戻る

(注)以下は全日本聾唖連盟が会議資料として仮訳したものです。

障害者の機会均等化に関する基準規則
実施状況のモニタリング

国連社会開発委員会特別報告者による第3期最終報告 2000〜2002
ベンクト・リンドクビスト


序文

I.任務
II.第3期中の活動
  A.派遣活動
  B.専門家パネル
  C.障害児の権利(RDC)
  D.世界保健機関(WHO)との協力による特定の基準規則に関する第3回調査
III.今後の課題
  A.国連基準規則の補完
  B.人権と障害
    1.背景と近況
    2.今後の戦略
     (a)メインストリーム化の方法
     (b)条約の役割
     (c)メキシコ政府のイニシアチブ
     (d)平行的な取り組みの勧め
  C.国連団体と組織の間の情報交換と協力
    1.背景
    2.バーチャルな機関間機構の勧め
  D.国連基準規則の今後のモニタリング・システム
    1.背景
    2.今後のモニタリング機構
     (a)状況を評価するための施策
     (b)促進とアドバイスの施策
     (c)専門家パネル
     (d)モニタリングの継続の勧め
IV.要約と勧告

添付資料I.もっとも弱い立場の人々を含めるために:「国連障害者の機会均等化に関する基準規則」の補足文の提案


「世界中の全ての社会において、障害者が自らの権利と自由を行使し、自らの社会の活動に完全参加するのを妨げる障壁が、今もなお存在する。」 − 1993年12月20日の国連総会決議48/96付属書第15節より
国連はその公約に基づき、障害分野における社会的排斥と人権侵害との戦いにおいて、先導的な役割を確立しなければならない。 − 第3期の最終報告(E/CN.5/2002/--、付属書、ベングト・リンドクビスト)より

序文

「障害者の機会均等化に関する基準規則」の実施状況のモニタリングを担う特別報告者として、社会開発委員会へモニタリングの第3期(2000〜2002)の最終報告を発表できることを光栄に感じる。この分野における特別報告者としての任務は名誉で刺激的な活動となった。この場を借りて、私を信頼し、第3期まで任期を更新してくださった国連経済社会理事会に心からお礼を申し上げたい。また、活動全体を通して事務設備を提供してくださったスウェーデン政府を始め、この事業を経済的に支援してくださった全ての政府に感謝を申し上げたい。

モニタリング活動の開始より、その全期間を通して、私はニティン・デサイ事務次官の全面的な支援、並びに国連経済社会部社会政策・開発局の貴重な専門的アドバイスを頂くことができた。また、複数の国連機関との良い協力関係を持つことができた。とりわけ世界保健機関とは、特定の基準規則の実施状況に関する世界調査を実施するにあたって、密接に協力することができた。また、スウェーデンの事務所で素晴らしい仕事をしてくださったエヴァ・サグストロム氏、そして基準規則の補完に関するコンサルタントを務めてくださったアンネリ・ヨネケン氏に感謝の気持ちを表したい。

モニタリング活動の重要な要素の一つは、障害分野の6つの主要な国際非政府組織が1994年に設立した専門家パネルである。パネルを構成する5人の男性と5人の女性は世界中のあらゆる地域を代表し、障害に関連する様々な経験を有するため、貴重なガイダンスを提供して頂くことができた。また、十分な資金が得られないために全ての良いアイデアやイニチアチブを遂行できない場合でも、パネルは理解を示してくださった。

最後に、任期中に私の活動のために協力や情報提供をしてくださった政府とNGOにお礼を申し上げたい。


I.任務

1.私が社会開発委員会の第38回会議に提出した報告書(E/CN.5/2000/3、付属書)には、その後の活動に関するいくつかの勧告が書かれていた。今後のモニタリング・システム、現在の基準規則文書で改訂が必要とされる箇所、情報交換の改善、人権と障害の問題に関する将来的な発展などに関する提案が含まれていた。

2.これらの様々な課題は、委員会の会期中に行われた公開作業部会(open-ended working group)の中で話し合われた。委員会での協議の結果は2000年7月27日の国連経済社会理事会決議2000/10に反映され、同決議の本文第7節は、特別報告者が新しい任期中に行うべき活動を概略する:

「7.基準規則の第IV章の内容に一致した、基準規則実施の促進とモニタリングへの継続的な取り組みの成果が総会決議52/82に従って「障害者に関する世界行動計画」の5年毎評価で報告できるよう、特別報告者の任期を2002年まで更新することを決定し、国連事務局からの支援と専門家パネルからの助言を受ける特別報告者へ、第2期の報告(E/CN.5/2000/3、付属書)に含まれる提案のさらなる推進に対する見解、基準規則を補完・発展させる形、国連機構の関連団体や組織、関連する政府間地域組織が基準規則の実施に関連して関わりを拡大させる方法を示した、社会開発委員会の第40回会議に提出する報告書の準備を要請し、」

3.ECOSOCより与えられた任務には、特別報告者が第3期に行うべきいくつかの具体的な活動が含まれている。

(1)「基準規則の第IV章の内容に一致した、基準規則実施の促進とモニタリングへの継続的な取り組み」
第3期における活動は、基本的に規準規則の中に述べられている方法で継続されるべきである。これは、助言・モニタリングを行うための各国への訪問、基準規則の実施を促進する会議やセミナーへの参加、国や地域での今後の政策開発に関する情報収集などを継続することを意味する。
(2)「基準規則を補完・発展させる形(…に対する見解を示す)」
私は第2期に関する報告(E/CN.5/2000/3、付属書)の中で、1993年の規準規則の採択(1993年12月20日の総会決議48/96、付属書)以来に得られた経験に基づいて、規則を発展または強化するべきいくつかの側面を取り上げた。私は委員会のこの指示を、私が報告の中で示した見解に基づいて、新しい文書を作成し、委員会によるこれらの文書の扱い方と採択の可能性を提案することであると解釈した。
(3)「国連機構の関連団体や組織、関連する政府間地域組織が基準規則の実施に関連して関わりを拡大させる方法」
私は社会開発委員会への以前の報告の中で、国連団体や機関における障害分野の体系的な情報交換と共同的な計画立案の改善と拡大の必要性を指摘した。最も適当な情報伝達手段は当然ながら、機関間機構の再設置となる。ただし、財政的な制約があるため、近代的な情報・通信技術、とりわけインターネットを利用した情報交換の簡単な仕組みを提案した。
(4)「第2期の報告(E/CN.5/2000/3、付属書)に含まれる提案のさらなる推進に対する見解(…を示す)」
上記の3つの分野の他、私は社会開発委員会の第38回会議への報告の中で将来的なモニタリング機構の形式を検討した。検討内容は本報告書の中に引き続き含まれている。また、人権と障害の問題に関する分析結果といくつかの見解を書いた。この分析も本報告書の中で続けられている。

II.期間中の活動

A.派遣活動

4.2000年初頭より、私は政府の招待により各国を訪問し、基準規則実施の促進に努めてきた。私に与えられた任務に従い、訪問先は転換期の国や開発途上地域の国が中心であった。障害政策を協議ならびに促進するための訪問先は、ベラルーシ、ブルガリア、中国、マラウィ、モーリタニア、ウガンダであった。

