2005年6月24日
厚生労働省 保険局
 保険局長 水田 邦雄 様
東京都新宿区山吹町130 SKビル8F 
電話03-3268-8847・Fax.03-3267-3445
財 団 法 人 全 日 本 聾 唖 連 盟 
理 事 長 安 藤 豊 喜  
医療場面における手話通訳に関する要望について
 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 日頃より、聴覚障害者福祉の向上にご理解ご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。
 さて、ろう者の基本的なニーズは、手話コミュニケーションの保障にあります。それは働く権利、教育を受ける権利、政治参加の権利などすべての権利を実現するための必須条件であり、「権利保障の基盤」というべきものです。私たちはこれを理念として、手話の言語としての位置付けと、手話コミュニケーションの保障による「自己選択・自己決定」の基盤整備としての手話通訳制度の発展をめざし取り組んでいるところです。
  しかし、中央社会保険医療協議会(中医協)診療報酬基本問題小委員会においての、いわゆる「混合診療」についての議論の中で、実費徴収を認めても良いと考えられるものが検討されており、2005年5月15日付け毎日新聞では「実費徴収となる主なサービス、医療行為」の中に聴覚障害者のための手話・通訳が含まれているとの報道がなされました。これには手話通訳は基本的人権であると考える我々として、大きな衝撃を受けております。
 医療行為にともなう手話通訳の実費徴収は、聴覚障害者に手話通訳保障の責任と経費の自己負担を一方的に求めるものであり、上記の手話通訳制度を後退させるものに他なりません。
 インフォームドコンセントの考え方から言うと、患者は自分の病気と医療行為について、知りたいことを「知る権利」があり、治療方法を自分で決める「決定する権利」を持つ訳であり、ろう者においては手話通訳の保障があってこそ正しい情報伝達と医療行為が行なわれ得ると考えます。そういった視点からも、手話通訳の保障は医療機関側の責務であり、同時に手話通訳制度においても医療場面での手話通訳は大きな比重を占めております。
 以上の点から、いわゆる「混合診療」の実費徴収対象から手話通訳を削除することを強く要望いたします。
以   上