2003年10月21日

警察庁
長官 佐藤英彦 様

財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 安藤豊喜

2003年度「安全運転と聴覚との関係に関する調査研究」への要望

時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 日頃は聴覚障害者の福祉向上にご支援・ご協力を賜り、厚く御礼申しあげます。
 さて先般、標記「安全運転と聴覚との関係に関する調査研究」事業が財団法人国際交通安全学会において行われる旨お伺いし、あわせてこの事業の「委託仕様書」を拝見させていただきました。
 この「委託仕様書」に記載されている内容を踏まえて、下記のように要望いたします。何卒今年度の標記事業にて実現下さいますよう、お願い申しあげます。

1.「1.目的」に「昨年度の結果を踏まえつつ・・」とありますが、警察庁においては昨年度の調査結果である株式会社システムソフトによる「平成14年度警察庁委託 安全運転と聴覚との関係に関する調査研究 成果報告書」をどのように評価し、今年度の「調査研究」に繋げていくのか、そのお考えをお伺いいたします。
2.「2.調査研究内容」の「(1)実車等による実験の実施」について
@ 「健聴者へ実車両を運転させる実験」において、下記の環境も設定してくださるよう要請します。
・冷暖房をつけて窓を締め切る一方で、車内でCD、ラジオ等の音声を常時流している環境
 [説明] 健聴者でも車の窓を閉め切り、その上音楽やラジオのボリュームをあげた環境では、車外の音はかなり遮断され、聞こえにくい状況になると思われます。この場合の警報器音等の聴取可能性の調査が必要です。

A 「オ実験実施関係」について「関係分野の専門家5人以上」とありますが、どのような分野の専門家を想定されているかお伺いいたします。
また、万一専門家に聴覚障害者が含まれていない場合は、是非とも聴覚障害者の視点で「実験の実施内容・方法等」について意見を述べる機会を作ってください。
3.「(2)イ(ア)聴覚及び視覚に関する免許の・・・」とありますが、この「視覚」に関する調査の内容をお伺いいたします。
 [説明] 今回の事業は「安全運転と聴覚との関係に関する調査研究」となっています。ここで行う諸外国への調査は聴覚が視覚に及ぼす影響等のことではなく、純然に視覚に関する調査のように読み取れます。この調査が「安全運転と聴覚障害」にどのように関わるのかお伺いします。
4.今年度の「調査研究」事業に、「交通事故の原因分析」を加えてください。
 [説明] 事故理由として「前方不注視」「後方不注視」等、視覚に関わる場合はよくあります。
しかし、「聴覚に関わる事故理由(前方不注聴・後方不注聴とでも言うべき場合)」があるでしょうか。あるとすれば具体的にどのような場合で、どの程度の発生率なのか判例等の調査を、今年度の「調査研究」事業に組み込んでください。
「聴覚」が原因で起こる事故の具体的な内容と、その発生率を調査することは重要と考えます。

以  上