッカー競技で審判が使用する旗 2

サッカー競技では審判 も旗を使用

画像、陸上競技で使用するスタートランプと音響装置 1
画像、陸上競技で使用するスタートランプと音響装置 2

陸上競技のスタート
ランプと音響装置

画像、空手競技で設置するランプ

空手競技ではランプを設置

画像、水泳競技で設置するスタートランプ

水泳競技場のスタートランプ

聞こえないとスポーツをする
上でどんなハンディがあるの?

耳が聞こえないことは、
”目に見えないしょうがい”
といわれています。 

耳が聞こえない人は、見た目からは聞こえないことがわかりません。しかし、スポーツをするうえで、聞こえる人にくらべて不利な点があることは、研究の結果からも明らかになっています。不利な点は、主に以下の2つあります。


1つはバランスがとりにくいこと。耳には「体のバランスを取る」という大切な役目があります。 そして2つめは、情報の量が少なくなること。
例えば、聞こえる人はチームメイトに「パスするよ」「こっちにパスをちょうだい」など、声でコミュニケーションを取って、次の動きをとります。ところが、聞こえないとチームメイトと常に目で合図し合ったり、手話によるコミュニケーションが必要になります。聞こえる人同士のプレーとは、別の作戦が必要になってくるのです。


では、1人でやるテニスなどのスポーツはどうでしょうか。スポーツは、「目」で見る以上に、「音」で様々なことを感じとります。風の音や打球音、ラケットなどスポーツ用具の音など。音は勝つためにとても重要なものなのです。


デフリンピックが行われることで、聞こえる人と聞こえない人との間にある「目に見えない壁」を取りのぞくきっかけになります。 日本でデフリンピックが行われれば、聞こえない人にとって、日本が今よりももっとくらしやすい社会になっていくのではないでしょうか。そのためにも、聞こえない選手同士がスポーツをすることはとても大切なのです。

イラスト、スタートの合図に気付けず戸惑う陸上選手

どのような人が出場できるの?

参加するために次の2つが必要です。 

①ふつうの声での会話(55デシベル)が聞こえない人

聞こえをサポートする「ほちょう器」など何もつけないで、耳で音を聞き取る力が55デシベル以上聞こえない人が参加できます。55デシベルというのは、ふつうの声での会話が聞こえないレベルです。


②記録と順位がすぐれている人

各国のろう者スポーツ協会(日本では「全日本ろうあ連盟」)の登録者のうち、デフスポーツ団体ごとに行われる選考競技会で、記録や順位など出場条件を満たした選手。
会場に入ったら、選手たちは試合のときも練習のときも、ほちょう器など聞こえをサポートする器具を身につけることはできません。なぜなら選手同士が「耳の聞こえない立場で公平にプレーする」ためです。


【参考】音の大きさはデシベル(dB)という単位で表します。数字が大きくなるほど音が大きくなります。60dBはふつうの話し声、70dBは掃除機の音、100dB以上で車のクラクションやジェット機の音が聞き取れないレベルです。

イラスト、手話で会話する二人

どのような競技があるの?

夏季大会と冬季大会で
以下のものがあります。

■夏の大会:(サムスン2017デフリンピックの種目)

陸上・バドミントン・バスケットボール・ビーチバレーボール・ボウリング・自転車・サッカー・ゴルフ・ハンドボール・柔道・空手・マウンテンバイク・オリエンテーリング・射撃・水泳・卓球・テコンドー・テニス・バレーボール・レスリング(フリースタイル、グレコローマン)


■冬の大会:(ハンティ・マンシースク2015 デフリンピックの種目)

アルペンスキー・クロスカントリースキー・スノーボード・カーリング・アイスホッケー

イラスト、スキー選手

デフリンピックに参加するには?

デフリンピックにどうやって
出場できるの?

次のような流れで、
選手として出場できます。

STEP
1

デフリンピックについて
自分なりに調べてみる

・学校の部活動の先生にデフリンピックのことを聞いてみる

・デフリンピックに参加できる種目は何か調べてみる

・近くにろうのスポーツ選手がいないか調べてみる。いたら話を聞いてみる

STEP
2

団体に問い合わせてみる

・デフリンピックに参加できる種目の中で、自分が得意な種目のデフスポーツ
競技団体に相談する

・自分がいる都道府県ろう協会に相談する

※国内にある団体を最後にリストでまとめました。

STEP
3

競技団体が行う合宿もしくは大会に参加する

・『全国ろうあ者体育大会(夏季・冬季)』など

STEP
4

各競技団体が定める
強化指定選手の条件を
クリアする

STEP
5

強化指定選手として登録する

・デフリンピックに向けた強化合宿に参加

STEP
6

日本代表として選出され、
デフリンピックへ出場!