5.これらの訪問の最中に、大臣や省庁の代表者、組織の代表者などとの会合が行われた。また、UNDP、WHO、UNICEF、UNESCOなどの国際組織との会合も頻繁に行われた。基準規則の観点から、国の政策、プログラム、法律などの問題が提示され、話し合いが行われた。よく話し合われたテーマの一つは、一般の計画やプログラムに障害問題を取り込む方法であった。この他、生活状況に関するデータの収集、障害分野における組織と政府の間の協力関係の拡大などについてもよく話し合われた。

6.私はいくつかの会議に、スピーチや講演を行うために招かれた。リハビリテーション・インターナショナルの第19回世界会議(リオデジャネイロ、2000年8月25〜29日)に参加するため、ブラジルを訪問した。カナダでは、障害児のインクルージョンに関する第6回国際会議(エドモントン、アルバータ、2000年10月22〜24日)に参加した。50を越える国より300人が参加し、いくつかのNGOも集まった。ハンガリーでは、東欧と中欧の14カ国が参加した、基準規則の実施に関するセミナー(ブダペスト、2000年10月11〜13日)に出席した。ロシア連邦では、ドゥーマ(ロシア議会)、関連する政府機関、そして障害者組織の共催で「障害者の均等な機会」に関する全ロシア連邦会議(モスク、2000年10月23日)が開催され、ロシアの89地域のうち、60地域より参加者が集まった。この全ロシア会議では、基準規則の原則の地域的な適用などが協議された。2001年2月13〜15日のモーリタニアへの派遣活動においては、基準規則の実施に関するマグレブ小地域セミナーに参加する機会を得た。マグレブの4カ国の政府や非政府組織より、60人の代表者が参加した。

また、2001年2月9日(ニューヨークの国連事務局の主催)と4月17日(ジュネーブの人権高等弁務官事務所の主催)に開催された、障害と人権に関する2つの諮問会議に議長として出席した。

B.専門家パネル

8.1994年に設立された、6つの主要な障害者の非政府組織から構成され、モニタリング機構の一部である専門家パネルは、2000年2月9〜11日にニューヨークで会議を開催した。これは国連社会開発委員会の第38回会議との同時開催であったため、パネル・メンバーは委員会の協議をその場で見守ることができた。パネルが協議した重要な課題の一つは、障害政策開発における今後の国連の関わり方であった。パネルは、人権の側面を発展させる重要性、そして国連の人権モニタリング団体がこれらの問題により広い関わりを持つ重要性を強調した。同時に、障害を社会開発分野における重要な責務として保持することが必要である。この両方の分野において、基準規則は政策開発の中心的な手段として使い続けられるべきである。

9.パネルは2001年9月4〜6日に再び会議を開催した。この会議の主な目的は、2002年2月の社会開発委員会第40回会議において提起されるべき問題について、パネル・メンバーが特別報告者と共に協議することであった。

10.私は基準規則に数多くの追加点や変更点を提案する、詳細な文書を準備した。我々に与えられたと考える任務に基いて、何を委員会へ提起するべきか考えをまとめた。ただし、これらの勧告を委員会による検討のために提示する最も適当な形を捜す作業は、私に任された。

11.パネルはさらに、将来的なモニタリングの選択肢についても長い時間をかけて協議した。この中で、大きく2つの選択肢が確認された:(a)新しい特別報告者の任命と、(b)国連事務局へのモニタリング機構の統合である。話し合いは、新しい報告者を任命してモニタリングを継続することは、資金調達に関連して困難となることを前提に進められた。このため協議は主に、国連事務局の活動へモニタリング機構のさまざまな機能を統合する方法に集中した。

12.基準規則のモニタリング機構に付随する専門家パネルは、非政府部門と国連の間のユニークな協力関係の形である。この7年間の間、パネルはモニタリング活動の諮問団体としての役割を務め、国連と関連組織の双方にとって、非常に効果的な役割を果たした。パネルはさらに、WHO、ILO、世界現行、UNESCOなどの他の国際団体や機関との協議に関わった。国際調査については、パネルの6組織と提携する600以上もの団体が、それぞれの政府に送付されたものと同じアンケートに回答するよう要請された。これらの全国的な障害者組織は、政府の例外的に高い回答率にも大きく貢献した。

C.障害児の権利(RDC)

13.2000年1月、4つの障害者の国際非政府組織が、セーブ・ザ・チルドレン世界連盟と共同で、「障害児の権利(Rights for Disabled Children - RDC)」と題された事業の設立を決定した。事業資金はスウェーデンの国際開発機関(SIDA)より3年間提供される。事業活動の調整と管理について、RDCはイギリスのディサビリティ・アウェアネス・イン・アクション(非政府組織)との契約を結んだ。

14.RDC事業の目的は、子どもの権利条約のモニタリングを行う国連委員会に対し、モニタリングにおける障害側面の発展を支援することである。

15.RDC事業で行われている活動で、とりわけ以下が注目される:

(1)年に3回、9つの政府が、その達成事項について報告するよう、委員会より要請される。RDC事業は、政府からのこれらの報告を障害の側面から分析し、委員会の会議前に行われる、いわゆる会期前会議(pre-sessional meetings)においてこの結果を発表することを決定した。2001年の3回分は完了したので、これは27カ国の報告が既に障害の側面から分析され、この結果が委員会に報告されたことになる。RDC事業の報告は歓迎された。この方法で集められた情報は今後、「子どもの権利条約」の枠組みの中で、各政府が障害を扱っている方法を分析する上で効果的な材料となる。
(2)RDC事業のもう一つの重要な活動は、選出された4カ国において、詳細な調査を実施することである。目的は、障害児の状況調査、障害児の権利の侵害に関する情報収集、そして適正事例の確認と記録などである。2001年の後半に、南アフリカにおいて第1回調査が行われた。

16.RDC事業は、総会で予定されている児童に関する特別会期(「子どもサミット」)に関連する資料と、実際の会議の場の両方において、障害児がより注目を受けるように努力している。障害児の状況に関する特別報告「私たちの世界でもある(It is our world, too)」がRDC事業より発行された。この報国には、障害児によるマンガ、絵、言葉なども含まれている。

D.世界保健機関(WHO)との協力による特定の基準規則に関する第3回調査

17.基準規則の最初の4規則は、障害者の均等な機会のための前提条件である。このうち、医療ケア、リハビリテーション、支援サービスの3つの規則(規則2〜3)は、それぞれ世界保健機関(WHO)の責任分野に含まれる。

18.WHOは1999年に、これらの3つの規則分野の情報と、部分的に職員研修(規則19)の分野の情報に関する国際調査を行った。私と専門家パネルの協力を得て作成されたアンケートは、WHOの全191加盟国と600以上の障害分野の全国的な非政府組織に送付された。

19.社会開発委員会第38回会議への報告(E/CN.5/2000/3、付属書)の中で、私はアンケートに回答した104の政府の回答結果をまとめた。調査の最終報告は現在WHOより入手できる:「障害者の機会均等化に関する基準規則:医療ケア、リハビリテーション、支援サービス、職員研修の実施に関する政府の回答」。同じデータに基づいた6つの地域報告(アフリカ-AFRO、アメリカ-AMRO、東地中海-EMRO、ヨーロッパ-EURO、東南アジア-SEARO、西太平洋-WPRO)もWHOより入手できる。

