地域レベル、国家レベル、国際レベルなど、様々なレベルにおいて、リーダーが直面する共通の課題があります。私にとって、この1か月は、この課題について考える時間となりました。ろう者やろう団体は、自分達の目標に対して妥協を迫られることが頻繁にあります。ろう者は、迷惑で不都合な存在と見なされることもあります。社会や人々は、私たちの要求に対し、「費用がかかりすぎる」、「時間がかかりすぎる」と言って交渉を試みることもあります。しかし、私たちは正しいことを貫く必要があります。
歴史を振り返ると、偉大なリーダー達は、「交渉」と「自らの信念を貫く確固たる責任」とのバランスを取ってきました。このバランスは、私たちの活動においても同様に必要です。最近のCRPD委員会においては、合理的配慮が不十分であり、ろうの委員が参加に苦労するという事態が起きました。従前から続いている不公平が浮き彫りになったと言えます。このような状況は容認できません。ろう者は、ろう者が十分に理解できる言語(訳注:手話言語)で働く権利を持っています。
WFDが発表した新しい方針説明書「ろう者の国際手話通訳サービスの選択およびアクセス権に関する方針説明書」では、「自らが選択した言語でアクセスできる」という基本的権利を強く訴えています。WFDは、長期的な目標に向けて継続して取り組んでいますが、同時に目の前の障壁にも立ち向かう必要があります。活動を進めていくためには、「粘り強さ」と「核となる原則を明確に貫く姿勢」の両方が求められます。
2025年8月12日から14日までの間、ケニアのナイロビにおいて、「第5回WFD国際研究大会」が開催されます。大会のテーマは「手話言語権の前進」であり、プログラムでは、以下の3つのサブテーマに焦点を当てます。
また、8月10日~11日にかけて、「ろう女性とジェンダー平等に関する事前会議」を開催します。このイベントでは、ジェンダー平等の重要性を強調するとともに、手話言語権の世界的な推進に向けた広範な取組の一環として、ろうの女性のエンパワーメントを促進します。
登録手続き
2025年までの年会費を支払っている各正会員、準会員、青年正会員は、最大6名の代表者を登録できます。地域事務局は1名の代表者を登録可能です。また、専門家グループのメンバーは個人として登録できます。
多様性を確保するために、マイノリティの代表者を指名することや、ジェンダーバランスを考慮して参加者を選ぶことを推奨します。
登録するには、以下の2つのステップがあります
ステップ1:登録フォーム(https://forms.gle/ujjrqWd6D4WBkW5K9)を記入してください。WFDにおいて、申請内容が適切かどうか、申請した団体のWFD会員資格(2025年)が有効であるかどうかを確認します。
ステップ2:WFDが申請を承認した後、WFDからメールにて非公開リンク(登録を完了し、支払いをするためのリンク)をお送りします。
割引が適応される早期申し込みは、2025年3月31日までです。
講演者の募集:「ろう女性とジェンダー平等に関する事前会議」
エンパワーメント、インクルージョン、平等に関連する魅力的なプレゼンテーションをできる方を募集しています。招待する基調講演者には資金が提供されます。
応募締切:2025年4月5日
応募フォームはこちらをクリック
WFDは、ろう者が国際手話通訳サービスを選択し、サービスにアクセスする権利に関して、新しい方針説明書を発表しました。
ろう者には、自らのアクセシビリティのニーズを決める権利があり、この権利には、国際手話と自国手話言語のどちらを選択するか、また通訳資格を持つ通訳者を選べることも含まれます。しかし、国際手話通訳サービスについては、現在は規制がなく、資格を持つ通訳者の数も不足しています。また、ろう者やろう組織は、国際手話通訳の費用に基準がないことも懸念しています。このような状況は、特にグローバル・サウスの地域において深刻に影響しています(ただし、グローバル・サウ以外の地域でも課題となっています)。
WFDは、各国政府およびイベント主催者に以下を求めます。
CRPD委員は、CRPDの実施を監督し、障害のある人のアクセシビリティと平等な参加を推進する機関です。しかし、CRPD第32回会期において深刻な権利侵害が発生しました。
157票を獲得して選出された、ろうの委員である田門浩氏は、国連ジュネーブ事務所(UNOG)が手話言語通訳を提供しなかったため、会議への参加に大きな支障をきたしました。その結果、田門氏は自ら通訳を手配しました。手話言語通訳を提供しなかったことは、CRPD第9条の規定に反する行為です。
2025年3月3日、WFDはこの違反行為を厳しく非難し、アクセシビリティが基本的人権であることを強調しました。また、国際障害同盟(IDA)も、国連が従前からの約束を破ったことに懸念を表明しました。
さらに、ドミニカ共和国は、国連ジュネーブ事務所(UNOG)から課された予期せぬ財務負担により、自国手話言語通訳の提供を取りやめる状況に追い込まれました。
WFDは、田門委員とすべてのろう参加者に対する完全なアクセシビリティの保障を含め、即時の是正措置を要求しています。国連は、CRPDに沿って、平等なアクセスを保障するとともに、説明責任を果たす必要があります。
WFDの代表団は、障害のある人のインクルージョンに特化した国際イベント「ゼロ・プロジェクト・カンファレンス2025」に参加しました。この催しはオーストリアのウィーンにある国連事務所で開催され、90カ国以上から1,000人を超える参加者が集まり、知識を共有し、協力関係を築きました。
WFD理事長は、情報通信技術(ICT)分野におけるろう者のキャリアの機会についてプレゼンテーションを行いました。特に、アクセシビリティの向上、インクルーシブ教育の推進、技術の革新が、ICT分野におけるろうの専門家を支援する際に果たす役割について説明しました。
また、WFD代表団は、様々な団体と会談し、ネットワークを強化し、今後のパートナーシップの可能性を探りました。これらの連携を通じて、WFDは引き続き、世界中のろうコミュニティの権利と機会の支援に向けて、政策や取り組みを推進していきます。
世界ろう連盟(WFD)と世界盲ろう者連盟(WFDB)は、覚書に署名をし、正式なパートナーシップを締結しました。この締結は、ろう者および盲ろう者の権利に関する国際的な擁護活動を強化することを目的としています。この締結は、アクセシビリティ、インクルージョン、機会均等の推進を目指して、両者の協力関係を強化する重要な一歩です。
WFDとWFDBは、協力を通じて、ろうコミュニティおよび盲ろうコミュニティの声をより広く届け、ろう者および盲ろう者の権利が、国際・国内レベルで認知され、守られることを目指しています。
WFD理事長は、ろう青年の欧州連合(EUDY)が主催するワークショップで講義を行いました。本講義は、権利擁護の戦略について議論し、ヨーロッパの若いろう者と意見交換を行う機会となりました。また、本講義は、ろうコミュニティの次世代のリーダーたちが、自らの権利を推進するために積極的な役割を果たすことを促す機会となりました。
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