イラスト、サッカー選手を目指す少年

「おうえん」はどうやったらできるの?

デフリンピックの会場やHPのライブ放送でおうえんできます。

❶ ツアーに参加して会場でおうえん!

旅行会社による「デフリンピックおうえんツアー」に参加して、ちょくせつ会場でおうえんする。

❷ 会場までいけない…そんなときは!

  • 大会公式HP(英語) / 大会全体についてはコチラをチェック!サムスン大会ではライブ放送が行われました。
  • 日本選手団特設サイト / 日本選手の試合スケジュールや結果をのせています。
  • デフスポーツ団体HP / 各競技団体のHPでは、その競技のくわしいレポートがのっています。

デフリンピックをサポートするには?

わたしたちにもすぐにできる3つのサポートがあります。

❶ デフリンピックのグッズを買う・使う!

グッズがたくさん売れると、日本代表選手が大会に参加する費用に役立てられます。また、たくさんの人がデフリンピックのグッズを身につけると、デフリンピックのことを知る人がふえて、大会がもりあがります。それがデフアスリートのみなさんをおうえんすることになります。

❷ デフリンピックをフェイスブックやツイッターなどのSNSで発信する!

グッズの写真や選手のこと発信したり、また「デフリンピックって知ってる?」など発信すると、デフリンピックを広くみんなが知ることができます。「デフリンピックを知る=聞こえない人のことをより良くりかいする」ことになります。

❸ お金を「きふ」をする!

1人でも、学校でも、会社でも、だれでも「きふ」することができます。「きふ」で集まったお金は、大会の準備・運営のために広く使われます。世界中からやってくるデフアスリートやそのスタッフのみなさんが、聞こえなくても日本で不便なくすごせるための様々なサポートにも使われます。それによって日本が、耳の聞こえないすべての人たちにとって、くらしやすい社会に変わっていきます。

デフリンピックコラム

なぜデフリンピックの
知名度を上げる必要があるの?

パラリンピックは日本でどれくらい知られているか98.2%

デフリンピックは日本でどれくらい知られているか11.2%

知名度があがると......

  • デフリンピックのためにお金を出してくれる会社
    (スポンサー)がふえる!
  • 選手がこれまで自分でお金を出していたのが少し楽になる!
  • 大会出場などによる休みを会社から取れやすくなる!

    など。

グラフ、パラリンピックの知名度 98 てん 2 パーセント、 スペシャルオリンピックス 19 てん 8 パーセント、 デフリンピック 11 てん 2 パーセント
画像、ふじはらさとい選手

デフリンピックに参加した人たち

デフリピアンに聞いてみました!

デフリンピックに出場すると、生活や意識はどう変わるのでしょうか。出場後の選手たちの変化について聞いてみました。

藤原 慧 (ふじはら さとい)

Satoi FUJIHARA

画像、ふじはらさとい選手
  • 2017サムスン大会出場 / 水泳競技
  • デフリンピックはどんなところ?

    それまでは聞こえる人の大会にしか参加したことがありませんでした。デフリンピックは、「聞こえないわたし」をオープンにし、わたし自身を最大アピールできる場所でした。

  • デフリンピックに出場して自分の中で、変わったところは?

    それまでは周りの目を気にしていたため、手話はできるだけ使いたくないと思っていました。しかし、デフリンピックをきっかけに手話はデフの人にとって大切な言語だと気づき、今、手話を勉強中です。

簑原 由加利(みのはら ゆかり)

Yukari MINOHARA

画像、みのはらゆかり選手
  • 2009台北大会/バスケットボール競技 2013ソフィア大会、2017年サムスン大会/自転車競技
  • デフリンピックはどんなところ?

    テレビで見たオリンピックとパラリンピックの光景と全く同じです!世界から集まる強ごうデフアスリート達が最高のパフォーマンスを出し、自分の結果も残せる数少ない大切な場です。

  • デフリンピックに出場して自分の中で、変わったところは?

    これで3度目の出場ですが、今大会でようやく自転車競技でメダルを取ることができました。自己意識を高めることができるようになったのは、チームの仲間とライバルである海外の強ごう選手のおかげです!