20.政府回答の地理的な分布は次の通りである:AFROから27回答、AMROから17回答、SEAROから4回答、EUROから25回答、EMROから11回答、WPROから20回答。

21.115のNGOから寄せられた回答についても、同様の報告書が作成されている。回答が得られた国の数は、政府と非政府組織を合わせて130カ国であった。

22.非政府組織からの回答の地理的な分布は次の通りである:AFROから22回答、AMROから21回答、SAEROから6回答、EUROから42回答、EMROから10回答、WPROから14回答。

23.WHOは、各国の政府とNGOの回答の違いを比較検討する、補助的な研究も行う予定である。

24.特定の基準規則に関するWHO調査の結果は、いくつかの方法で活用できる。まず、4つの規則分野の様々な条項が実施されている範囲に関する情報が得られる。比較分析で最も役立つのは、地域に基づくものであると思われる。これは、類似した社会的、経済的、文化的背景の中で比較できるからである。また、同国の政府とNGOから寄せられた回答を通して、その国の障害者の状況に関する貴重な情報が得られる場合が多い。

III.今後の課題

A.基準規則の補完

25.社会開発委員会第38回会議への報告(E/CN.5/2000/3、付属書)の中で、私は基準規則を主要な国際政策文書として以下のように分析した:

「117. 1990年代の政策開発と法律の発展は、それ以前と比べて著しいことは明らかである。また、過去十年間の発展が、国際障害者年(1981)、世界行動計画(1982)、及びこれに合わせて始まった一連の政治的行動に関係していることは明白である。世界各地の多くの国は、国際的なガイドラインに則って新しい法律を制定し、国家政策を開発した。この過程において、国連基準規則は重要な役割を果たした。何より基準規則は、完全参加と機会均等化への取り組みにおける政府の役割を明示し、人権的側面の強化を進め、国連システム内にモニタリング機構を確立した。
118. 基準規則には多くの利点がある。規則の文章は簡潔であり、複数の分野に関するガイドラインをまとめて提示する。これらのガイドラインは、数多くの国においてさまざまな方法で利用された。また、規則に含まれる勧告は原則的なレベルで提示されているため、各国による採用および地域・地方の事情に合わせた調整を行う余裕が残されている。
119. しかしながら、基準規則には欠点もある。障害政策の一部の側面は十分に考慮されていない。これには、障害児やジェンダー面、及び他の特定集団、とりわけ発達障害・精神障害を持つ人々などが含まれる。基準規則に、最も貧しい地域に住む障害者の生活状況を改善する施策がない、との指摘もあった。避難民の障害者や非常事態にある障害者なども考慮されていない分野の一つである。以前に社会開発委員会へ提出した報告(A/52/56)で私が指摘した通り、住居全般に関する項目も含まれていない。これは、非常に多くの障害者が悲惨な環境の中で一生を過ごす保護施設の扱いに関する指導がないことを意味する。人権分野に関する1990年代の重要な進展も、より明瞭な形で規則に反映されるべきである。」

26.この報告書に添付される、基準規則の補足文案を作成する上で最も重要な土台となったのは、上に並べられた、開発が必要とされる分野である。もう一つの重要な情報源は、世界保健機関の活動より収集された情報である。既に述べた通り、WHOは特定の規則の実施に関する調査を行った。WHOはさらにノルウェー政府との協力で、2001年にリシンキング・ケア(ケアの再考)に関する世界会議(オスロ、2001年4月22〜25日)を開催した。会議の参加者が取り組んだ課題の一つは、最初の4つの規則の長所と弱点を確認し、この結論と将来に向けた勧告を考案することであった。この会議の重要性は非常に高いため、ここで採択された勧告は添付の基準規則補足文案の作成に反映された。

27.スウェーデン政府からの特別補助金より、基準規則の補足に必要な資料の作成と提案書の起草を行うコンサルタント(アンネリ・ジョネケン氏)を雇うことが可能となった。この事業の初期の段階で、私は組織や個人の専門家を招き、発展が必要と認められた規則分野に基づいて、改訂案に対する意見を求めた。ここで非常に多くの貴重な提案や意見を聞くことができた。とりわけ障害児とその家族のニーズ、及び発達障害や精神障害を持つ人のニーズに関して、大きな収穫があった。

28.私はジョネケン氏の支援を受けて、「適切な生活基準(Adequate Standard of Living)」のガイドラインを作成した。これは、添付の国連基準規則補足文案に述べられるとおり、住居と貧困に関連する問題の取り組みへの道を開けた。

29.住居に関連して、自主的決定の権利、プライバシー、そして人格権の問題が明らかになってくる。これは障害分野において、重要な問題とされる、障害を持つ大人や児童が生活する施設に深く関係する。現在の状況と最近の開発活動の情報に基づいて、私はいくつかの政策ガイドラインを起草した。補足文に必要な資料を作成する過程において、一部の分野ではより広範な発展が必要となることが判明した。社会的性別(ジェンダー)と児童の権利の双方の側面において、暴力と虐待の問題への取り組みを拡大する必要がある。また、障害者が1人いる家族を支援する施策をさらに発展させる必要がある。

30.発達障害や精神障害を持つ人々の視点から基準規則の文書を分析すると、自主的決定の権利に関する問題について、ガイドラインを作成する必要性が明らかになる。とりわけ、医療ケア、リハビリテーション、支援サービスなどの分野において、インフォームド・コンセント(説明を受けたうえの同意)、治療や投薬を断る権利、意志に反した施設への収容などに関連するガイドラインが必要である。

31.基準規則の補足文案は15の分野を取り上げている。全てのセクションに勧告が含まれており、これらは基準規則の中に現在含まれる勧告への追加として考えられるべきである。新しい文書の挿入や追加に関する勧告の背景と状況を説明するため、一部のセクションには最初に注釈がつく。補足文の15のセクションと、基準規則文書(総会決議48/96、付属書)の構造には、直接的な関連性はない。

32.総会による国連基準規則の採択より10年近くが過ぎた。この期間中に、基準規則は政府と障害分野の国際的・全国的な非政府組織の双方が利用する、主要な政策実施手段に発展した。基準規則は障害者の人権の発展において、障害者の排斥と差別に終止符を打つ施策の基準として認識された。

33.基準規則を、政策、法律、そしてプログラムの今後の開発のより効果的な手段にするため、現在の基準規則をさらに発展させ、補完する必要がある。私は国連に、添付の基準規則補足文案の採択と発行を行うよう推薦したい。

B.人権と障害
1.背景と近況

34.障害が人権問題であるとの国際的な認識は拡大している。また、障害もしくは障害に関連した排斥や周縁化が国連人権団体の責務にも関わるとの認識も拡大している。

35.国連総会が1982年に採択した「障害者に関する世界行動計画」では、以下の(及び他の関連する)勧告の中で、障害者の人権に取り組む国連システムの責任が認識された:

「障害者に直接もしくは間接的に影響をもたらすであろう国際規定、規約その他文書の準備及び運用に責任を有する国連のシステム内の組織及び機関は、そうした文書において障害者の状況を十分考慮に入れるよう確保すべきである。」(第164節)

