2006年5月19日

文部科学省
中央教育審議会初等中等教育分科会
教育課程部会特別支援教育専門部会 御中


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財団法人全日本聾唖連盟
理事長 安藤豊喜


特別支援教育に係る教育課程の改善に関する意見について



  時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 日頃より聴覚障害者への福祉向上にご理解とご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
  標記について意見を下記の通り申し上げます。




1.学校教育法の一部改正−特別支援学校制度の創設について
(意見)
  特別支援学校制度においては、 聴覚障害のある児童・生徒の教育について原則として障害単独形式の学校形態を維持すべきです。

(理由)
 ・ 聴覚障害のある児童・生徒にとって音声言語を駆使しての自由なコミュニケーションは困難であり、視覚言語として手話による情報・コミュニケーションの環境の優位性を認識すべきです。特に、コミュニケーション手段の異なる障害児との一本化した学校形態では、聴覚障害のある児童・生徒のコミュニケーションに多大な負担を強いることになります。
 ・ 障害児個々のニーズへの対応には、聴覚障害のある児童・生徒同士の集団的な教育環境の保障も考慮されるべきです。聴覚障害児の障害受容及びアイデンティティ形成にはろう学校の存在が大きな意味を持ちますので、単独のろう学校は継続していくべきです。

2.教育職員免許法の一部改正について
(意見)
 (1) 聴覚障害のある児童・生徒の教育に十分対応できるようにするため、教員免許取得に際しては聴覚障害教育の専門性を十分身に付けられる条件を考慮することを求めます。
 (2) 教員採用にあたり、聴覚障害のある児童・生徒との日常的なコミュニケーションを図る技術レベルの判断基準の導入が必要です。
 (3) 以上のように聴覚障害教育の専門性を十分身に付けるため、教員が手話を習得し聴覚障害への理解を深められるような制度を確立して下さい。

(理由)
 ・ 聴覚障害のある児童・生徒への教科教育はもちろんのこと、聴覚障害を受容し社会生活をしていくことを教えていくために、聴覚障害者の生活及び手話に関する歴史を教員を目指す者が学習していくべきです。教員が聴覚障害を正しく理解し、教えていくためには教員養成課程において障害に関する学習を行うことが肝要です。
 ・ また、聴覚障害のある児童・生徒との自由なコミュニケーションが可能なレベルの手話を身につけることが必要です。
 ・ そのためには、手話に対する研究や通訳可能な人材養成を行なっている施設との連携により聴覚障害児教育に携わる教員の資質の向上を図るべきです。
一つの例として、社会福祉法人全国手話研修センターでは、『聴覚障害児手話テキストの発行及び担当教師の養成』を企画しています。このような社会資源を最大限に活用して、教員の手話取得を推進するとともに、聴覚障害者の生活歴史などの基本的な知識を身につけさせるための施策を行なうべきです。


以  上