2004年12月8日

総務大臣
 麻 生 太 郎  様

東京都新宿区山吹町130 SKビル8F 
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財 団 法 人 全 日 本 聾 唖 連 盟 
理 事 長 安 藤 豊 喜  

聴覚障害者の福祉施策への要望について

 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 日頃より、私ども聴覚障害者の福祉向上にご理解ご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
 さて当連盟は、本年6月13日岩手県盛岡市において第52回全国ろうあ者大会を開催しました。この全国大会決議の趣旨に基づき、聴覚障害者の福祉に関し下記の通り要望いたしますので、その早期実現をお願い申し上げます。

  1. 聴覚障害者が手話を使用して電話網を最大限にかつ効率的に利用できるようにするため、テレビ電話の通信に関わる規格を統一し、互換性を保障する政策を取ってください。

  2. 今年の数回にわたる台風・地震等による被害に対して、事前の周知・避難所の対応等を盛り込んだ「災害対策マニュアル」を作成する等、音声情報が伝わらない情報障害者への対策を講じてください。また、緊急災害時の情報確保の観点から、聴覚障害者の緊急災害時における情報保障に関する事業の助成を実施してください。

    (説明)今年は台風の接近や上陸・地震・浅間山噴火等、自然災害が非常に多い年となっており、その都度、各放送局でも緊急災害時における、画面への文字表示に工夫をいただく等の努力をしていただいております。
    緊急災害時は、事前の準備が困難なものであり、その理由からも、字幕放送ではなく、情報の文字表示が重視される傾向がありますが、緊急災害時において、聴覚障害者にとって、テレビ画面に表示される情報のみが頼りとなります。
    刻々と変化する情報を伝える際、テレビの果たす役割は大きいものです。総務省として、被災地における、聴覚障害者の情報保障の確保のための積極的な事業を推奨し、かつ、それらの事業を行う団体に対して助成を行ってください。

  3. 現在では、参議院議員比例代表選挙、衆議院議員小選挙区選挙においては、政党の「任意」という条件ながらも、手話通訳付政見放送が実現しています。しかし、実際の政見放送をみますと、全体の半分以下にとどまっていたり、全くつかない政党もあり、聴覚障害者の選挙権を保障した政見放送とは言い難いのが現実です。さらに、参議院選挙区、都道府県知事選挙の政見放送に手話通訳を付けることは認められていません。
    衆議院・参議院のすべての選挙、また都道府県知事選挙の政見放送は、聴覚障害を持つ国民すべての参政権保障のため、政党の任意ではなく、国及び都道府県の責任による「手話通訳・字幕付きテレビ政見放送」として公営化して下さい。

  4. 公職選挙法により「選挙運動に従事する者のうち、専ら手話通訳のために使用する者」には「報酬を支払うことができる」とされていることについて、公正・中立を重要な倫理とする手話通訳者が選挙運動員とされることは、手話通訳者の社会的信用に関わるだけでなく、基本的な人権としての参政権を求める私たち聴覚障害者の取り組みが選挙運動とみなされる懸念があります。手話通訳者の社会的信用と公正・中立のため、手話通訳者については、「選挙運動に従事する者」に含めず独立した条項になるよう改正して下さい。

  5. 聞こえる人は電話による候補者への支援依頼ができますが、聴覚障害者は電話に代わる手段が一切認められていません。電話に代わる手段としては、ファックス、携帯電話文字メール、インターネットメールがあります。さらにはテレビ電話も普及しつつあり、聴覚障害者も国民として平等に選挙に参加する機会を保障してください。

  6. 職員定数条例にバリアフリーの一環として手話通訳を含めてください。
    行政における住民サービスは、聴覚障害者へも他の住民と全く同じサービスを提供する責務を持っていることから、専門性を持った手話通訳者を必ず配置されるよう、職員定数条例にバリアフリーの一環として手話通訳を含めて下さい。

以  上