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※全日本聾唖連盟による仮訳

「障害者の権利及び尊厳の促進及び保護に関する包括的かつ総合的な国際条約」
に向けてのアドホック委員会の第三回・第四回セッションの地域フォローアップに関する
ESCAP/APDFワークショップ

2004年10月11・12日、バンコク・タイ



障害者の権利条約の起草に向けて

審議中の条約の進捗状況、機会均等化のための各国の能力開発の実施、
条約制定に向けてのESCAPのこれまでの取り組みの概要


発表者:長田ケイ(障害担当官・国連ESCAP)
(原文:http://www.worldenable.net/convention2004/slidesnagata.htm

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「障害者の権利及び尊厳の促進及び保護に関する包括的かつ総合的な国際条約」に向けての第三回・第四回特別委員会の地域フォローアップに関するESCAP/APDFワークショップ
2004年10月11・12日、バンコク・タイ


第三回セッションのフォローアップ
長田ケイ
障害担当官
国連ESCAP

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1982年の国連総会で、障害者の社会生活および開発への完全参加と平等を目的とした「障害者に関する世界行動計画」が採択され、開発における障害者の発展のための包括的な枠組が国際社会に示された。

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平等は「世界行動計画」の基本的な課題であり、機会均等の目的の中に示されている。世界行動計画の中で、「平等」は、あらゆる機会が全ての人たちに享有される、同等な状況に関連付けて定義されている。

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1987年のストックホルム専門家会議の報告では、国連総会が、障害者に対するあらゆる差別を撤廃するための国際条約を起草し、1992年の国際障害者の10年の終わりまでに、各国政府がそれを批准することが提案された。

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ECOSOC(国連経済社会理事会)は、1990年5月24日の理事会決議1990/26において、社会開発委員会が、拘束力をもたない障害者の機会均等化に関する基準規則の起草にかかわるタスクを主導する権限を与えた。1991年5月30日の理事会決議1991/9は、社会開発委員会がおこなった障害者の機会均等化に関する基準テクニカル規則の起草にかかわる取り組みを歓迎した。

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以上の努力が実を結び、1993年12月20日の国連総会において、「障害者の機会均等化に関する基準規則」が、国連決議48/96の中で採択された。

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22の規則は、政策決定および技術的・経済的協力の基準となるガイダンスを示している。基準規則は、4章からなる。(a)平等な参加への前提条件、(b)平等な参加への目標分野、(c)実施方策、(d)モニタリング機構である。モニタリング機構の設置は、拘束力をもたない基準規則の革新的な一面である。

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リンクビスト氏は、1994-2002年の特別報告者としての任期中に、三度のモニタリング報告を提出した。リンクビスト氏の意見と提案は、新しい条約の制定を示唆していた。
特別報告者は、基準規則の内容を更に発展させ、障害をもつ児童の問題やジェンダー、保護や住居の問題により関心を向けるよう、人権的観点の必要性を指摘した。

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ツイン・トラック・アプローチ

人権と障害者の問題をより発展させることに関して、特別報告者は、障害者の権利に関する国際条約の起草は何年もの歳月を要する場合があることを指摘し、この機会をとらえ、国連の既存の人権モニタリングシステム内の障害者に関する範囲を発展させていくことも重要であると述べた。特別報告者は、人権と障害者の今後の発展について、ツイン・トラック・アプローチを推奨した。

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2001年国連総会第56回会期の一般討議において、メキシコのビセンテ・フォックス・ケサダ大統領は、障害者の権利に関する包括的かつ総合的な国際条約の構想を提案した。

フォックス大統領は、国際社会が貧困および社会的排除に打ち勝つための呼びかけとしてこの提案(メキシコ提案)をおこなった。

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国連総会決議56/168による第一回特別委員会において、メキシコ専門家会議からの報告および中国・欧州連合からの条約に関するポジションペーパーが検討された。

