2001年10月19日

日本障害者雇用促進協会
会長 松 原 亘 子 様

東京都新宿区山吹町130 SKビル8F
電話03-3268-8847・Fax.03-3267-3445
財 団 法 人 全 日 本 聾 唖 連 盟
理 事 長 安 藤 豊 喜

聴覚障害者の福祉施策への要望について

時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
日頃より、私ども聴覚障害者の福祉向上にご理解ご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、当連盟は、本年6月10日に新潟県新潟市において第49回全国ろうあ者大会を開催しましたが、この全国大会決議の趣旨に基づき、聴覚障害者の福祉に関し下記の通り要望いたしますので、その早期実現をお願い申し上げます。

1. 重度障害者介助等助成金による手話通訳の積極的活用が広がるよう、モデルケースを紹介するなどして、企業に周知徹底してください。また、次の改善を図ってください。

(1)障害等級制限をなくし、すべての聴覚障害者に対するコミュニケーション・情報の保障を図れるようにしてください。
(2)手話通訳者の健康を守るために、配置基準や時間を考慮して最低2名以上とすることと、助成金の増額を図ってください。
(3)手続きの簡素化に努力されておられるようですが、更に簡素化できるようにしてください。

2. 職業能力開発校に手話通訳者を設置し、社外研修や資格取得のための講習に手話通訳者を派遣できる制度を作ってください。

〔説明〕
・職業能力開発校は、新たに技術を身につけ、就職できるようにするために大切な場になってきております。しかし手話通訳者が設置されていないために、聴覚障害者は学ぶに学べません。
・また現在企業はIT時代に入り、すべてと言っていい程コンピューター化され、それに即した社外研修や技術取得のための講習が増えております。聴覚障害者であっても働く意欲を持ち、仕事を続けていくためには、新しい技術や知識を身につけていかなければなりません。
・聴覚障害者が職業能力開発校で安心して技術を身につけたり、社外研修や技術講習会などでも情報やコミュニケーションを保障するために、職業能力開発校に手話通訳者を設置したり、新たに社外研修に手話通訳者を派遣できる制度を作ってください。

3. 聴覚障害者の職場適応・定着のために全国的調査事業を実施するとともに、あわせて「職業別専門手話」の開発・普及事業を実施してください。

〔説明〕
・聴覚障害者は、職場でのコミュニケーションや情報が不足し、人間関係の維持や新しい知識・技術の獲得が容易でなく、障害者の中でも職場定着率が一番低くなっております。
・こうした問題を解決するためには、聴覚障害者の職場適応の状態を全国調査し、科学的に分析し対策を講じる必要があります。
・また、職場の技術指導やコミュニケーションを円滑にするために、「職業別専門手話」の開発・普及事業を実施してください。

4. 障害者作業施設設置等助成金制度に、聴覚障害者への連絡のための「テレビ電話システム」「リアルタイム文字通信機器」「リレーサービス」を認めてください。

〔説明〕
・マニュアルコミックでは、聴覚障害者の連絡手段として社内メールや文字携帯電話などが、たいへん便利であることを強調されております。助成金制度でもこのような機器が使えるよう、弾力的に運用してください。

5. ろう学校での職業教育充実と職場定着のために、納付金制度を弾力的に活用し「就職準備講習会」を開催してください。また、企業向けの手話講習会も増やしてください。

〔説明〕
・ろう学校の卒業生が、自分の希望する企業に就職ができ、またしっかり職場定着できるようにするためには、ろう学校における職業教育や職場定着指導がとても有効だと思われます。
・企業納付金制度をもっと効果的・弾力的に運用し、ろう学校での就職準備講習会を開催してください。
・聴覚障害者を積極的に雇用している企業に対して、納付金を有効に使い手話講習会を開催できるよう積極的に働きかけてください。

6. 障害者雇用機会創出事業の積極的な宣伝と運用を行なって下さい。

〔説明〕
・厚生労働省から委託を受けているこの事業をまだ理解している企業も少ないと思われるので、積極的にPRし、企業が積極的に活用できるように図ってください。

7. 職場適応援助者(ジョブコーチ)制度を重複聴覚障害者にも活用できるように図って下さい。

以   上