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国連文書番号A/C.3/58/L.78(第58回国連総会第3委員会決議案)の仮訳

(訳:川島聡)

障害者の権利及び尊厳の保護及び促進に関する包括的かつ総合的
な国際条約に関する特別委員会

国連HP掲載の原文


国連総会は、

国連人権委員会及び社会開発委員会の勧告を考慮して、社会開発、人権及び非差別分野で行われた作業における全体論的アプローチに基づき、障害者の権利及び尊厳の促進及び保護に関する包括的かつ総合的な国際条約に関する諸提案を検討するため、すべての国連加盟国及びオブザーバーに参加の途が開かれた特別委員会を設置することを決定した国連総会決議56/168(2001年12月19日)を想起し、

また、国連総会決議57/229(2002年12月18日)並びに社会開発委員会及び国連人権委員会の関連決議を想起し、

あらゆる人権の普遍性、不可分性及び相互依存性を再確認し、また、障害者があらゆる人権を差別なく完全に享有することを保障する必要性を再確認し、

この点に関して、条約が果たし得る貢献を確信し、

条約文案を優先事項として国連総会に提示するために、国連加盟国及びオブザーバーが特別委員会に積極的に参加することを奨励し、

政府間機構、非政府組織及び国内人権機関が特別委員会の作業に積極的に参加することの重要性を強調し、また、障害者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全な享有を促進することへの当該諸機関の貴重な貢献を強調し、

特別委員会へのあらゆる利害関係主体の今までの重要な貢献を認めて、

1.障害者の権利及び尊厳の保護及び促進に関する包括的かつ総合的な国際条約に関する特別委員会の報告(注1)を歓迎する。

2.国連事務総長に対し、特別委員会の報告を社会開発委員会第42会期及び国連人権委員会第60会期に送付するよう要請し、さらに、両委員会に対し、特別委員会の作業に引き続き貢献するよう要請する。

3.特別委員会において条約案について交渉するための基礎となるであろう条約文案を、あらゆる提案を考慮に入れて、作成しかつ提示する目的をもつ作業部会を設置するとの特別委員会決定(注2)を支持する。

4.作業部会が条約文案に関する作業成果を第3回特別委員会に提示することに留意する。

5.特別委員会がその第3回会期において条約案に関する交渉を開始することを決定する。

6.また、特別委員会が、第59回国連総会が開催される前に、既存の財源の範囲内で、10日間の作業を行う会期を2004年中に2回開催することを決定する。

7.国連人権高等弁務官事務所と国連経済社会局との協力及び調整を強化することが、特別委員会の作業を共同して支援するために重要であることを強調する。

8.国連総会決議56/510(2002年7月23日)に従って、かつ、特別委員会の作業への非政府組織の参加形態に関する特別委員会決定に基づいて、特別委員会への非政府組織の積極的な参加を確保するための努力が一層なされることを勧奨する。

9.国連総会決定56/474(2002年7月23日)に従って、あらゆる障害者のために国連の施設及び文書に関するアクセシビリティを合理的便宜をもって確保するための努力が一層なされる必要があることを強調する。

10.国連事務総長に対し、特別委員会の作業の遂行に必要な便益を、当該委員会に引き続き提供するよう要請する。

11.国連加盟国が、特別委員会の諸会合に参加する当該代表団の中に、障害者及び/又はこの分野の他の専門家を引き続き含めることを奨励する。

12.国連加盟国、オブザーバー、市民社会及び民間部門に対し、特別委員会の作業への途上国(特に後発発展途上国)の非政府組織及び専門家の参加を支援するため、国連総会決議57/229により設けられた任意基金に貢献するよう勧奨する。

13.国連事務総長に対し、特別委員会に関する包括的な報告、並びに、本決議の第7, 8及び9パラグラフの実施に関する報告を第59回国連総会に送付するよう要請する。

注1)See A/58/118 and Corr.1  
注2)See A/58/118, para.15

*共同提案国名は省略しました。

川島聡訳



<訳者注:>

*この訳の基になった決議案原文は、手書きの修正がいくつか書き込まれているものであり、正式な総会決議として公表されるまでに、技術的その他の修正(細かな字句等を含む)がなされる可能性があります。

*この第3委員会決議案の共同提案国に日本は入っています。また、この決議案には、2004年に特別委員会が2回開催されると記載されています。もっとも、この決議案自体には、特別委員会の具体的な開催日は明記されていません。

作成日 2003年12月11日
財団法人 全日本聾唖連盟

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