(訳注:「WFD World Congress」の日本語表記について、これまでは「世界ろう者会議」と呼んできましたが、今後は「WFD世界会議」に統一してまいります)
世界ろう連盟(WFD)は4年に1度、「WFD世界会議」と「WFD評議員会」を開催しています。次回の「WFD世界会議」は2027年に開催される予定です。WFDは134の正会員で構成されており、WFD規約により、評議員会が最高意思決定機関として機能し、行動計画や次の「WFD世界会議」の開催地を決定しています。
2023年7月に韓国の済州で開催された「WFD評議員会」において、評議員会は、次回2027年「WFD世界会議」の開催地をアラブ首長国連邦(UAE)に決定しました。評議員会終了後、WFD理事会は19の正会員から、WFD規約に定められた臨時評議員会(EGA)の開催を求める動議を受け取りました。EGA招集の主な目的は、2027年の「世界ろう者会議」開催地の再投票を行うことでした。WFDがEGAを開催するのは今回が初めてのことでした。
EGAは2023年10月21日に開催され、正会員はZoomで参加しました。WFDは、WFD規約に従い、すべての正会員の平等な参加と投票機会を確保するための規則と規定を実施しました。会場の使用を許可してくださったWFDの地域協力会員である欧州ろう連合(EUD)に感謝いたします。
EGAでは、ノルウェーが立候補を取り下げました。その後、正会員による投票が行われ、賛成64、反対10でUAEへの支持が再確認されました。これにより、UAEが、2027年に開催される「第20回WFD世界会議」の開催国に決定しました。UAEに祝意を表します!
アラブ地域で「WFD世界会議」が開催されるのは初めてであり、歴史的な出来事です。この大会がアラブ地域のろう者が直面する人権問題に対する認識を高め、地域および世界のろうコミュニティの発展を促進することを願っています。
民主的なプロセスの結果、UAEが次回の「WFD世界会議」の開催国となることが再確認されました。WFDは世界各国から集まった134の正会員で構成されており、その背景や人権に対する考え方は様々です。WFDは、次回の「WFD世界会議」におけるろうのLGBTQIA+に関するトピックについて、一部の会員やろうコミュニティが懸念していることを認識しています。WFDは、人種、国籍、宗教、ジェンダー、性的指向、年齢、その他の違いに関わらず、平等、人権、すべての個人を尊重するというWFDの理念を、この場で改めて強調します。WFDは世界中の正会員と協力し、各組織においてこれらの価値観を推進していきます。複数の正会員により、今後の立候補国における人権状況に関する審査基準の策定が要請され、これは今後の評議員会に提出することを目的としています。
WFDは、手話言語を使用するろう者とその関係者に特に焦点を当てた、人権に関する様々な国連条約を積極的に支持し、推進しています。これらの価値観は「WFD世界会議」のガイドラインに概説されており、開催国はこれに従うことが義務付けられています。WFDは、2027年に開催される「第20回WFD世界会議」と「WFDYSキャンプ」を成功させるため、WFDの価値観が確実に実施されるよう、正会員であるUAEと緊密に協力することを 約束します。
WFDは今後も、次回の「WFD世界会議」の開催に関する最新情報をお知らせします。また、2027年にUAEで皆様をお迎えできることを楽しみにしています。
WFDはイスラエルとガザ地区の現状を注視しています。WFDの最優先事項は、この地域のろう者の保護と安全です。WFDはパレスチナの正会員とイスラエルのろう協会に支援を申し出ています。
WFDはすべての当事者に対し、ろう者の存在に留意し、この紛争において他の民間人と同様に彼らの安全と保護を確保するよう呼びかけます。
「武力紛争におけるろう者の保護と安全のためのガイドライン」(和訳:https://www.jfd.or.jp/2022/07/04/pid23918)をお読みください。
マイノリティ問題特別報告者のフェルナンド・デ・ヴァレンヌ博士(Dr. Fernand de Varennes)は、タジキスタンのドゥシャンベで、WFD正会員であるタジキスタンろう協会の代表者と会議を行いました。会議の目的は、タジキスタンにおけるろう者の言語的・文化的権利について議論し、自国手話言語の承認、インクルーシブで質の高いバイリンガル教育の提供、情報・コミュニケーションへのアクセス、専門的で資格のある手話言語通訳サービスの提供など、様々な分野でろう者が依然として直面している障壁を明らかにすることでした。WFDはこの会議の準備を行いました。
特別報告者は2024年3月に人権理事会に報告書を提出する予定です。タジキスタン政府は報告書の所見と勧告に回答するよう求められます。
この会議は、タジキスタンにおけるろう者の権利を擁護するための重要な一歩です。
OHCHR協議会への参加
人権理事会の委任により、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の人権・障害ユニットは、2023年10月、障害のある人のコミュニティ・インクルージョンを可能にする支援システムの最良の方法(グッドプラクティス)に関する報告書のための意見を集めるため、市民社会との革新的なオンライン協議会を実施しました。
WFDからは、理事のフランク・フォリノ(Frank Folino)、事務局長のパメラ・モリーナ(Pamela Molina)、人権担当のデルフィーヌ・リ・メール(Delphine le Maire)が代表として参加しました。セッションで取り上げられた問題は、社会保護、人的支援、インフラストラクチャー(住宅や交通などの生活の基盤となる設備)、ガバナンスに及びました。WFDは、この協議に寄稿し、ろう者の人権と言語的権利を取り上げたインクルーシブな報告書を期待しています。この報告書は、2024年3月に開催される次回の人権理事会で提出される予定です。
エルサルバドル正会員との会議
WFD正会員のエルサルバドルは、国内における「文化の盗用」の問題に直面しています。エルサルバドルはアドバイスを得るためにWFDに支援を要請しました。WFD事務局長パメラ・モリーナ(Pamela Molina)と、ロジスティクス補佐のアレハンドロ・ロペス(Alejandro Lopez)が指導を行いました。また、WFDは、エルサルバドル政府宛に支援の書簡を送りました。
特に中央アメリカとカリブ海諸国をはじめとするいくつかの国は、同様の問題に直面しています。WFDは、会員への支援と指導の活動を続けていきます。
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