36.1984年8月、マイノリティの差別防止と保護に関する小委員会は、人権と障害の関係に関する広範な調査を行うため、特別報告者としてリアンドロ・デスポイ氏を任命した。デスポイ氏は「人権と障害者」と題された報告の中で、障害は、国連のモニタリング団体が関わるべき人権問題であることを明白に述べた。デスポイ氏の勧告には以下が含まれていた:

「[国連障害者の]10年[1983〜1992]が終了した後も、人権と障害の問題は、常に関心の向けられるべき課題として、総会、経済社会理事会、人権委員会、そして[マイノリティの差別防止と保護に関する]小委員会の議事に含まれるべきである。 」(第274節)

37.経済的・社会的・文化的権利委員会は1994年に、ジェネラル・コメント(一般的意見)No.5を発行して、障害者の権利に関する責任を認知した。委員会はこのコメントの中で障害を人権問題として分析している。 以下はコメントからの抜粋である:

「[経済的・社会的・文化的権利]規約は、障害者について直接言及することはない。しかしながら、世界人権宣言は全ての人間が生まれながらにして自由であること、尊厳と権利において平等であることをうたい、また、規約は社会の全ての人々を対象とするため、障害者には明らかに、規約に列挙される全権利を保有する資格がある。さらに、特別な配慮の必要性に関して、政府は、資源が許す限り、規約でうたわれる権利の享受に関して、障害者がその不利を克服できるよう適切な対策をとらなければならない。また、規約の第2条で、いかなる根拠や状況による差別もなく、権利が行使されると謳われているのには、障害を理由とする差別も含まれるのは明らかである。」(第5節)

38.国連人権委員会の第54回会議(1998年3月16日〜4月24日)において、委員会は、この分野の今後の発展に関する一連の声明や勧告が含まれる、1998年4月21日の決議1998/31を採択した。人権委員会決議1998/31は、飛躍的な前進であると共に、障害者の人権に関する国連の責任を全般的に認めるものとなった。このため、これを機についに進展が見られるとだれもが期待した。しかし、委員会決議の採択以降の2年間において、フォローアップはほとんど見られなかった。この状況は、2000年4月の第56回会議において人権委員会が再び人権と障害について協議したとき、重要な問題として扱われた。委員会はこの協議の結果、決議1998/31の勧告を取り込み、これらをさらに拡大する、2000年4月25日の決議2000/51を採択した。

39.人権委員会決議2000/51の本文第1節では、委員会が国連基準規則を障害者の人権基準を満たす範囲をはかる評価手段として認識することが述べられる。

「[委員会は、]障害者の機会均等化に関する国連基準規則に不一致な、障害者に対する、平等原則の侵害、あらゆる差別、及び他の区別的な待遇は、障害者に対する人権侵害であると認識し、」(第1節)

40.委員会決議2000/51はさらに、障害者が自らの権利を完全に享受できるよう保障するため、全ての協定団体に、各政府が満たす基準を監視するよう奨励している。政府は、関連する国連人権文書のもとで報告を行うときに、障害者の人権を完全に考慮するよう要請される。

「[委員会は、]人権協定の全てのモニタリング団体へ、障害者がその権利を完全に享受できるよう保障するため、関連する人権文書のもとで政府の満たす基準を監視するこの要請に、肯定的に応えるよう奨励し、また、関連する国連人権協定のもとの報告義務に従う中で、障害者の人権を完全に考慮するよう、政府に要請する。(第11節)」

41.さらに、障害者の権利に関連した早急な行動の重要性への認識を反映する、以下の新しい節が決議案の検討段階で加えられた:

「[委員会は、]人権高等弁務官へ、障害に関する特別報告者との協力で、障害者の人権の擁護とモニタリングを強化する対策を模索し、とりわけ専門家パネルを含む、関心を持つ団体からの意見や提案を求めるよう要請する。(第30節)」

42.社会開発委員会の第38回会議へ提出した報告(E/CN.5/200/3、付属書)の中で、私は人権問題として障害を発展させる根拠を説明し、障害分野において国連文書を強化する様々な方法を考察した。私は、基準規則をいくつかの特定の分野で、補完ならびに発展させることを奨励した。また、国連の人権機構の中で、障害問題を発展させる方法を考察した。障害に関するジェネラル・コメント(一般的意見)、特別な議定書(special protocols)、テーマ研究(thematic studies)の作成、または同類の活動により、国際協定のモニタリングを行う一般機構を通して規則のモニタリングを強化する方法を提示した。最後に、障害者の人権に関する特別な条約を作成する可能性について言及した。ただし、このような条約が、他の既存の条約や基準規則とどのような関係を持つか、明確化する必要性を強調した。

43.社会開発委員会第38回会議において、一つの全国的な非政府組織が障害者の権利に関する特別な条約の作成に関する提案を発表した。同会議が招集した公開作業部会(open-ended working group)の会議の中では、障害と人権の問題を今後どのように進めていくか、綿密な議論が行われた。この議論の結果、経済社会理事会決議2000/10の第7節の中で、特別報告者は「第2期の報告書に含まれる提案の発展と、基準規則の補完と発展に関する見解を示す」よう要請された。

44.2001年初頭に、人権高等弁務官事務所は、障害における、国連人権文書の現在の利用状況と今後の可能性に関する調査の実施を指示した。調査の責任者は、テレジア・デグナー博士(ドイツ)、ジェラード・クイン博士(アイルランド)であり、この他に3人の調査アシスタントがプロジェクトに携わっている。障害問題に特定して、6つの国連人権協定が検証されている。

45.この調査は、障害分野における国連人権文書の働きを詳細に調べる。障害に関して、関連する協定下で政府に与えられる義務の性質、そしてこれらの協定下のさまざまな執行機構を調べる。また、この仕組みにおいて、障害者の非政府組織が関わりを持つことのできるさまざまな接点を特定する。

46.調査結果の重要な部分は、当事者の視点に焦点が合わせられることが予想される。詳細なアンケートが、世界中の障害者の非政府組織に配布された。また、世界中の全国的な人権機関(人権委員会など)へ、障害者の権利に取り組んでいるレベルを評価するための、追加アンケートが配布された。

47.一つのレベルにおいて、この報告書は、非政府組織がこれらの協定についてよりよく知り、より積極的に活用できるようにするためのマニュアルとしての機能を果たす。このようにして、調査の結果報告は重要な知識のギャップを埋めることを手助けする。調査には評価の面もあり、障害に関して各協定が利用されるレベルを評価し、これに関連して最大限の可能性を引き出すための実質的な提案を行う。

48.障害を人権問題に発展させるためには、国連システムの外においても、能力と体制を育てて行く必要がある。私は2000年11月に、障害分野における人権の侵害や迫害の確認と報告の能力を育成することを目的とした、「世界に啓発する:人権と障害に関するセミナー」(ストックホルム、2000年11月5〜9日)と題されたセミナーをスウェーデンで開催した。国連機構(ジュネーブの人権高等弁務官事務所とニューヨークの国連事務局の双方)と主要な国際障害者組織、そして世界中の人権と障害の専門家を含む、27人の専門家がこのセミナーに参加した。

