1880年、イタリアのミラノで「第2回国際ろう教育会議」が開催されました。「この会議は世界中のろう者の生活に影響を与えた社会変動の象徴である」と多くの人が考えています。この会議では、「ろう教育において手話言語の使用よりも口話を支持する」という決議が可決されました。「ミラノ決議」は、手話言語がどのように社会から切り捨てられてきたかを示しています。ろう者は何世代にもわたって言語を奪われ、社会から疎外されてきました。私たちは今日もその影響を受けて生きています。
WFDは、ろうコミュニティが自国の手話言語を認知するために闘ってきた歴史に対する承認を求めています。WFDは、日本財団と協力し、「ミラノ会議」と2010年の「バンクーバー決議」から3つの重要な報告書を集めました。この決議は「新時代の原則と合意」として知られ、「ミラノ会議」当時の有害なイデオロギーを否定し、各国手話言語を含むすべての言語の認知と尊重を求めています。
WFDはこれらの文書を国連教育科学文化機関(ユネスコ/UNESCO)の「世界の記憶プログラム」に提出し、ろう者の歴史に関連する最初の登録として歴史に名を刻みました。ユネスコによるこの認定は、手話言語に対するろう者の権利と手話言語によるインクルーシブ教育に対するろう者の権利を擁護するための大きな前進です。
世界中で人道的な危機、自然災害による危機が増加しています。このような危機的状況の中にいるろう者は、「どこに行けばいいのか、どのように対応すればいいのかなどの情報が得られず、基本的な人道援助が受けられない」とWFDに繰り返し報告しています。WFDは、危機や緊急事態に直面している各国ろう協会(WFDの会員)と協力して活動しています。現在WFDは、ガザ、モロッコ、ハイチ、チリ、ウクライナ等の地域を中心に活動しています。
寄付金はどのように使われますか?
・WFDによる継続的な防災(DRR)活動の支援
皆様からのご寄付により、WFDは危機に直面しているWFD会員を支援し、対象となる国際組織(国連、NGOなど)との支援を調整することができます。WFD事務局は、援助を提供する国際人道支援組織と常に連絡を取り合っていて、ろう者がすべての援助活動にインクルージョンされるようにしています。
・緊急かつ不可欠なニーズに対する融資
手話言語通訳者へのアクセス、情報ビデオの各国手話言語への翻訳、懐中電灯や電池の提供を通して、または、情報やコミュニケーションへのアクセスを容易にする物資の提供を通じて、WFD会員のニーズを支援します。
・訓練と危機に対する備えのための資金調達
ろうコミュニティが災害や人道上の緊急事態に対応できるよう、会員向けの訓練コースを通じて準備を整えています。
WFD理事長は、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)プログラムの担当事務次長であるリン・ヤン氏(Ms Lin Yang)と会合を持ち、アジア太平洋地域における手話言語の法的認知について話し合いました。今後の協力の機会についても話し合いが行われました。
WFDは日本財団の支援を受け、アジアにおける手話言語の法的認知のための3年間のプロジェクトを主導しました。インドネシア、ラオス、マレーシア、シンガポール、タイ、ベトナムの6カ国で研修コースを修了しました。
これらの6カ国を招いて4日間の会合を開き、研修の成果を確認し、権利擁護活動を評価しました。
CRPD委員との面会
WFD理事長は、CRPD委員であるサオワラック・トンクアイ氏(Ms Saowalak Thongkuay)と面会しました。面会の中では、WFD理事長は、手話言語の法的認知の重要性を再確認し、WFD会員の権利擁護活動を支援するためのツールキットを紹介しました。
ボリビアのろうの先住民の女性を対象とした保健医療へのアクセスに関する研修
WFDは、複数のパートナー団体と共に、ボリビアにおけるろうに先住民の女性の保健医療へのアクセスに関するプロジェクトに協力しています。WFDは、性教育と家族計画について、また、ボリビアの政府プログラムにおいてろうの先住民の女性に関するデータを収集することの重要性について研修を実施しました。
イタリアにおける手話言語権に関する研修
2021年、イタリアでは、支援法令により、イタリア手話言語が正式に認められました。WFD正会員であるイタリアろう協会(イタリア語表記:Ente Nazionale Sordi)は、WFDに対し、法律施行の進め方について指導を求めました。イタリアろう協会はWFDを招き、手話言語権に関する3日間のワークショップを開催しました。
ASEAN障害フォーラムとの会合
WFD理事長と東南アジアにある6つのろう者団体が、「ASEAN障害フォーラム」と面会しました。
この会議は、ろう者の権利の重要性を強調し、同地域における手話言語の法的認知に向けた今後の協力分野を確認する機会となりました。
第133回WFD理事会において、理事会はガボンとモザンビークのろう協会が提出した申請書を承認しました。これにより、WFDの正会員は136になりました。
WFDは拡大を続けており、「2023~2027年行動計画」の目標である「60カ国プロジェクト」の目標達成に努めています。このプロジェクトは、WFDの活動範囲を広げ、ろう協会の世界的ネットワークをさらに強化することを目的としています。
WFDはラメッシ・ラール・シュレスタ氏(Mr Ramesh Lal Shrestha)の逝去を悼んでいます。
氏は、ネパールのろうコミュニティの障壁を取り除くことに人生の多くを捧げ、世界ろう連盟やネパールろう連盟に多大な貢献をしました。また、2011年から2015年までの4年間、WFDの理事を務めました。
WFDは、ラメッシ・ラール・シュレスタ氏(Mr Ramesh Lal Shrestha)が行ったネパールと世界のろう者の権利のための活動に敬意を表します。
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