田井 小百合(たい さゆり)

Sayuri TAI

画像、たいさゆり選手
  • 2013ソフィア大会、2017サムスン大会/陸上競技(100mハードル)
  • デフリンピックはどんなところ?

    自分らしくいられる最高の場所。デフリンピックならではの競技環境、そして手話やジェスチャーで他国の人々と友好を深められる、オリジナルティあるとてもみりょく的な競技大会だと思います。

  • デフリンピックに出場して自分の中で、変わったところは?

    自分のしょうがいに対してより前向きになりました。すばらしい体験をもっとあじわいたいとも思ったし、何らかの形で今後かつやくが期待される若い選手の力になりたいと感じています。

デフリンピックでかつやくした選手たち

第23回夏季デフリンピック競技大会

第23回夏季デフリンピックは、トルコのサムスン市で2017年に開かれました。日本からは177名(選手108名、スタッフ69名)の選手団をはけんしました。日本選手団の大かつやくにより、過去最高のメダル獲得数27こ(金6、銀9、銅12)となりました。

水泳 Swimming

藤原慧 (ふじはら さとい)

Satoi FUJIHARA

画像、ふじはらさとい選手

サムスンでのせいせき

3

4

2

男子400m自由形

男子1500m 自由形
世界新記録

男子400mこじんメドレー

男子200mバタフライ

男子200m 自由形

男子4×200m
自由形リレー

男子4×100mメドレー

男子200mこじんメドレー

男子4×100m
自由形リレー

画像、ふじはらさとい選手

陸上 Athletics

画像、やまだまき選手

山田 真樹(やまだ まき)

Maki YAMADA

サムスンでのせいせき

2

1

男子 200m

男子4×100mリレー

男子400m

バレーボール Volleyball

画像、うがやさき選手

宇賀耶 早紀(うがや さき)

Saki UGAYA

サムスンでのせいせき

女子バレー

2度目の出場。今大会キャプテンをつとめ、全試合ストレート勝ち、4大会ぶリ2度目の金メダルへみちびきました。

第18回冬季デフリンピック競技大会

第18回冬季デフリンピックは、2015年にロシアのハンティ・マンシースクとマグニトゴルスクで開かれました。日本からは48名(選手22名、スタッフ26名)の選手団をはけんしました。そして、冬季デフリンピックとして、過去最高のメダル獲得数5こ(金3、銀1、銅1)となりました。

スノーボード・パラレル
Snowboard Parallel Slalom

画像、はらだのぼる選手

原田 上(はらだ のぼる)

Noboru HARADA

ハンティ・マンシースクでのせいせき

2

パラレル大回転種目

パラレル回転

スノーボード・男子ハーフパイプ
Snowboard Half-pipe (Men)

画像、つくいやすとも選手

津久井 康友(つくい やすとも)

Yasutomo TSUKUI

ハンティ・マンシースクでのせいせき

1

男子ハーフパイプ

スノーボード・女子ハーフパイプ Snowboard Half-pipe (Women)

画像、おおかわまやこ選手 画像、おおかわまやこ選手

大川 麻耶子(おおかわ まやこ)

Mayako OHKAWA

ハンティ・マンシースクでのせいせき

1

女子ハーフパイプ

画像、おおかわまやこ選手と、はなしまりょうこ選手 画像、おおかわまやこ選手と、はなしまりょうこ選手
画像、はなしまりょうこ選手 画像、はなしまりょうこ選手

花島 良子(はなしま りょうこ)

Ryoko HANASHIMA

ハンティ・マンシースクでのせいせき

1

女子ハーフパイプ

国内にあるデフ
スポーツ団体リスト

一般社団法人
日本デフ陸上競技協会

一般社団法人
日本デフバドミントン協会

特定営利活動法人
日本デフバスケットボール協会

一般社団法人
デフビーチバレーボール協会

一般社団法人
日本ろう者ボウリング協会

一般社団法人
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一般社団法人
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特定営利活動法人
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日本ろう者柔道協会

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一般社団法人
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ジャパン・デフ・アーチェリークラブ

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日本ろう野球協会

一般社団法人
日本ろう空手道協会

特定営利活動法人日本聴覚障がい者ラグビーフットボール連盟

一般社団法人
日本デフセーリング協会

特定営利活動法人
全日本聴覚障害者スキー指導員会

日本ろう者ソフトボール協会

一般社団法人
日本デフサーフィン連盟

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