49.2001年初頭に発行されたストックホルムのセミナーの報告には、障害者の権利に関する今後の発展について、いくつかの勧告が含まれている。セミナーの参加者は、次の5つの分野において行動がとられるべきだと考えた:個別的な事例のモニタリング、既存の法律や訴訟の分析、メディアによる障害の扱い、既存の政府政策・プログラム・サービスのモニタリング。2001年中に、関心を寄せる団体により、セミナーのフォローアップ行動のための計画が作成された。

50.人権と障害の分野における発展の最新情報を提供するため、社会開発委員会の第39回会議(2月9日、ニューヨーク)、そして人権委員会の第57回会議(4月17日、ジュネーブ)のそれぞれに合わせて、諮問会議が行われた。政府、政府間組織、国連団体や組織、さらに非政府部門などが招かれた。人権高等弁務官が主催した諮問会議に関しては、全国的な人権機関も参加した。

51.ストックホルムでの専門家会議と国連本部での非公式諮問会議の双方で重要な議題の一つとされたのは、人権のモニタリングと擁護において、障害の側面を強化するための作業の進め方であった。既存の人権の枠組みの中で、障害を人権問題として発展させるためにとることのできる行動は、両方の会議で話し合われた。特別な条約の構想も、重要なテーマとして話し合われた。

52.以下は、ニューヨークの国連で2001年2月9日に開催された国際規範と基準に関する非公式諮問会議の報告からの抜粋である:

「いくつかの政府は、「平行的(twin-track)」な取り組みにより、障害者の権利に対応することに興味を示した。これは、条約の作成と、現在の国際的な法律文書に障害者の権利の促進と擁護を組み込む、すなわちメインストリーム化するための調査、という2つの取り組みを平行して進めることである。条約は補完的な役割を持つものとして考えられ、障害者の権利と現在の国際文書の関係に排他的なものとして見られなかった。一つの政府は、知的障害者の状況が現在まで十分に扱われなかったため、これに特別な関心を寄せる必要性があると述べた。」

53.これに関連して、人権高等弁務官事務所の代表者は、新しい国際人権文書に関して委員会が1985年に採択した決議について、会議の参加者に思い起こさせた。この決議では、新しい基準は根元的な問題に関わる必要があり、既存の基準より低いレベルに設定されてはならない、と述べられている。

54.非公式諮問会議に参加した一部の政府代表者は、非政府部門が行ってきた、障害者の権利条約の作成に関する支持と意識向上への取り組みに関心を示した。非政府部門のこの強い願望に、適切な関心と支援が提供されるべきとの見解が示された。

55.非政府部門の代表者は、会議が時宜を得ていて必要性のあるものだと感じた。また、現在は障害が医療や社会福祉サービスの問題ではなく、主に人権問題として認識されているため、障害者の権利条約の作成はとりわけ重要であるとの見解を示した。さらに代表者らは、条約は基準規則を補完するものであり、規則を代替するものではないと現在考えられていることを述べた。基準規則は拘束力を持たないが、政策と実践において効果的なガイダンスを提供する必要不可欠な文書である。

56.4月17日にジュネーブのWHO本部で開催された諮問会議でも同様の議論が行われた。障害者の非政府組織はこの会議で、人権機構および全国的な人権機関と密接に関わる意向を示し、運動の中で障害者の人権問題に適切な配慮をおくことを再公約することができた。また、全国機関はこの会議において、障害者の権利を擁護ならびに促進する上での、国内での経験と成功事例を紹介することができた。

2.今後の戦略

57.1990年代からのいくつかの重要な出来事、すなわち障害者と人権に関するレアンドロ・デスポイ氏の報告の出版、経済的・社会的・文化的権利委員会によるジェネラル・コメント(一般的意見)No.5の発行、そして人権委員会による関連決議の採択などの結果、障害は人権問題として認識されるようになった。今後の課題は、この主要な認識をどのように実質的な行動に移すかである。障害を国連内の人権活動に不可欠な側面として発展させ、効果的な報告とモニタリング手順を機能させる必要がある。

58.これらの取り組みが国連機構内で進められる間、政府、全国的な人権機関、そして全国的な障害者組織は、国レベルでも開発活動を進めなければならない。

(a)メインストリーム化の方法

59.1994年に経済的、社会的、文化的権利委員会が発行したジェネラル・コメント(一般的意見)No.5は、障害を人権問題として発展させる過程において画期的な前進であった。このジェネラル・コメントに含まれるメッセージは、障害に関連した人権侵害は、全ての人権モニタリング機構の責任に含まれる、ということである。人権委員会が採択した一連の決議にも、同様のメッセージが含まれる。ただし現在まで、期待されていた方法で報告やモニタリングの手順に障害が含まれたのは、非常に限られた範囲である。今までの経験から、障害に関連する人権侵害の報告やモニタリングの改善は、自然と進まないことはわかっている。従って、国連モニタリング機構の中で必要とされる能力と体制を確立するため、人権委員会と高等弁務官事務所は、具体的な対策を講じる必要がある。

60.現在の議論の焦点は、障害者の権利の効果的な擁護を実現するために、どのような取り組み方を選ぶか、ということに集中する。既存の規約や条約に関連するモニタリング機構の中に、障害の側面を育てていくべきか、または、特別な法律文書を作成するべきか。もしくは、この2つの方法が互いを補完できるような、3つ目の方法はあるか。

61.現代の障害政策の最重要理念である、完全参加とインクルージョンの原則は、私の考えでは、既に存在するモニタリング機構に必須の一要素として、障害者の人権の効果的なモニタリングを確立する方法を強く支持している。障害と、社会的性別や子どもの権利などの他問題との重要な違いの一つは、障害分野には国連基準規則があり、基準規則が国の政策と法律の開発において効果的な道具となることが証明されていることである。規則は、一般的な国連モニタリング機構における人権のモニタリングを支援し、既存の条約のさまざまな条項が、障害者のニーズに基づいて適用されるときに参考にできるものである。

62.もう一つ考慮しなければならない点は、経済的・社会的・文化的権利と市民的・政治的権利の2つの国連規約をモニターする委員会から出された勧告や非難は、障害の特別な機構から出されたものよりも、加盟国政府の政策に対してより大きな影響力を持つ可能性が高い、ということである。この他、障害の側面を一般的な人権モニタリング機構の中で発展させることが優位となるもう一つの理由は、条約の作成に長い時間がかかってしまうことである。特別な条約に含まれる内容について同意し、過半数の加盟国がこれを採択し、障害者の生活に実質的な改善を与えるような条項を作成するには、数年間かかる可能性が高い。この間に、メインストリーム化の取り組みは可能な限り高いレベルまで発展させる必要がある。

(b)条約の役割

63.人権委員会が2000年に開催した会議以降、障害者の権利に関する特別な条約の作成は、国際障害者組織より積極的に支持された。この構想は、私が参加した数多くの国際行事において話し合われた。

64.私はこれらの話し合いの中で、障害者の権利に関する特別な条約を作成する主な目的を4つ確認できた:

(1)基準規則が効果的な実施手段となり、多くの国で政策開発の前進に至ったにもかかわらず、基準規則の最大の弱点が、法的な拘束力がないことだと頻繁に指摘される。障害者組織の代表者の多くは、国レベルにおいて障害者関連のニーズに対するより広い配慮を実現するには、拘束力のある条約の方が、より有効な手段になるとみている。
(2)広く存在する見解の一つは、障害者の人権の効果的な擁護に必要とされる対策は、国連の一般モニタリング機構の中ではいつまでも実現しない、ということである。このような考えが持たれる様々な理由が、話し合いの中で私に示された。この例として、障害が人権問題でなく、社会的および医療的な問題であるとの人権専門家の間の一般的な認識、他に急な対策を要するとみなされる権利問題の優先、新しい人権の側面を確立する膨大な作業に対する消極性、などがあげられる。
(3)国連の一般モニタリング機構の中に部分的な発展が実現しても、メインストリーム化は障害者の権利を強化するのに十分でない。
(4)4つめの問題は、影響力と実質的な認識に関連して、女性の政治的権利に関する条約、そして女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約で得られた経験に基づいている。これは、特別な条約が採択されるまで、障害が本当の意味で人権問題として認識されない、という問題である。

(c)メキシコ政府のイニシアチブ

65.2001年の後半、メキシコ政府は2つの会議において、将来的な、障害者の権利に関する条約の構想を提起した。「人種主義、人種差別、外国人排斥およびそれに類する不寛容に反対する世界会議(ダーバン、南アフリカ、2001年8月31日〜9月7日)」では、メキシコのイニシアチブにより、会議で採択された行動計画に次の節が取り入れられた:

「障害者の権利と尊厳を擁護ならびに促進し、特に障害者に影響する差別的な慣行や待遇に対処する規定を含んだ、完全で広範な国際条約を起草するよう、国連総会に要請する」(第192節)

66.メキシコ政府は、国連総会第56回会議の第3委員会(社会・人道・文化関連問題担当)において障害者の人権に関する条約を起草する構想は提起した。この件は、2001年11月10日の一般協議で発表されたメキシコのビセンテ・フォックス・ケサダ大統領の声明文の中で、重要事項に一つとして取り上げられた。

67.国連総会第56回会議の第3委員会第52回会議において、メキシコ代表団は「障害者の権利および尊厳を促進ならびに擁護する広範かつ総合的な国際条約」に関する決議案を紹介し、これは国連総会による採択を受けるために総意で承認された。決議案本文の第1節(A/C.3/56/L.67/Rev.1)は次の通りである:「1.人権委員会および社会開発委員会の勧告を考慮しながら、人権と差別撤廃の分野で進められてきた全対観的な取り組みに基づき、障害者の権利および尊厳を擁護ならびに促進する国際条約の提案を検討し、国連の全加盟国とオブザーバーに開かれた特別委員会の設立を決定する。」

68.決議案によると、特別委員会は総会の第57回会議の前に、10日間の会議を少なくとも1回開催する。障害と人権に関心を寄せる国連機関、政府機関、そして非政府組織は、特別委員会の活動に参加するよう奨励されている。国際条約の作成において考慮すべき内容と実質的な対策に関する勧告を求められるよう、起草作業に協力する地域セミナーが開催されるべきである。

69.総会によるこの決議案の採択は、条約の起草作業が開始されたことを意味する。この作業の第一歩として、いくつかの基礎的な問題に関する予備的な分析を行うべきであると私は考える:

(1)この新しい条約では、どのような分野が扱われるべきであるか?
(2)既存の一般的な条約と、どのような関係を持つべきであるか?
(3)原則的なレベルに止め、本質的には全体を網羅しながら、世界中の国の状況に適用できるようにするべきか?
(4)主要な焦点を、開発途上国のニーズに基づいて起草するべきか?
(5)条約は基準規則にとってかわるものとなるべきか、または、基準規則と条約は互いを補完するべきであるか?

70.以上は、条約の起草と新しい国際条約の内容に関する考慮事項を最終的に決定する上で、答えを出しておかなければならない問題の一部であると私は考える。

(d)平行的な取り組みの勧め

71.国連総会による、A/C.3/56/L.67/Rev.1の文書に含まれる改訂された決議案「障害者の権利および尊厳を促進ならびに擁護する広範かつ総合的な国際条約」の採択は、障害者の権利に関する条約の起草作業が開始されたことを意味する。この作業の第一段階において、このような条約の役割と内容に関する基礎的な問題が検討されるべきである。この中で、社会開発委員会と人権委員会の勧告が考慮されるべきである。また、国連機構の団体、政府機関、そして非政府組織から寄せられた意見も、条約の実際の起草作業に関する考慮事項が決定される前に考慮されるべきである。

72.条約の起草作業は数年かかる可能性がある。その間、人権委員会で作られてきた勢いを活用して、既存の国連人権モニタリング機構の中に障害の側面を発展させることが重要である。

73.この意味で、平行的な取り組みが奨励される。

C.国連団体と組織の間の情報交換と協力
1.背景

74.それぞれのプログラムの中で障害に関連する取り組みや活動を有する国連団体や組織の数は増加しているが、その多くがニーズと実施できる活動の両面において、規模が小さく資金的・人的資源が不足している。最近の数年間において、人権高等弁務官事務所はそのさまざまな活動に障害の要素を取り入れ始めた。世界銀行も、障害問題への関わりを深める活動を最近開始した。ILO、UNESCO、WHO、UNICEFなど一部の国連団体や組織の間では、非公式な連絡や臨時会議が進められている。UNDPとUNCHRも、それぞれのプログラムの中で障害への関わりを深めるべきであると私は考える。

75.私は社会開発委員会への以前の報告(A/52/56、付属書(1997)とE/CN.5/2000/3、付属書(2000))の中で、国連団体や組織と、障害分野のプログラムの間で、より体系的な経験とアイデアの交換が必要であると指摘した。この取り組みの中で、国連事務局の障害プログラムがコーディネーターの役割を担うべきである。私は、「国連障害者の10年(1983〜1992)」の間に存在した機関間機構を再び設置することを提案した。残念ながら、今のところ、何も行動は起こされていない。障害分野に関わる国連団体や機関の数は増加しているため、現在はこのような機構の必要性がさらに増している。

2.バーチャルな機関間機構の勧め

76.私は、国連団体や組織との連絡の中で、より体系的な情報・経験・アイデアの交換が必要であるとはっきりと感じてきた。国連団体や組織、とりわけ障害問題への関わりを持ち始める機関は、国連機構の他メンバーの経験を有効に利用できる。相互的な話し合いと情報交換は、全員の利益となる。調整の改善において何も行動が起こされていない理由は、資金的な制約である。

77.近代的な情報と通信の技術は、ここで至急必要とされる体系的な情報交換に新しい可能性をもたらす。このような情報交換の仕組みは安価に利用できる。また、国連事務局は情報交換のためのバーチャルな機構を活用する経験を既に有している。参加する各団体と組織は、その活動を簡単にまとめて発表することで、他団体と組織にこの内容を知らせることができる。特別なテーマの扱いに関する合意も可能である。このようなバーチャル会議を毎年行うもう一つの利点は、ここで得られた情報が、障害分野の発展について事務総長が国連総会に提出する報告に取り入れられることである。

78.以上の形で、国連事務局の障害プログラムが毎年、インターネットを介した通信を利用してバーチャルな機関間会議を開催することを提案する。

D.国連基準規則の今後のモニタリング・システム
1.背景

79.基準規則に関連した現在のモニタリング機構が終了するのは2002年の12月である。人権開発と国連人権委員会の役割に大きな重点を置いた場合でも、国連機構の中で障害を開発の問題として保ち、国連社会開発委員会の責務として扱うことが必要である。

