国際手話通訳の1人者ビル・ムーディ氏著作

「国際手話:ある使用者の考察」頒布のお知らせ


 国際手話通訳の第1人者のビル・ムーディ氏を2月に招聘し、大阪で講演会を開催しました。

 その際、ビル・ムーディー氏著作の国際手話に関する冊子を邦訳し、資料として頒布しました。国際手話の歴史だけではなく、ろう者の国際交流の歴史を記録したものです。また、国際手話の変遷、今後のあり方などの考察から、手話そのものの本質に迫る内容は、ろう者にも手話通訳者にも興味深いものかと思います。残部が少しありますので頒布いたします。希望者は下記にてお申し込みください。



表紙
題  名 国際手話:ある使用者の考察
著  者 ビル・ムーディ氏(国際手話通訳者―アメリカ在住)
全日本ろうあ連盟 訳
頒布価格 1,000円(送料160円)
申し込み方法 現金書留で1,160円ご送金下さい。なお、封筒の中に「ビル氏の本購入希望」とメモを入れてくださるようお願いいたします。


ビル・ムーディ氏の写真とプロフィール


ご参考までに序文を掲載します。

<序文>

 ろう者の間で国際的なコミュニケーション手段として使用される国際手話は、少なくとも150年くらい前から使われてきた。この間、ユニバーサル・サイン・ランゲージ(世界共通手話)、インターナショナル・ジェスチャー(国際ジェスチャー)、ジェスチューノ、あるいはインターナショナル・サイン(国際手話)などと、様々な名前で呼ばれてきた。それは一体どのようなものなのだろうか?今日の我々は、各ろう者コミュニティーが独自の手話を有し、(その歴史的背景にもよるが)ほとんどの場合、互いの手話は理解できないことを承知している。しかし、最低一つの手話に精通している人は、全く違った、相互理解が不可能な手話をつかう人とのコミュニケーションが出来てしまうのはなぜだろうか?そもそも国際手話は手話言語なのだろうか?「国際」というが、本当に国際的なのだろうか?どこで、いつ、どのようにして生まれたのだろうか?どのように使用するのだろうか?

 今年(訳注:2002年)はワシントンDCでデフ・ウェイIIと手話通訳者の国際シンポジュームが開催され、来年(訳注:2003年)は第14回WFD世界ろう者会議がモントリオールで開催されるが、近年このような国際会議の数が急速に増えている。そのため米国では国際手話に対する関心が高まっている。これまで、手話使用者の間の国際コミュニケーションについて20年以上にわたって研究が行われてきたが、ここで改めて国際手話について考察してみたい。国際手話の歴史はどのようなものか、どのように使用するのか、手話通訳者として、そこから何を学ぶことができるのか、などについて考えてみたい。

 私は言語学者でもなければ歴史家でもない。したがって、ここに記す内容は、国際手話の歴史と使用に関する私個人の関心から得た知識の記述である。その内容は、ここ20年ほどの間に行われてきた国際手話の言語学的研究を用いて補完している。

 1976年から1983年まで私はパリで暮らし、インターナショナル・ビジュアル・シアター(フランスのろう者劇団、 IVT)で働いた。IVTはヨーロッパ各地の演劇祭に参加し上演したが、行く先々でろうの俳優や一般のろう者たちと出会った。どこへいっても、我々は必然に迫られて国際的な身振りを使っていたが、そのコミュニケーション・システムの創意性と効率のよさに驚かされた。(当時我々はそれをなんと呼ぶべきかわからなかった。何人かの人々はそれを「ジェスチューノ」と呼び、又他の人は「国際ジェスチャー」と呼んでいた。)現在「国際手話」と呼んでいるこのジェスチャー・システムを使って、私がWFD世界ろう者会議やWFD理事会で通訳をするようになったのは1977年からである。1979年、まだフランスに暮らしていた頃、この通訳方法について書き始めた。国際手話への通訳というのは私の通訳活動のほんの一部でしかないが、それでも、最低年1〜2回は依頼を受け、過去25年間に16カ国でこのような通訳をしてきた。


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