厚生労働省にきこえない・きこえにくい者の権利保障に関する要望書を提出
5/13(水)、福祉基本政策プロジェクトチームより厚生労働省へ要望書を提出しました。
| 担当課 | 「福祉基本政策プロジェクトチーム」 |
|---|---|
| 社会・援護局 障害保健福祉部障害福祉課 福祉サービス係 老健局 高齢者支援課 企画法令係 老健局 認知症施策・地域介護推進課 基準第二係 |
・全日本ろうあ連盟 副理事長:中西 久美子 理 事 :大竹 浩司 ・全国高齢聴覚障害者福祉施設協議会 内川 大輔 吉見 剛二 ・全国ろう重複障害者施設連絡協議会 佐藤 喜宜 ・特別養護老人ホームななふく苑 大川 晴香 鈴木 恵子 |

連本第260001号
2026年5月13日
厚生労働大臣
上野 賢一郎 様
東京都新宿区原町3-61 桂ビル2階
電話03-6302-1430・Fax 03-6302-1449
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理 事 長 石橋 大吾
きこえない・きこえにくい者の権利保障への要望について
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
日頃より、きこえない・きこえにくい者の社会参加の促進にご理解とご支援を賜り、心より感謝申し上げます。
近年、「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」の成立や、「改正障害者差別解消法」による合理的配慮の義務化により、情報アクセスとコミュニケーション環境の改善が期待されています。さらに、2025年6月には「手話に関する施策の推進に関する法律(手話施策推進法)」が成立しました。
しかしながら、地域によって対応に差が見られるなど、依然として解決すべき課題が残されています。
全日本ろうあ連盟では、聴覚障害者情報提供施設、ろう重複障害者団体、ろう高齢者団体など関係諸団体と協議し、きこえない・きこえにくい者の生活と権利を守る施策の充実をめざして、を下記のとおり統一要望として取りまとめました。
つきましては、これらの要望を施策に反映し、必要な予算措置を講じていただきますようお願い申し上げます。
記
①介護報酬に設定されている「障害者生活支援加算」について、2024年に改定された障害福祉サービスの「視覚・聴覚言語障害者支援体制加算」と同様の単位(51単位/日)への引き上げを行ってください。
全国高齢聴覚障害者施設協議会に加盟する高齢聴覚障害者が多く利用する4施設(京都・大阪・埼玉・兵庫)で、2015年(平成27年)に3日間のタイムスタディ調査を実施しました。その結果「すべての支援のうち30%が情報・コミュニケ-ション支援」であり、「身体介護や生活支援・活動支援とコミュニケ-ション支援は、常に一体的に行なっている」ことが明らかになりました。この結果は、2005年(平成17年)に全国ろう重複障害者施設連絡協議会が実施した結果と同様になりました。それを受け、厚労省に加算の引上げをお願いしたところ、2018年(平成30年)から「障害者生活支援体制加算Ⅱ」が創設され、入居者の50%が障害者の場合、26単位から41単位へと拡充され、障害者生活支援員も1名から2名に増員されました。これにより、個別の相談支援はもちろん情報提供や各種学習の機会の提供、集団的自治活動等の取り組みの充実が実現しました。
2025年9月10日の交渉時には、「介護保険制度は被保険者の要介護状態等に対して保険給付を行うものであることから社会保障審議会、介護給付費分科会にて関係者や有識者の意見をいただきつつ、慎重に検討する必要がある」との回答を頂きましたが、きこえない高齢者の場合、単なる身体機能の低下による要介護状態の重度化だけでなく、これまで習得・使用していた手話言語等のコミュニケーション手段も年齢や身体機能の低下等により(手指の)動きに制限がかかることで意思疎通(発信と受信・理解等)には更なる困難さと時間を要することになります。また、身体的な問題がなくても、状況や説明の把握に時間を要するようになることから、きこえない高齢者に対しては、介護支援とコミュニケーション支援(説明)を一体的に行う必要があります。 そのため、これまで以上に長時間の介護支援が必要となる状況が生じています。
障害者支援施設等で生活していた聴覚障害を持つ利用者が高齢になり、高齢者介護福祉施設(特養)に入居した途端に、加算が減額されます。高齢による身体機能や認知機能が低下は、それまで以上に専門的かつ丁寧な情報・コミュニケーション支援を要します。このことを踏まえ、障害福祉サ-ビスの「視覚・聴覚言語障害者支援体制加算」と同様の単位への引上げをしてください。2025年の交渉以降、検討して頂いた内容と今後の方向性等の進捗をお聞かせください。また、本件につきまして、障害福祉課の担当者様のご意見もお聞かせください。

(令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要より抜粋)
②高齢聴覚障害者が在宅生活を継続するために必要となる短期入所事業にも、「障害者生活支援加算」を適用してください。
2021年度に実施した「タイムスタディ調査」からも特養の長期入所と同様、短期入所事業でのコミュニケーション支援が、支援に係る総時間のうち31%にものぼるという結果が出ています。
これまでの交渉時に貴省担当者が発言された「本サービスは短期間施設に入所する在宅サ-ビスである」ことは承知していますが、独居や家庭内での虐待、アルコール依存症、退院後の安静と健康管理、周辺住民との関係不和等の事情を抱え利用する方が多く、特養の入居者以上に、抱える問題は多岐にわたり個別の相談・支援が必要なため『長期利用減算』が生じることを覚悟の上で、命と暮らしを守るために特養に入居できるまで長期間受け入れざるを得ない実態があります。
また、手話言語でのコミュニケ-ションが可能な職員を配置し、介護・支援を行なうことで新たな課題や要求が明らかになります。個々が抱える課題や願いを施設職員が聞き、担当のケアマネや関係機関と連携・協議し課題解決を図ることで、健康で安定した在宅生活が継続できるなど、手話言語のできる職員は、重要な役割を担っています。
「利用者の中にろう高齢者が利用している日といない日があるため限られた人材を施設に派遣することは困難」と発言がありましたが、ろう高齢者の利用者数は日によって若干の差はあるものの、常時、ろう高齢者が利用していることに加え、緊急時には、ショートスティを利用することも踏まえ、手話言語等によるコミュニケ-ションができる職員を配置しています。職員採用が厳しい今日、手話言語等ができる専門性の高い職員を最初から採用・配置することは困難です。そのため採用後に、手話言語技能の習得を行ない手話言語ができるようになった職員を常時配置し、いつでもきこえない高齢者がショート利用しても安心してもらえる体制を整えておくことが求められます。これら、利用の実態と専門性の高い介護支援を行なっていることを理解いただき、加算を適用してください。


(「タイムスタディ調査」、「基本調査18項目」より抜粋)
以 上


