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※全日本聾唖連盟による仮訳

「障害者の権利及び尊厳の促進及び保護に関する包括的かつ総合的な国際条約」
に向けてのアドホック委員会の第三回・第四回セッションの地域フォローアップに関する
ESCAP/APDFワークショップ

2004年10月11・12日、バンコク・タイ



ワークショップの背景:これまでの経過
(原文:http://www.worldenable.net/convention2004/background.htm
国際的なレベルの動き

 2001年12月19日に採択された国連総会決議56/168において、社会開発、人権、非差別反対の分野における活動の全体的なアプローチに基づき、かつ人権委員会と社会開発委員会の提案を考慮しながら、「障害者の権利及び尊厳の促進及び保護に関する包括的かつ総合的な国際条約」についての提案を検討するためのアドホック委員会を設置することが決議された。

 決議は、各国政府が、地域委員会、国連人権高等弁務官、社会政策・開発部局、(The Division for Social Policy and Development)、社会開発委員会障害問題特別報告者と協力し、アドホック委員会が国際条約に含むべき内容や実践的な方法についての提案を作成することを支援するための地域会議やセミナーを開催することを求めている。

 また決議は、政府、関係団体、国連システムの各機関(人権条約に関する機関を含む)、地域委員会、社会開発委員会の障害に関する特別報告者をはじめ、政府間レベルの団体、障害問題に関心のあるNGOに対し、国連の規定・慣例に基づいて、アドホック委員会が委任された役割に貢献するように求めている。

 アドホック委員会の第一回セッションは、2002年7月29日-8月9日に、ニューヨークの国連本部で開催された。第二回セッションは、2003年6月16-27日に、ニューヨークの国連本部で開かれた。第三回セッションは、2004年5月24日-6月4日に、第四回セッションは、2004年8月23日―9月3日に開催される。

 2003年6月16-25日に開かれた第二回セッションにおいて、アドホック委員会は、参加政府が話し合いを進めていくときのたたき台となる条約の草案を作成し、報告するための作業部会を設置することを決めた。作業部会は、2004年1月5日―16日にニューヨークで開かれた。

 決議58/246において、国連総会は、2004年5月24日―6月4日に開かれる第三回セッションで作業部会が条約の草案を提出すること、アドホック委員会は第三回セッションにおいて、提出された条約草案についての話し合いを開始することを決めた。同決議には、アドホック委員会が、第59回国連総会の開催に先立って、2004年8月23日―9月3日に第四回セッションを開くことが定められている。

 「障害者の権利及び尊厳の促進及び保護に関する包括的かつ総合的な国際条約」に関するアドホック委員会は、セッションの第14日目、2003年6月27日に、参加政府およびアドホック委員会のオブザーバーが話し合いを進めていくときのたたき台となる条約の草案を作成し、報告するための作業部会を設置することを決議した。さらに、作業部会はアドホック委員会のセッションとセッションの間に会合をもつこと、その会合は2004年はじめに一セッション十日間の日程でニューヨークの国連本部で開催されること、作業部会は、第三回アドホック委員会において会合の成果である条約草案を提出することも決議された。このアドホック委員会の決定は、2003年12月23日におこなわれた国連総会の決議58/246で承認された。

 作業部会は、以下の各国政府、NGO、全国的な人権機関の代表者で構成する。
 作業部会は、2004年1月5日―16日に、ニューヨークの国連本部で第一回セッションを開催した。このセッションにおいて、作業部会は、20の正式な会合だけでなく、インフォーマルな協議の機会を数多く設けた。作業部会のセッションは、アドホック委員会の議長である、エクアドルのルイ・ガレーロス・チリボガ大使によって、開会した。第一回セッション初日の1月5日に、作業部会はコーディネーターとして、アドホック委員会の議長が協議の結果選任した、ニュージーランド代表のドン・マッケイ氏を承認した。

 アドホック委員会の第三回セッションは、2004年5月24日―6月4日にニューヨークで開催され、第四回セッションは、2004年8月〜9月にかけて開催される。

 ESCAPは、アドホックの第三回セッションに参加した。この地域ワークショップの目的は、アドホック委員会の第三・第四セッションのフォローアップとして、重要な課題について、ESCAP地域レベルで話し合うための地域フォーラムを提供することである。 ESCAPは、最近設立されたNGOの地域ネットワークであるアジア太平洋障害者フォーラム(APDF)と協力し、二日間のワークショップを開催する。(2004年10月12-13日、www.worldenable.net/convention2004/)このワークショップは、「アジア太平洋障害者のための、インクルーシブで、バリアフリーな、かつ権利に基づく社会に向けた行動のための地域におけるフレームワーク(BMF)」のモニタリングと実施に関する地域ワークショップの開催に合わせておこなわれ、ワークショップ終了後、2004年10月15-16日には、BMFのモニタリングと実施に関する地域ワークショップがバンコクで開催される。