80.基準規則第IV章1節において、モニタリングの目的は次のように述べられている:

「モニタリング機構の目的は基準規則の効果的な実施を進めることにある。モニタリング機構は各国が自国での基準規則の実施状況を査定し、その進歩を測定するのを支援する。モニタリングは障壁を把握し、規則の実施の成功に貢献する適切な措置を提案すべきである。…。重要な要素としてはアドバイザリー・サービスの提供と、各国間の経験と情報の交換もあるべきである。」

81.モニタリング機構のこれらの様々な要素は、1994年以来続けてきた活動に全て含まれていた。簡単に言えば、モニタリングの主要な2つの要素は、加盟国政府による規則の実施を促進することと、加盟国政府および世界レベルにおける開発の達成度を評価することである。

82.1990年代に、障害分野における国際政策開発の分野で大きな前進があったことは間違いない。この勇気づけられる発展にはさまざまな理由があるが、基準規則に関連した特別なモニタリング機構から生まれた活動が、この発展に貢献したことは間違いない。数多くの国への訪問と、障害者の現況に関する国際調査を実施するだけの資源が利用できたことは、非常に重要であった。障害分野の主要な国際非政府組織により設立された諮問的なパネルは、この活動を通して優れた専門的知識を提供し、世界中の全国的な障害者組織の大規模なネットワークの動員を可能にした。

2.今後のモニタリング機構

83.1994年以来得られてきた経験に基づいて、2003年以降に何が行われるべきか話し合う上で出発点となるのは、将来も基準規則の実施の積極的なモニタリング機構が設置されるべきとの考えである。2つの主要な機能である評価と促進は、今後も保たれるべきである。検討が必要な点の一つは、これらの2つの機能を、別々に働かせるかどうかである。

(a)状況を評価するための施策

84.モニタリング機構の重要な要素の一つは、加盟国政府における規則実施の進展の度合を評価することである。1994年以来、これは国際的な調査を通して3回行われた。WHOが特別報告者の協力を得て行った第3回調査の結果は、本報告書のセクションIIで取り上げられている。平行した活動として、障害者に関する世界行動計画が、主に加盟国政府からの情報をもとにして、5年毎の検証と評価によりモニターされている。世界行動計画と基準規則は同様の障害理念に基づいており、非常に似たガイドラインを持つ。従って将来的には、世界中の進展を評価するこの2つのモニタリング活動は統合され、単独の活動として実施されるべきである。

85.5年毎に調査を行うシステムは継続されるべきであり、また、これらの調査は主要な障害者の国際非政府組織との協力で行われるべきである。アンケートの一部は、時間の経過による変化を将来的に比較できるよう、標準化することができる。アンケートの第2部として、特定の要素を扱う具体的な調査を行うこともできる。それぞれの組織の回答準備と、政府からの回答を得るための支援において、国際非政府組織とそれに提携する全国的な組織を調査に動員する形は、現在の特別報告者の基準規則モニタリング機構で成功的に実践されてきた手順を見習うべきである。

(b)促進とアドバイスの施策

86.規則の第IV章12節では社会開発委員会に以下の任務が与えられている:

「特別報告者の任期が終了した後の会期で、社会開発委員会は任期延長、新特別報告者の任命、新たなモニタリング機構の考慮のそれぞれの可能性を考慮し、経済社会理事会に適切な勧告を行うべきである。」

87.3つの内の最初の選択肢、すなわち任期を延長することは、現在の特別報告者が第3期で退くので除外することができる。残る2つの選択肢を検討するにあたって、いくつかの重要な側面を顧慮する必要がある。2つの選択肢のうち、一般予算からの資金提供や、政府や他の財源からの特別予算を調達する上で、どちらが有利になるか?また、この役割に本質的に適した人員の募集と任命において、どちらの形が有利になるか?

88.今まで得られた経験に基づいて考えると、活動を進める最も合理的な方法は、新しい特別報告者を任命することである。これは、今までと同じ枠組みとガイドラインの中で活動が継続できることを意味する。ただし、この選択肢をとれる可能性は、この任務に適した人が見つかるかどうか、そして複数の政府による特別予算の資金提供の有無に大きく左右される。他の選択肢と比較して有利になる点は、基準規則の第IV章で述べられる枠組みの中で、特別報告者が自立的に行動し、自由に活動を形成できることである。

89.もう一つの主要な選択肢は、国連事務局の社会政策・開発局内の障害プログラムへ、促進機能を統合することである。これを行う場合は、テクニカル・アドバイザーとしての上級ポストが障害スタッフに加えられるべきである。特別報告者と同様に、このアドバイザーは専門家としての優れた経歴、障害問題に関する政府との共同活動の経験、そして国際障害運動からの信頼を有している必要がある。この選択肢の前提条件の一つは、とりわけ各国への訪問とそれに関連する活動のために、十分な資金が利用可能となっていることである。

90.私は前回の報告(E/CN.5/2000/3、付属書)の中で、地域アドバイザーのシステムを確立する案を紹介した。最近の話し合いの結果、このようなシステムは2つの異なる方法で実現できることが明らかになった。方法の一つは、開発途上地域や中欧・東欧における経済の転換期にある国において、地域アドバイザーとしての常勤ポストを設置することである。これらのポストの所在地として最も適当なのは、地域の政府間団体の事務所である。地域アドバイザーを設置する利点は、諮問サービスを大幅に強化できることだけでなく、関係する国の経済的・政治的・文化的状況により密着できることである。このようなアドバイザーのための資金の調達先として、UNDPや、他の主要な開発協力機関の支援者などが適当である。

92.地域アドバイザリー・サービスを実現するもう一つの方法は、各地域から異なる専門分野を持つ、この役割に適任な専門家グループを募集することである。専門家らは特別訪問や、限定された期間で、地域内の国への訪問を引き受けられる必要がある。資金が許せば、このような訪問に対する支援と費用負担は、国連事務局、または地域の財源から支出することができる。

93.地域的なアドバイザリー・サービスは、国連事務局を本拠地とするテクニカル・アドバイザーの業務を支援するために必要となる可能性が高い。また、ここで提案される地域アドバイザーは、将来的に新しい特別報告者の活動を補完ならびに強化することもできる。

(c)専門家パネル

94.国連機構内の社会開発活動における最もユニークな取り組みの一つは、障害者の主要な国際非政府組織が設立した、諮問的な専門家パネルである。パネルの原則は、基準規則の第IV章3節の中に述べられる:

「経済社会理事会に協議資格を持つ障害を持つ人の国際組織並びに、自分自身の組織を結成するに至っていない障害を持つ人を代表する組織が、その組織間で、専門家パネルを結成するように求められるべきである。このパネルの過半数は障害を持つ人の組織とし、異なる障害の種別と必要な地理的均衡を考慮するものとする。このパネルは特別報告者と協議するものとし、必要に応じて事務局とも協議するものとする。」

