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第16回WFD RSA/P代表者会議
2004年12月9日〜11日
ジャカルタ・インドネシア
サリ・パン・パシフィック・ホテル会議場
主催:インドネシアろう協会

議事録(案)


11カ国から18名の代表者が出席した(中国、香港、インドネシア、イラン、日本、マカオ、マレーシア、パキスタン、フィリピン、シンガポール、タイ)。
また5つの海外の国から25名のオブザーバー(カンボジア、中国、香港、日本、マカオ)と、インドネシア国内各地からも多くのオブザーバーが出席した。
ニュージーランド、オーストラリア、ネパールからは欠席の断りがあった。A/P事務局の20番目の会員となったフィジーも残念ながら欠席となった。

12月9日
9:00〜18:00

1.開会の式典には、インドネシア政府を代表して、社会省のバチアール・チャムシャ大臣と、社会省社会局障害者リハビリテーション担当のロビンソン・サラギ局長が出席した。
WFD RSA/Pの小椋武夫事務局長、インドネシアろう協会のディムヤティ・ハキム会長、インドネシア社会省のチャムシャ大臣がそれぞれ開会の挨拶を述べた。

2.小椋事務局長が会議の議長を務め、運営委員であるタイろう協会のボンテム会長が補佐した。

3.議題が満場一致で承認された。

4.カナダのモントリオールで開催された、第15回代表者会議の議事録が満場一致で承認された。

5.事務局長報告:

小椋事務局長は、フィジーろう協会をA/P事務局の20番目の会員として歓迎した。残念ながら、財政的な困難のためにフィジーからは出席者がいなかった。小椋事務局長は、この一年の間に事務局長として出席した国連会議やワークショップの内容と、そこでの発言などについて報告した。A/P事務局から各加盟国に配布したアンケートへの協力に対して感謝をのべた。

6.APCD(アジア太平洋障害センター)の紹介:

APCDからは、サランパット・アヌマトライキ事務所長と、JICAの障害プログラム専門家である伊藤奈緒子氏のお二人が特別ゲストとして出席し、ビデオを使用して、APCDの活動を紹介した。
会場の各国代表者からは、ろう者のために行われている活動や研修に関する質問が多かった。これまでの研修が、主に盲の人と肢体不自由の人のためのものであり、ろう者のための研修が少ないことに対する不満が多かった。今後は、ろう者のための研修を増やすようお願いした。

7.会員国からの報告(席順に従う):

中国 (配布されたレポートのとおり)

香港 (レポート配布)

ろう教育に関する調査を行った結果、口話法で教育を受けた子どもよりも、手話で教育を受けた子どもの方が早く書記言語、その他の言語的スキルを身につけることがわかった。

日本 (レポート配布)

全通研の2名の手話通訳者を紹介した。この通訳者たちは、世界手話通訳者協会(WASLI)のアジア太平洋支部の設立に関する説明を行い、各OMの協力とお願いした。

インドネシア (レポート配布)

政府が口約束を守らないことに対する不満を述べた。

マカオ (レポート配布)

マカオには中途失聴者も含めて400人ほどの聴覚障害者がいる。
手話の本を発行した。
9月には、マカオろう協会創立10周年をいわった。
社会の啓蒙に努力している。

12月10日
9:00〜16:30 (引き続きワークショップの開催)

事務局長は、前日の『ジャカルタ・ポスト』(新聞)に掲載されたA/P事務局代表者会議に関する記事を紹介した。
インドネシアろう協会の事務局が日程の確認を行う。

1.各国からの報告の続き:

マレーシア

政府との会合のために会長は欠席。
マレーシアには23,000人の聴覚障害者がいる。
米国とフィンランドの支援で手話のCDロムを製作した。
手話通訳者養成の研修会を開催した。
これまでJICA研修生はマレーシアろう協会が推薦していたが、今年は政府が推薦する人が優先されてしまった。
これまでRSA/Pのホームページ管理を担当してきたが、進展はない。
新設のろう学校で、実験的に二クラスを設け、一つは手話で、もう一つは口話法で教えた結果、手話で教えてクラスの方が成績が良かった。これにより、政府がろう学校における手話教育の重要性を認めるようになった。

イラン (レポート配布)

現在500名ほどの会員がいる。
2006年の代表者会議主催国に立候補する予定。
A/P事務局のロゴマークを作る提案をしたが、新しいロゴが決定したばかりであることから却下された。
政府は手話教育を口話教育に替える政策を取っていて、実行されている。
イランろう者センターは50%ほど完成している。

パキスタン (レポート配布)

全日本ろうあ連盟からの支援でパキスタン手話の本を1000部発行。
ITの普及のためにCDロムを製作。
JICAの支援を受けて、ろう学校を運営している。
2009年のAP会議の主催国として立候補を考えている。
現在国内に10の加盟協会がある。
リーダーシップ研修、ろう者の調査、職業訓練などがひつよう。
2005年にはいろいろな国をパキスタンに招きたい。

フィリピン (レポート配布)

以前は30あった地域ろう協会が、運営の困難から15に減った。
国内標準手話を開発する前に、先ず地方の手話や方言を尊重したい。

日本財団の『手話辞典計画』のフィリピンでの取り組みに関する報告(レポート配布)
1990年頃にジェームス・ウッドワード博士がフィリピン手話の研究を行うことを、健聴の言語学者に勧めた。手話の教材は、手話通訳養成と、手話の重要性に関する啓蒙には非常に重要である。

