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第14回世界ろう連盟アジア太平洋地域事務局代表者会議
2002年10月17〜19日 大阪ビッグアイ/日本

議事録


出席者:16カ国26名

WFD RS A/P事務局長 小椋武夫
オーストラリア Ms. Patricia Levitzke-Gray
バングラデシュ Mr. Mozaharul Islam Chowdhury (3日目のみ)
中国 Ms. Yang Yang Mr. Cheng Hai
香港 Mr. Wong Siu-Lun Mr. Lau Yiu-Cheong
インドネシア Mr. Iwan Satryawan
イラン Mr. Rouzbeh Ghahreman
日本 Dr. Yutaka Osugi Mr. Yosuke Ota
韓国 Mr. Kim Ki-Bum Mr. Yoon Woo Joong
マカオ Ms. Hong Mei Iong Ms. Lao Iok Ieng
マレーシア Mr. Mohamad Sazali Shaari
モンゴル Mr. Luvsandolgor Sharavdorj   Mr. Gavaa Erdenebileg
ネパール Mr. Raghav Bir Joshi Mr. Om Sherchan
パキスタン Mr. Muneed Mansoor Mr. Syed Amin Ahmed
フィリピン Mr. Raphael Domingo
シンガポール Ms. Low Jarn May
タイ Ms. Panomwan Boontem Ms. Porntip Sansanakiate

WFD未加盟国代表者:

フィジー Ms. Leona Tamainai
ベトナム Mr. Tran Ngoc Tuan   Ms. Tran Thanh Hai
カンボジア Mr. So Sereivuth

オブサーバー:

パキスタン、カンボジア、日本、フィジーより計15名
JICA「ろう者の為の指導者コース」研修生8名+JICAコーディネーター
ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業研修生2名

《1日目》

1. 開会挨拶:WFD RS A/P事務局長小椋武夫
小椋事務局長は「今年は大阪フォーラムなど重要な世界会議がある期間に、ここ第14回世界ろう連盟アジア太平洋地域事務局代表者会議を開催することは大変意義があることだと思う。この会議に世界ろう連盟理事長と事務局長、理事2名、そしてアジア太平洋地域事務局を設立するにあたって非常に尽力を尽くしてくれた前世界ろう連盟理事長が来られていることを歓迎する。また、この会議を開催するにあたって、準備をしてくださった全日本ろうあ連盟にお礼を申し上げる。」と挨拶した。

2. ロゴマークコンテスト授賞式
去年に香港で開催された第13回世界ろう連盟アジア太平洋地域事務局代表者会議の際に、世界ろう連盟アジア太平洋地域事務局のロゴマークのコンテストを行った。その結果選ばれた、第一位のネパールからの作品と第二位のマカオ、第三位の香港とマレーシアそれぞれに賞を授与した。

ネパールの作品に決定されたが、ロゴは明瞭なイラストであることが望ましいために、地域事務局長の判断でこの作品をもとに色やデザインをシンプルに少し変えていくことが承認された。それは運営委員の確認を取った後に、各国に発表されることが確認された。

3. 自己紹介
参加国16カ国の代表者と未加盟3カ国の代表者、WFD役員、そしてオブザーバーはそれぞれ自己紹介を行った。RS A/P加盟国の中で欠席国はインド、ニュージーランド、スリランカの3ヶ国である。

RS A/P運営委員は韓国のキブム氏とマレーシアのシャーリ氏、シンガポールのメイ氏が出席した。

4. 全日本ろうあ連盟理事長の挨拶
全日本ろうあ連盟理事長は「今回はRS A/P加盟国代表者だけでなく、WFD理事長や事務局長、元理事長を招待できて嬉しく思う。今は福祉のあり方が問われており、改革期を迎えている重要な時期であり、アジア太平洋地域のろう者同士の連結を強め、相互支援をより深く広いものにしていきたい。」と挨拶した。

5. 会議日程の説明:全日本ろうあ連盟事務所長大杉豊
全日本ろうあ連盟事務所長は3日間のスケジュールを説明した。

6. 前回会議の議事録の承認   (添付資料)
満場一致で承認された。

7. 議事の採択
議事案は満場一致で承認された。

8. 活動報告          (添付資料)
8.1 WFD RS A/P事務局長報告
小椋事務局長は添付資料をもとに2001年〜2002年の報告を行い、満場一致で承認された。

8.2 WFD RS A/P運営委員会報告
シャーリ氏はWFD RS A/Pのホームページを立ち上げて運営する計画を報告した。採択は満場一致で承認された。

8.3 WFD RS A/P会計決算報告
キム氏は添付資料をもとに2001年〜2002年のWFD RS A/P会計決算を報告した。

「この会計決算は日本の方法に基づき、4月から次の年の3月までの期間で計算している。」という報告が全日本ろうあ連盟事務所長から出された。

満場一致で承認された。

9. 討議「アジア太平洋障害者の十年」総括
全日本ろうあ連盟事務所長は添付資料をもとに報告を行った。

「アジア太平洋障害者の十年」の「行動課題」および行動課題実施のための「73の目標」や「107項目」などの情報が、数国の政府からろう協会に十分に伝わっていないことが確認された。

※アンダーソン前WFD理事長は「本来ならばこの類の条約などは各国の政府がそれぞれの言語に翻訳して国内に発表する義務を負っていることが承認されているはずだが、政府関係者はそれを知らないので強く働きかけていく必要がある」と意見を述べた。