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「障害者の権利および尊厳の促進及び保護に関する国際条約」についての専門家会議およびセミナーが、2003年6月2-4日に、タイ・バンコクで開催された。

成果:国連ESCAPが、2003年6月16-27日にニューヨークで開かれた第二回特別委員会に、「バンコク提案」を提出。この「バンコク提案」は、「バンコク草案」(2004年10月のESCAPワークショップの成果文書の完全文案 full text version)のたたき台となる。

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第二回特別委員会において、条約の草案文書を起草するための作業部会が設置された。課題は山積みであり、我々の前には、長い道のりが続いている。
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バンコク草案(2003年10月に開催された条約に関するESCAPワークショップの成果文書:条約草案の完全文案)
  • 前文
  • 条約の目的と基本的な原則
  • 範囲/定義(障害および差別の定義を含む)
  • 条約で保障されている権利を尊重し保障するための締約国の全般的な義務
  • 平等と非差別の保障(女性と男性の平等を明記)
  • 特定の権利の保障
  • 締約国のその他の義務
  • モニタリング機構
  • その他の事項
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作業部会
2004年1月、ニューヨーク


  • 条約草案文書の起草
  • 作業部会の構成メンバー:27の政府(中国、インド、日本、レバノン、韓国、タイ、フィリピン、ニュージーランドを含む)、議長はニュージーランドが務める、12のNGO、国際レベルで活動している1つの国内人権機関
  • 議長草案=バンコク草案
  • 最新の条約草案(議長草案に作業部会が改訂を加えたものを含む)
  • 特別委員会第三回セッションに提出(2004年5月24日―6月4日)
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第三回セッションの重要項目
  • 私たちぬきで私たちのことは何も決めてはならない。(Nothing about us without us)
  • 社会経済権に関する発展的な気付き
  • 医療モデルではなく社会モデルを
  • 救済措置に関する締約国の義務の削除(バンコク草案とは異なる点)
  • 障害に関するデータの収集
  • EU(非差別)VS包括的モデル
  • 適切な配慮(reasonable accommodation)の定義
  • RI(リハビリテーションインターナショナル):リハビリテーションに関する条文を別途設ける必要性
  • 代替となる教育の選択肢(ろうや盲等のため)を設けたうえで統合教育を選択する権利
  • アクセシビリティや適切な配慮などの新しい権利
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適切な配慮
  • 従来の条約には見られない新しい概念
  • 救済措置の中で、この概念をどのように活用するか
  • 雇用者への過剰な負担
  • 適切な配慮 VS 従来の積極的是正措置(障害者雇用率、税金の免除など)
  • ADA(アメリカ障害者法)の定義
  • 各国の状況(異なった政治体制、民主主義、過渡期、非民主主義志向)
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第三回特別委員会
  • ワーキンググループからの報告(草案文書24条文) 第一回読み合わせ
  • 政府からの草案文書訂正案
  • LSN(地雷サバイバー・ネットワーク)による毎日の討議報告(NGOからの意見を含む)
  • 表題、構成、前文、定義、モニタリングについては、第四回特別委員会 (2004年9月開催)での討議へ見送られた。
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今後の方針
  • NGOコミュニティーと政府間の話し合い
  • 市民社会へのロビー運動
  • 特別委員会内でのインフォーマルな協議
  • 各国の状況に応じた対応
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各国の状況の応じた対応
  • 可能であれば、国内において政府に対するロビー活動 を行う。(A国は可能?B国は?)
  • 市民政治的、社会経済的権利の実施と実現
  • 障害者差別に関する条例(1995年No.86) -- オーストラリアの障害者差別法(1992年)およびフィリピンの障害者のマグナカルタ法(共和国法 No.7277)など、地域における人権に基づいた法的なよい実践例 -- 地域内で、よい実践例を模倣したり、交流を図ることは可能か。
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ご清聴ありがとうございました。



更新日 2004年9月21日
財団法人 全日本聾唖連盟

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