内閣府へ「聴覚障害者の福祉施策への要望」を提出



連本第090424号
2009年10月8日

内閣府
障害者施策推進本部
 本部長 鳩山 由紀夫 様

東京都新宿区山吹町130 SKビル8F
電話03-3268-8847・Fax.03-3267-3445
財 団 法 人 全 日 本 聾 唖 連 盟
    理 事 長 石野 富志三郎

聴覚障害者の福祉施策への要望について

 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 日頃より、私ども聴覚障害者の福祉向上にご理解ご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
 さて、国連では昨年5月3日、障害者権利条約が発効しました。
 日本においても批准に向け、国内法制度の見直しが求められているところであり、国におかれましてもさらなる聴覚障害者の福祉及び社会参加の施策推進をお願いしたく、下記の通り要望いたしますので、その早期実現をお願い申し上げます。

  1. 国連・障害者権利条約の批准催促と国内法整備の実施のために、以下を要望します。
     
    (1) あらゆる法律の欠格条項の完全撤廃して下さい。
     
    (説明)障害者の欠格条項についてはほぼ見直されています。しかし、依然法律の中に相対的欠格条項が残っているものが複数あります。
     このような条項は聴覚障害者の社会参加の障壁となっており、障害者権利条約の理念に基づき法律に残されている欠格条項を撤廃するよう、早急に見直しの検討を始めていただきたくお願い申し上げます。
    (法律に残されている欠格条項の例)
    ・道路交通法施行規則第23条 → 適正試験(聴力検査)
    ・医師法第4条-1、薬剤師法第5条-1等
     →「免許を与えないことがある者」として、「心身の障害により医師(等)の業務を適正に行うことができないものとして厚生労働省令で定めるもの」と規定。
    ・地方公務員法第19条-2  
     人事委員会は、受験者に必要な資格として職務の遂行上必要な最少且つ適当の限度の客観的且つ画一的要件を定めるものとする。
     →本規定を根拠に地方自治体で受験資格に「要介護者要件〈「介護者なしに職務遂行が可能な人」〉」が規定され、結果聴覚障害者が採用されるとこの要件により、職場内で会議等に手話通訳派遣を要請しても断られてしまう事例が出ている。
     
    (2)障害者差別禁止法や手話・コミュニケーションに関する包括的な法整備を求めます。
     
    (3)国内法整備委員会を至急に設立し、当事者が参画するよう、保障して下さい。
     
    (4)国連・障害者権利条約を国民に広めるために普及・啓発を行ってください。
     
  2. 上記の障害者権利条約について詳細を検討する場合は、必ず当事者が参画し協議する場を設けて下さい。
     
  3. 全国の官公庁で聴覚障害者へFAX・Eメールの対応ができるシステムを確立し、バリアフリー化を図ってください。
     
    (1)官公庁の窓口等の問い合わせ先に電話番号だけでなく、FAX番号及びEメールアドレスを併記するよう義務づけてください。
     
    (説明)
     現在、官庁のFAXは事務用であり番号は公開されていません。聴覚障害者の場合、簡単な問い合わせをするのに、わざわざ窓口まで出向くか、もしくは郵便で問い合わせなければなりません。
     また、新しい事業や省庁ができても、ほとんどの場合問い合わせ先は電話番号で、FAX・Eメールは公表されません。
     これは聴覚障害者の自立と社会参加を阻害しており、早急に電話番号と FAX番号並びにEメールアドレスを併記するよう義務づけをお願いいたします。
     
    (2)最近フリーダイヤルが多く見られるようになりましたが、電話のみの対応になっております。これは聴覚障害者の自立と社会参加を阻害しており、早急にファックス番号を併記するよう義務づけをお願いいたします。

以  上