スポーツ庁に聴覚障害者のスポーツ施策について要望

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 スポーツ委員会は、デフリンピックアスリートの強化支援、スポーツ施設の環境整備の推進、聴覚障害者の競技大会開催における支援施策の実施と拡充等を要望しました。そして、今月18日から約2週間にわたってトルコのサムスンで開催される『デフリンピック』の知名度を上げることも昨年に続いて要望。とりわけ、庁内の展示コーナーでデフリンピックのことを宣伝いただくよう要請しました。

スポーツ庁 スポーツ庁

連本第170256号
2017年7月10日

文部科学大臣
松野 博一 様

162-0801
東京都新宿区山吹町130SKビル8階
Tel03-3268-8847・Fax03-3267-3445
一般財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 石野 富志三郎

聴覚障害者のスポーツ施策への要望について

 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 日頃より、私ども聴覚障害者の福祉向上にご理解ご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
 国連の障害者権利条約において、障害のある人が平等にあらゆるスポーツ活動に参加できるよう定めております。また、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックを機に、国内における障害者へのあらゆるバリアフリーを推進させる施策について具体的な審議がされていることと思います。これら障害者のスポーツ施策への取り組みがより一層、国民の皆さまから後押しして頂けることを期待しております。
  つきましては、さらなる聴覚障害者スポーツの施策推進をお願いしたく、下記の通り要望いたしますので、その早期実現をお願い申し上げます。

1.デフリンピックに出場する聴覚障害者のアスリートに課せられる経済的な負担を軽減すべく、デフリンピックアスリートの強化支援やデフリンピック等の国際大会派遣への補助を拡充してください。

(説明)
 第23回夏季デフリンピック競技大会2017サムスン(トルコ)でのメダル獲得に向け、選手・スタッフたちは研鑽を積んでいます。当委員会や各競技団体は、国民へ障害者への理解を啓発し、全国の聴覚障害者に大いなる感動と夢を与えるために、トップアスリートの育成や強化に取り組んでいます。
 しかし、選手たちは研鑽を積みたくとも経済的な負担が重く、それが競技力の向上を妨げる一因となっています。また障害者スポーツ活動への助成を行っている自治体もありますが、ほとんどが対象はパラリンピック関係となっています。
 選手たちが継続的・日常的に競技を続けられるために、またデフリンピックで選手たちが障害を乗り越え挑戦する姿を見せ、社会へ障害に対する理解につながるよう、デフリンピックアスリートの強化支援やデフリンピック等の国際大会派遣のための施策の実施と拡充してください。

2.全国のスポーツ施設における音声情報へのアクセシビリティ向上や情報バリアフリー環境の整備の推進を図ってください。

(説明)
 障害者や外国人を含む選手及び観客がスポーツ施設を安心して利用できるよう、また競技状況や緊急時の情報伝達や意思疎通が円滑に行えるよう、筆談マークや手話マーク、磁気ループ、電光掲示板や光警報装置等、スポーツ施設における音声情報へのアクセシビリティ対応や情報バリアフリーの環境整備のガイドラインを策定してください。

3.聴覚障害者の競技大会開催における支援施策の実施と拡充を行ってください。

(説明)
 当連盟が主催する全国ろうあ者体育大会(夏季大会は毎年1回、冬季大会は4年に1回、全国各地輪番制)は、デフリンピックや世界選手権等への競技力向上の場となっています。
 このような意義のある大会に対しては、スポーツ基本法においても国がその経費について補助することができるとうたっています。
 聴覚障害者が参加する大会では、競技補助員や手話通訳者の配置、補助設備(スタートランプ等)の設置等の視覚的な情報保障が必要になります。しかし、地域自治体の補助金縮小などにより十分な環境が整えられない状況にあります。
 聴覚障害者の競技環境の保障のため、全国ろうあ者体育大会への財政的支援を要望します。

4.デフリンピックの日本開催について、調査委員会の設置等、調査を行ってください。

(説明)
 2020年東京オリンピック・パラリンピック開催が決定したことをきっかけに、国内外のさまざまなろう者スポーツ競技団体から、日本でデフリンピックを開催してほしいという期待の声が寄せられています。
 1924年にデフリンピックが開催されて以来、現在、国際ろう者スポーツ委員会(International Committee of Sports for the Deaf)のもとに、デフリンピックやろう者世界選手権大会の開催、そして各国のろう者スポーツの振興など、着実な歩みを続けています。今やデフリンピックの加盟国は104カ国を数えますが、その100年近くの歴史上、日本でデフリンピックが開催されたことはありません。
 今年7月にトルコで第23回夏季デフリンピックが開催されるのをきっかけに、国会やマスコミでも取り上げられ、6月12日にはパラリンピック推進議員連盟内にデフリンピック支援ワーキングチームが発足するなど、デフリンピックに対する期待が高まってきています。私どももその期待に応えるべく、昨年「デフリンピック啓発戦略調査チーム」を発足させ、かつてデフリンピックを開催した台北・ブルガリア等を調査しました。本年度はトルコを調査する予定です。
 2020年東京オリンピック・パラリンピッが開催された後、施設やボランティアなどをどう活用していくかが、これからの大きな課題になろうとしています。東京オリンピック・パラリンピックのレガシーをさらに活かし、デフスポーツひいては障害者スポーツのさらなる発展につなげるため、デフリンピック日本開催について検討をする時が来ています。スポーツ庁内にも調査委員会を設け、デフリンピック日本開催の可能性について、調査を行ってください。

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