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映画『ゆずり葉』ロケ地の地元応援団 第一弾イベント

「映画を成功させる会」(2008年5月31日)でロケ地として谷中、本郷が選ばれたとの発表を受け、おもに谷中・根津・千駄木地区(台東区と文京区の交流が盛んなエリア)で活動するメンバーが中心となって「映画を地元から応援しよう!」と映画『ゆずり葉』谷根千(やねせん)応援団を結成しました。
 地元での応援活動の第一弾は井戸端「手話」交流【1】「谷中を手話(てばなし)で歩こう!」

 7月5日(土)10時にJR日暮里駅に集合した21人(ろう者6人、手話習得中の人11人、手話初挑戦の地元の人4人)でスタート。
地元の人が歩きながら名所や見どころを案内すると、手話習得中の人たちがそれをろう者に手話通訳。逆に「谷中霊園」などの単語をろう者が手話で表現すると、習得中の人たちが地元の人に声の通訳。「なるほど、“霊園”という手話はいっぱいあるのね」と手話習得中の人たちも勉強になったようです。
 谷中は路地や小路が多く、おせんべいを食べつつ猫になった気持ちで一列縦隊で進みます。手話は伝言ゲームのように後ろに伝わっていきました!

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photo3.jpg霊園では、五重塔跡を見学。
ここには、江戸時代には、関東一高い塔が建っていたと説明を受けて一同ビックリ。
「再建したい」という地元の願いにエールを送るつもりで、記念撮影では参加者が手話で五重塔などを表わしました。
霊園の近くには、江戸時代から残っている築地壁もありました。
那須さんが武士の格好をして築地壁の前で刀を振り下ろす真似をしてみんなを笑わせてくれました。
手話にも江戸時代にふさわしい手話があると知って感心する手話初挑戦の人たち。

photo10.jpg蛍坂を降りて、谷中コミュニティセンターで休息。ここでは長年、台東区聴覚障害者協会の方々の尽力で手話の講習会も開かれてきました。隣には「初音の森」という防災広場もあります。
 ここから児童遊園の中にある「みしま地蔵尊」に立ち寄りました。太平洋戦争中の昭和20年3月4日、谷中地区は 米国のB29爆撃機の空襲を受け、死傷者約500人、全半壊家屋約200戸の被害を蒙りました。その霊を供養するために建てられた地蔵尊です。
 今回の手話習得中の参加者の中に、浅草生まれ、浅草育ちの方で、戦争中だけ兄の家のあった谷中で暮らした方がいらっしゃいました。その方が手話で三崎坂での空襲の様子を手話で語ってくれました。
 活字以上に生々しくその様子は手話によって語られました。でも、誰も目をそらそうとはしませんでした。真剣に伝えたいという気持ちが全員に伝わったからだと思います。

photo4.jpg「住まいの町医者」として愛される工務店さんを見学して、谷中銀座商店街で昼食をとりました。肉屋さんで出来たてのほかほかのコロッケを買って、その場でパクっ。


photo5.jpg午後は「夕やけだんだん」という石段の前に集まってスタート。谷中銀座商店街を抜けて、よみせ通りからへび道(明治時代は小川が流れていました)を通って、ギャラリー猫町での、猫アート、グッズに猫好きは大はしゃぎ。つづいて染物屋の丁子屋さんで女性陣は足止め?!
 あかぢ坂から玉林寺への長~い路地を抜けると、そこは井戸だった!
 井戸端「手話」交流にふさわしくここで会話をしていると、井戸のご主人が出てきて、特別にお許しをいただいて、実際に井戸から水を出させていただきました。冷え~。暑さが吹っ飛び元気を取り戻す一同。
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 さあ、谷中巡りもあとわずか。でも、チラシに書いてあった「町だけに通じる手話は?」「仏像さんと手話の出会いは?」と思っていると、見えてきたのが、「みかどパン」という看板の小さなお店。「小さいけれど谷中の人たちの象徴なんです。知らないとモグリ?です。」と地元参加者は口をそろえて言いました。なぜ、なぜ? 「みかどパン」を見守るヒマラヤ杉に尋ねたら教えてくれるかもしれませんね。

photo7.jpgすると、ヒマラヤ杉が言いました「みかどパンにふさわしい手話を創ってくれたら、教えてあげよう。」。えっ? 気のせい? ヒマラヤ杉が話すわけがありません。それでも那須さんは答えました「3つの道の角にあるから、みかど。手話なら、こう表そう!」。

ヒマラヤ杉は枝を揺すって大喜びしていました。一同も大喜び。地元の谷中の皆さんもぜひ「みかどパン」の手話を使ってみてくださいね!

photo8.jpg 最後にそのすぐ近くにあるお寺さんにお邪魔しました。ここは予定のコースではありませんでしたが、参加者から、「手話を習っている住職さんがいらっしゃる」ということで連絡をとって、急きょ立ち寄らせていただくことになったところでした。
 気さくな女性の住職さんが玄関でお出迎え頂き、本堂までご案内頂きました。ご本尊の前で緊張していると、住職は手話でやさしく挨拶され、お寺の説明や講話もしてくださいました。「よいことは別のかたちでかえってくる」、参加者の一人も立ち上がって手話通訳をしてくださいました。
photo9.jpg仏様の手とご住職の手と私たちの手。とても温かいものを感じて一同、ご住職に感謝。350年の歴史をもつ谷中のお寺のご住職。ゆずり葉のようにして代々受け継がれてきたものを感じてご一緒に記念撮影をして、私たちの谷中巡りの旅も終えました。

(映画『ゆずり葉』谷根千応援団 坂部)