警察庁「道路交通法改正試案」パブリックコメント募集

聴覚障害者関連事項に対する連盟の意見

財団法人全日本ろうあ連盟


 今回の「道路交通法改正試案」の「(4)聴覚障害者の運転免許に関する規定の整備」については、補聴器を装用しても「10メートルの距離で、90デシベルの警音器の音がきこえる」との要件を満たさないため、運転免許を取得できなかった聴覚障害者に対し、運転免許取得の道を開こうとしていることを評価したいと思います。

 しかしながら、1954年(昭和29年)以来「ろう者の運転免許獲得運動」を全国的に展開してきた当連盟としては、道路交通法施行規則23条(適性試験)にある「聴力(第一種運転免許及び仮免許に係る適正試験にあっては、補聴器により補われた聴力を含む)が10メートルの距離で、90デシベルの警音器の音がきこえるものであること」の根拠が理解できないため、これを撤廃し、聴力検査無しで全ての聴覚障害者が運転免許を取得できるよう道路交通法の改正を求めてきました。

 このことから、今回の改正試案については、「ワイドミラー」装着が後方確認に有効なのであれば、ユニバーサルデザインの考え方からして全ての自動車に装着することが妥当であろうと考えます。また,「聴覚障害者標識の表示」については、聴覚障害者自身が表示をする、しないの選択ができるよう、身体障害者標識同様に努力義務としていただくことが望ましいと考えます。

 今回の改正には触れられていないようですが、第一種運転免許を取得すれば運転できる原動機付自転車及び二輪自動車の運転についても、普通自動車同様に運転免許が取得できるよう早急な検討を要望いたします。

 なお、安全確認をするための聴覚障害者向け教習が重要であることは認識しています。当連盟としても、各都道府県で実施されている身体障害者生活訓練事業等の講習において、交通安全を十分に周知する等の努力をしてゆきたいと考えます。同時に「聴覚障害者標識」の意味と対応をはじめ、一般運転者、国民の全てに聴覚障害についての正しい理解を広げるよう啓蒙をお願いいたします。

 2007年1月28日

以 上



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