地域レベルでの動き

 各国政府およびESCAP、NGOは、アジア太平洋障害者の10年(1993-2002年)の行動計画の実施に取り組んできた。「アジア太平洋障害者のためのインクルーシブで、バリアフリーな、かつ権利に基づいた社会の推進」と名づけられた2002年5月の決議58/4を受けて、2001年に委員会は、新たにアジア太平洋障害者の10年(2003-2012年)を設けることを決めた。新たな10年の政府の施策ガイドラインである「アジア太平洋障害者のためのインクルーシブで、バリアフリーな、かつ権利に基づく社会に向けた行動のための地域におけるフレームワーク(BMF)」は、各国政府に対し、アドホック委員会の活動を支援し、それに貢献するように求めるものである。

 上記の決議および地域の任務の実施にあたり、ESCAPは、障害者の権利と尊厳を保護・促進するための国際条約についての専門家会議およびセミナーを2003年6月2-4日開催した。この会議の成果は、新しい国際条約の包括的な提案として、バンコク提案にまとめられた。このバンコク提案は、2003年6月16-27日にニューヨークで開かれたアドホック委員会の第二回セッションに提出された。

 アドホック委員会は、障害をテーマとする条約を策定することを満場一致で可決し、2004年に開かれるアドホック委員会の次回セッションで話し合うための、条約草案を起草する作業部会を設置することを決めた。

 バンコク提案は、2003年6月16-27日に開催されたアドホック委員会の第二回セッションに提出され、委員会は、新しい条約の策定にとりかかることを満場一致で可決した。

 2003年には、「障害者の権利及び尊厳の促進及び保護に関する国際条約の策定過程への障害女性の完全参加を推進すること」をテーマにしたESCAPのワークショップが、2003年8月18-22日と2003年10月13日の二回にわたって行われた。障害とジェンダーについてのこれらのワークショップの成果として「提案書」が作成された。この提案書では、障害がある女性の視点からの具体的な提案をとおして、策定中の国際条約を団結して支援していくことが示されている。

 障害者の権利及び尊厳の促進及び保護に関する包括的かつ総合的な国際条約に向けての地域ワークショップが開催された。このワークショップは、アジア太平洋地域の障害がある男性および女性に関する多くの問題を示すことで、新しい国際条約の世界的な策定プロセスに貢献した。アジア太平洋地域は、世界的に見ても、もっとも多くの障害者(約四億人)が暮らす地域である。ワークショップでは、その成果として、新しい国際条約の草案となる「バンコク草案」を採択することを目指した。

 ESCAPは、障害者政策および人権の専門家、以前開催された女性と障害のワークショップを代表する参加者を招いた。これらの専門家には、国際条約の策定プロセスに直接的にかかわることで自らの力を高めると共に、彼らのもつ知識を活用してワークショップに貢献することが期待された。専門家は、政府機関、半政府機関、市民社会団体(障害者のための団体、障害者の自助団体)から召集された。障害には、身体障害、視覚障害、聴覚障害、精神障害が含まれる。

 ワークショップ終了後直ちに、ESCAPの担当者は、ワークショップの話し合いに基づいてバンコク草案の改訂をおこない、バンコク草案(第二案)が作成された。この第二案は、政治的な声明である「北京宣言」の話し合いおよび策定のためのセミナーで活用された。

 この「バンコク草案」と「北京宣言」(ESCAPが2003年におこなった一連の国際条約に関する活動の最後のイベントとして、2003年11月に北京(中国)で開催された国際条約に関するESCAP/CDPFセミナーの成果として発表された文書)は、アドホック委員会の議長に提出された。またそのコピーが、社会開発委員会の特別報告者および経済社会問題部(DESA)に提出された。

 2004年1月に開催された上記の国際的な作業部会の第一回セッションにおいて、バンコク草案は、アドホック委員会の議長草案の基盤として用いられ、各条文は作業部会の話し合いのたたき台として大いに活用された。その成果は、2004年5/6月にニューヨークで開かれたアドホック委員会の第三回セッションに提出された。バンコクから提出された地域インプットは、世界的な国際条約策定プロセスの中で、重要な役割を果たしたのである。


更新日 2004年9月21日
財団法人 全日本聾唖連盟

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