NHKへ提出した「災害時における聴覚障害者への情報保障についての要望」とNHKの回答書を掲載



連本第120002号
2012年4月2日

 NHK 
  会長 松本正之 様

〒162-0802 新宿区山吹町130 SKビル8F
Tel 03-3268-8847 ・ Fax 03-3267-3445
財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野富志三郎

災害時における聴覚障害者への情報保障についての要望

 日頃は私たち聴覚障害者への情報保障等に、格段のご配慮を頂き厚く御礼申し上げます。
 さて、昨年発生した東日本大震災以来、その余震と思われる地震が以前頻発しており、また、東海・東南海・南海地震の被害予想も甚大であろうことが公表されたばかりです。
 そのような折、4月1日夜に福島県を震源とした震度5弱の大きな地震が発生しましたが、そのニュースの際には字幕がついておりませんでした。
 今まで、災害が起こるたびに字幕と手話の付与をお願いしてきましたが、依然として改善されない状況が続いています。
 貴協会が公共放送としての使命を果たされるよう、東日本大震災発生時に要望いたしました下記について、再度強く要望いたします。

1.緊急災害時におけるローカル番組を含むテレビ番組に、「手話通訳と字幕」の付与を行ってください。
 <説明>
 字幕を必要としているのは聴覚障害者ばかりではありません。聞き逃したり、周りが騒がしく聞きづらいなど字幕で情報を得ている方も多くいらっしゃいます。そのため、直接、画面に字幕を挿入したものを放送して頂くことが一番理想です。それが困難な場合は、字幕放送による字幕付与を必ず行ってください。
 被災地周辺の地域に暮らしている聴覚障害者にとってはローカル番組も重要な情報です。緊急災害の場合はローカル番組においても「字幕」を付与してください。
 また「手話」については、手話ニュースを緊急放送したり、緊急災害時の放送番組には手話通訳を挿入して放送して下さい。
 前回いただいた回答によれば「手話通訳と字幕」付与を実施できない理由として技術面・人的配置の困難さをあげてられておりますが、全く情報を配信していない状況は人命軽視であると思います。
 放送法第7条(日本放送協会定款第3条)によれば「公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、且つ、良い放送番組による国内放送を行い又は当該放送番組を委託して放送させるとともに、放送及びその受信の進歩発達に必要な業務 を行い、あわせて・・・」とされています。
 「公共の福祉のために、あまねく」と貴協会が謳われているように公共放送だということを強く認識していただき、繰り返しますが、「公共」から聴覚障害者を排除することのないよう速やかに対応してくださいますようお願いいたします。

2.緊急災害時に、特定非営利活動法人CS障害者放送統一機構に対し、ローカル番組を含むニュース、その他の必要な情報を速やかに提供してください。
<説明>
 特定非営利活動法人CS障害者放送統一機構が放送している「目で聴くテレビ」は、昨日の東北地方太平洋沖地震発生の約30分後から手話と字幕を付けての緊急災害放送を実施しました。「目で聴くテレビ」を受信するアイ・ドラゴンⅡを持っている聴覚障害者・施設では、これにより地震情報を一般視聴者と等しく得ることができました。
 NHKは特定非営利活動法人CS障害者放送統一機構と連携することにより、緊急災害時の「手話と字幕」を付加した放送を実施することができます。

以 上


以上の要望書に対し、NHKより下記の回答を頂きました。
災害時における聴覚障害者への情報保障についてのご要望について(PDF形式)
NHKの回答