95.1994年9月、次の6つの組織がパネルを構成することに合意した:障害者インターナショナル、インクルージョン・インターナショナル、リハビリテーション・インターナショナル、世界盲連合、世界ろう連盟、精神医療ユーザー・サバイバー世界ネットワーク。パネルは、異なる障害を持つ、世界中の異なる地域の10人のメンバー(5人の女性と5人の男性)で構成される。以前に述べたとおり、パネルは効果的に機能し、私の活動に優れた支援を提供した。さらに、6つの障害者の国際非政府組織と提携する600以上もの全国組織は、情報の収集と各国との連絡において、強力なネットワークを形成した。これは、私の各国への訪問と、国際調査の実施の双方において有効となった。もう一つの利点は、パネルが国際組織の団結を促し、組織と国連システムの間のコミュニケーションを推進したことである。

96.モニタリングが実施される形に関わらず、モニタリング機構に付属する専門家パネルのシステムを継続させることは重要である。パネルは、加盟国政府への今後の定期的な調査で、アンケートの作成と調査結果の分析の両面において、重要な諮問的役割を果たすことができる。パネルは当然、今後の新しい特別報告者やテクニカル・アドバイザーへ、そのさまざまな活動において、支援とアドバイスを提供することもできる。

(d)モニタリングの継続の勧め

97.国連基準規則は、障害分野における政策開発の国際的な手段として、その役割を今後も果たし続けるべきである。この前提条件の一つは、基準規則のさらなる実施を奨励し、進展の度合を評価する、積極的なモニタリング機構が存在することである。可能であれば、この運動を進める最適な方法は、基準規則の第IV章に述べられるガイドラインに従って活動を引き継ぐ新しい特別報告者の任命である。近い将来にこれが実現できなければ、モニタリング機構を国連事務局へ統合し、テクニカル・アドバイザーの上級ポストを設置するべきである。この双方において、現在と同じ方法で設立された専門家パネルのシステムが、モニタリング活動の様々な活動にアドバイスと支援を提供するべきである。

98.特別報告者またはテクニカル・アドバイザーの業務を補完ならびに支援できる、地域のアドバイザリー・サービスを持つシステムが開発されるべきである。

99.世界行動計画と基準規則がそれぞれ持つ、世界中の進展をはかるためのモニタリングと評価の体制は、国連事務局の障害プログラムが実施する、単独の定期的な活動として統合されるべきである。

100.モニタリング機構が有効に機能するための必要条件の一つは、通常予算と特別予算を通して、十分な資金がモニタリングの様々な機能に利用可能にされることである。

IV.まとめと勧告

101.経済社会理事会は決議2000/10の中で、私の任期を第3期(2000〜2002)まで延長することを決定した。基準規則の第IV章に述べられるモニタリング活動の他に、私はいくつかの分野に関するより詳細な分析を行うよう要請された。

102.本報告書の中で、任期中に行った各国への訪問や他の活動が概略されている。また、「障害児の権利」プロジェクトの活動も説明されており、世界保健機関が作成した、特定の規則に関する世界調査も取り上げられている。

103.各国への派遣活動、及び会合や国際的な諮問会議への参加で得られた情報により、基準規則が政策開発において大きな役割を果たし、アドボカシー(擁護運動)の手段にもなることは明らかになった。また、人権委員会が、基準規則を排斥と差別をなくす施策の検討基準として認識したことは、基準規則の重要性をさらに向上させた。

104.国連はその公約に基づき、障害分野における社会的排斥と人権侵害との戦いにおいて、先導的な役割を確立しなければならない。現在の任務に基づき、私は分析が必要とされる以下の4つの分野を確認した:

(1)基準規則の補完
(2)障害を人権問題としてさらに発展させる対策の提案
(3)障害分野における国連機構内の協力関係の改善
(4)基準規則の今後のモニタリング見識の検討

105.基準規則の補完分野については、社会開発委員会による考慮のために、基準規則の補足文案を作成した。この補足文案は本報告書に添付される。

106.今後の活動に関して、以下を推薦したい。

(1)基準規則の補完
基準規則の採択より10年近くが過ぎた。基準規則はこの期間中に、政府、そして障害分野の国際的・全国的な非政府組織の双方が利用する、主要な政策実施手段に発展した。人権開発において、排斥と差別に終止符を打つ施策の基準として、基準規則は認識された。
基準規則を、政策、法律、そしてプログラムの今後の開発のより効果的な手段にするため、現在の基準規則を発展させ、補完する必要がある。私は、添付の補足文案の採択と発行を行うよう国連に推薦する。
(2)人権における平行的な取り組み
国連総会による、A/C.3/56/L.67/Rev.1の文書に含まれる改訂された決議案「障害者の権利および尊厳を促進ならびに擁護する広範かつ総合的な国際条約」の採択は、障害者の権利に関する条約の起草作業が開始されたことを意味する。この作業の第一段階において、このような条約の役割と内容に関する基礎的な問題が検討されるべきである。この中で、社会開発委員会と人権委員会の勧告が考慮されるべきである。また、国連機構の団体、政府機関、そして非政府組織から寄せられた意見も、条約の実際の起草作業に関する考慮事項が決定される前に考慮されるべきである。
条約の起草作業は数年かかる可能性がある。その間、人権委員会で作られてきた勢いを活用して、既存の国連人権モニタリング機構の中に障害の側面を発展させることが重要である。
この意味で、平行的な取り組みが奨励される。
(3)障害分野における、国連団体と組織の間の協力関係の改善
私は、国連団体や組織との連絡の中で、より体系的な情報・経験・アイデアの交換が必要であるとはっきりと感じてきた。国連団体や組織、とりわけ障害問題への関わりを持ち始める機関は、国連機構の他メンバーの経験を有効に利用できる。相互的な話し合いと情報交換は、全員の利益となる。調整の改善において何も行動が起こされていない理由は、資金的な制約である。
近代的な情報と通信の技術は、ここで必要とされる情報交換に新しい可能性をもたらす。私は、国連事務局の障害プログラムが、アクセス可能なインターネット技術に基づいて、バーチャルな機関間会議を毎年開催することを提案する。
(4)モニタリングの継続
国連基準規則は、障害分野における政策開発の国際的な手段として、その役割を今後も果たし続けるべきである。この前提条件の一つは、基準規則のさらなる実施を奨励し、進展の度合を評価する、積極的なモニタリング機構が存在することである。可能であれば、この運動を進める最適な方法は、基準規則の第IV章に述べられるガイドラインに従って活動を引き継ぐ新しい特別報告者の任命である。近い将来にこれが実現できなければ、モニタリング機構を国連事務局へ統合し、テクニカル・アドバイザーの上級ポストを設置するべきである。この双方において、現在と同じ方法で設立された専門家パネルのシステムが、モニタリング活動の様々な活動にアドバイスと支援を提供するべきである。モニタリング機構が有効に機能するための必要条件の一つは、通常予算と特別予算を通して、十分な資金がモニタリングの様々な機能に利用可能にされることである。
世界行動計画と基準規則に関連して実施されている、世界中の進展をはかるためのモニタリングと評価の体制は、国連事務局の障害プログラムが実施する、単独の定期的な活動として統合されるべきである。
特別報告者またはテクニカル・アドバイザーの業務を補完ならびに支援できる、地域のアドバイザリー・サービスを持つシステムが開発されるべきである。

障害者の機会均等化に関する基準規則 実施状況のモニタリング
国連社会開発委員会特別報告者による第3期最終報告
2000〜2002 ベンクト・リンドクビスト

戻る