シンガポール (レポート配布)

ろう者に関するビデオやポスター作成して、ろう者に関する啓蒙に努めた。

タイ (CDとしてレポート配布)

DPIと協力して、障害者支援に関わる予算の増額を要求。
手話通訳付きのテレビ番組が増えた。
手話開発の研究。
手話の教本やCDの製作。
ミャンマーのろう者への支援(手話に関する支援)。
大きな問題は手話通訳者の不足(認定通訳者は4人だけ)。

カンボジア (DDPアドバイザーのジャスティン・スミス氏(ろう)による報告)

2名の若いカンボジアのろう者が会議に参加できるように支援した。二人とも海外
に出るのは初めて。カンボジアにはおそらく30万人くらい聴覚障害者がいる。DDP(ろう者開発計画)は手話で教える学校を二つ運営している。一つは15歳未満の生徒、もう一つは15歳以上の生徒を受け入れている。カンボジアにはろう協会はなく、多くのろう者は孤独な人生をおくっている。有望なろうのリーダーも少ない。大きな課題として、教育を受けたことのないろう者、情報を得る手段を持たないろう者、手話通訳がいない現実、手話通訳に関する知識もないろう者がいること、国の法律や政策にまったくろう者のことが記されていないことなどが挙げられる。

2.「WFD RSA/Pろう青年キャンプ要綱(案)」の検討と承認(草案は、WFDYSキャンプ・ガイドラインに基づき、A/P事務局が作成した)

次の箇所の変更(または追加)を加え、承認された:

1.2 目的:(追加)ろうの青年が、新しい知識や技術を習得できるようにする。
2. 主催国の決定:(追加)青年キャンプの主催国として立候補する際には、その国の正会員(OM)が書き込み、公印が押されている、正式な主催承諾書を提出する必要がある。(追加)WFD RSA/Pは施設・設備等がキャンプの条件を満たすかどうかの審査をする。
8.1 参加者に関する条件:全ての参加者はキャンプ初日に、18歳から35歳の間でなければならない。
(追加)この年齢枠内以外の人がキャンプに参加を希望したり、キャンプ参加者として推薦を受けた場合は、RSA/Pの運営委員(MC)が参加を許可するかどうか審議する。
9.2 登録費(追加)登録費として集めた総額の2%をWFD RSA/Pの会計に寄付する。
16.1 緊急時のコミュニケーション・アクセス:(追加)WFD RSA/Pスタッフは、所在をわかりやすくするために、統一された服装(ユニホーム)を着用すべきである。

上記修正を加えて、キャンプ要綱は承認された。(添付の修正済みキャンプ要綱参照)

3.今後のWFD RSA/P青年キャンプの主催国の決定:

2005年の開催を希望する国はなかった。

2006年の開催国として、フィリピンと日本が立候補。
11カ国の有効投票数のうち日本が6票、フィリピンが5票
2006年には日本での開催が決定。

12月11日
9:15〜11:05

1.欠員となっていた2名の運営委員(MC)の補充選挙(任期は2007年のスペインでの会議の選挙まで)

確認事項:
MC同士の連絡は主にe-メールで行う。
MC会議に出席するための航空費、その他の経費はMCの自国のOMが支払う。
緊急にMCを召集する場合は、A/P事務局が費用を調達できる方法を検討する。
MCに立候補する人は、本会議に出席していなければならない。今日出席している人が当選した後に、同じOMの別な人と交代することは認めない。
規約に記されているとおり、A/P事務局代表者会議には各OMから2名ずつの代表者が出席するが、MCとして出席する人は、これら2名の代表者とは違う人であるべきである(6対3で決定)。
MCの参加登録費は、代表者の登録費と同じ額とする。

MCに立候補したのは、香港、マカオ、フィリピンの3人の代表者。
(有効投票数=11)
投票の結果、香港のKo Nam氏とフィリピンのラファエル・ドミンゴ氏が当選し、小椋事務局長、タイのボンテム氏、ネパールのジョシ氏とともにMCの任務に就くことになった。

2.今後のWFD RSA/P代表者会議の主催国の決定:

(1) 2005年の主催国として既に決定している中国ろう協会のプレゼンテーション:
開催地は上海
参加者は9月18日に中国到着。
会議は9月19日〜20日
閉会式が9月21日の午前。午後は観光。
代表者の登録費はUS$50。オブザーバーろう録費はUS$400。
プロジェクター、コピー機、その他の機材は用意できる。
イスラム信者の食事には配慮できる。
US$100をA/P事務局に寄付する。
A/P地域の未加盟国を招待する予定(事務局とともに検討)

(2)2006年の開催国として、マカオが立候補
イランも立候補の希望を提出したが、公印を押した正式な書類がなかったため、マカオに決定。
マカオは2006年12月2日〜5日の間に開催する予定である。
   
(3)2007年は、世界ろう者会議の開催に合わせて、スペインのマドリッドで開催する予定。イランには2008年に会議を主催するよう促す。

3.小椋事務局長から、アンケートにまだ答えていない人は、速やかに記入し、事務局に返送するようにというお願いがあった。

4.2005年の活動計画は提案どおり承認。

予算案は、全日本ろうあ連盟からの支援金が決定していないため、まだ決定できないことが報告され、了解された。

会議は11:05に解散


第16回世界ろう連盟アジア太平洋地域事務局代表者会議
2004年12月9-11日 インドネシア・ジャカルタ

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