阪神・淡路大震災から20年



理事長 石野富志三郎 1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災から、今年で20年が経ちます。死者6,434名他多くの犠牲者を出し、当時未曽有の大災害となりました。震災により亡くなられた皆様、そしてその後の避難生活での過労等で亡くなられた皆様のご冥福をお祈り申し上げます。更に現在も、震災の影響により生活再建にご苦労されている皆様へ御見舞申し上げます
 当時は大きな混乱の中、全日本ろうあ連盟をはじめ全国手話通訳問題研究会、連盟加盟団体他、全国のろう者、手話通訳者等の仲間が震災発生から情報収集を行い、震災からわずか4日目で支援活動に立ち上がりました。そして連盟の強い要求の結果、兵庫県からの要請により、全国から手話通訳者を被災地へ派遣することになったのです。全国の仲間の力の結集が被災聴覚障害者・関係者への支援の大きな力になったのはもちろんこと、当時の被災地への手話通訳派遣は、のちの手話通訳制度の発展、そして東日本大震災時の厚生労働省の通達による全国からの手話通訳派遣へと繋がりました。
 しかし、緊急災害時にテレビ、防災無線など音声の情報が聴覚障害者に伝わらない、避難所で聴覚障害者がなかなか情報を得られず、周囲の人とのコミュニケーションに不安を感じる等といった問題は、残念ながら20年経った現在も解消にはまだ程遠い状況です。
 近年、東日本大震災や大雨による広島での土砂災害、長野での御嶽山噴火など、各地で災害が頻発しています。20年という歳月の中で、どれほど阪神・淡路大震災の教訓を生かし、防災への取り組みを進めてこられたのでしょうか。
 聴覚障害者にとって情報アクセス・コミュニケーションの壁を取り払うことが何より大切です。阪神・淡路大震災から20年が経った今、私たちは改めてこの震災を忘れることなく全国の仲間がひとつになり、地域の人々との連帯を強めながら災害時被災死亡者「ゼロ」を目指して、共に防災活動を進めていきましょう。

2015年1月17日
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野 富志三郎