※マレーシア代表は「ESCAPなどにマレーシアからも政府の代表者が出席しており、障害者に関する条約などを知っているはずなのに、こちらろう協会に知らされないことが多い。政府とろう協会との間につながりがなく、いかにしてこの問題を訴えるかという問題がある。」と意見を述べた。

※カウピネンWFD理事長は「大阪宣言に「障害を持つ子ども」の単語も盛り込んで、その権利を主張するべきである」と意見を述べ、小椋事務局長は「了解した。早速大阪フォーラム委員会に提案する」と答えた。

※マレーシア代表は「この「アジア太平洋障害者の十年」やESCAPなど政府間レベルの規約が多くあり、混乱してしまう。曖昧な表現ではなく、もっと明確に定めてほしい。ろう者が現実的に面している問題とどういった関わりがあるのかわかりにくいので、わかりやすく情報を提供してほしい。」と意見を述べ、カウピネンWFD理事長が添付資料をもとに国連の動きについて今までの経過を説明した。

※フィリピン代表は「これまでフィリピンろう協会は「アジア太平洋障害者十年」に関する情報を提供されることがなく、国内の障害者運動から取り残されていた。国内で「アジア太平洋障害者十年」に関する障害者の集会に参加しても、通訳者が配置されないなど障害者の中でも情報に格差がある。」と意見を述べた。

※高田WFD理事は「活動を推し進める上で情報を得ることは非常に重要であるが、この「アジア太平洋障害者十年」に関する情報を各国のろう協会は得られていたか?」と各国代表に質問し、「その活動があることは知っていたが、逐次新しい情報を得てはなく、情報を得られる環境が不安定である。」ということを確認した。

※マレーシア代表は「WFD RS A/Pから加盟団体に対してもっと積極的に情報提供を心がけるべきではないか。」と意見を述べた。

※高田WFD理事は「これからの新たな「アジア太平洋障害者の十年」では情報の格差を無くすことを目指し、あらゆる皆が情報を得られるようにする予定である。従って、各国のろう協会は国連などから情報をいつでも受けることができる組織体制を確保することが重要である。」と意見を述べた。

小椋事務局長は現在各国のろう者が直面している問題について質問した。

※フィリピン代表は「政府がろう者に対する施策を始めることをろう協会は知らされてなかった問題がある。」と述べた。

※タイ代表は「今までの10年間で、ろう者が運転免許を持てるようになるなど、障害者を取り巻く環境が多く変わり、生活環境が整備されてきた。しかし、手話通訳者に関してはまだ問題が残っている。」と述べた。

※中国代表は「中国ではろう者が運転免許を認められている地域と認められてない地域があり、様々である。しかし、自動車は高価であり、まだ一般的に浸透していないので現実的な問題ではない。」と述べた。

※インドネシア代表は「駅では肢体障害者に対する配慮がなされるようになったが、電車乗り換えや到着駅の案内などを知らせる電子掲示板が設置されないなど、ろう者に対する配慮がない。交通機関でも同様であり、ろう者の事故が起こっているので改善が早急に求められている。」と述べた。

※フィジー代表は「労働賃金の格差があり、ろう者は健聴者に比べて給料が低い問題がある。」と述べた。

※シンガポール代表は「交通機関に関してはろう者を配慮した法律は定められているが、特殊教育に関する法律がなく、ろうの子どもが特殊教育を受ける保障がなされていない。」と述べ、カウピネンWFD理事長が「それは人権に関する問題であり、国連の条約にも違反しているので、国連の条約などを根拠に政府へ訴えなければならない。」と答えた。

※マレーシア代表は「アジア太平洋地域各国の情報を提供できる体制がないので、他国の状況などを参考に知りたくてもなかなか知ることができない。各国の情報を集めて整理し、監視する組織や体制が必要ではないか。それも、障害者全体ではなく、ろう者だけに焦点をあてた情報が必要であると思う。」と意見を述べ、カウピネンWFD理事長は「以前から国連に対してそのような機能を持つプログラムを始める案を提唱し続けている。交渉を続けていずれはそのようなプログラムを始めたい。」と答えた。

※フィリピン代表「政府が安定しておらず、横領や不正などが多発している。また、内閣がよく変わり、それに従って障害者に対する方針がよく変わるので、福祉の向上がなかなか進まない問題がある。そのような状況で「アジア太平洋障害者の十年」がわが国の政府に果たしてどれだけ影響があるか、疑問である。」と述べ、カウピネンWFD理事長は「国連では、政府の体制に問題があり、不安定な状況であるのならば、経済的援助はしないと定めている。それをもとに交渉できるのではないか。」と答えた。

※パキスタン代表「多くのろう者が読み書きできない問題がある。提案だが、言語が共通である他の国からベテランの教師を招いて指導してもらうという方法はどうか。」と述べた。

※マレーシア代表「提案だが、これから建てられる建築物にろう者に対する配慮がなされるように、建築に関する規約の中にろう者に対する配慮を盛り込むように交渉してはどうか。」と述べた。

《2日目》

10. WFD RS A/P加盟国報告(カントリーレポート)

10.1 オーストラリア (添付資料)
オーストラリア代表は添付資料をもとに報告を行った。

10.2 バングラデシュ
当日欠席。報告書なし

10.3 中国 (添付資料)
中国代表は添付資料をもとに報告を行った。

※モンゴル代表は「モンゴルと中国は地理的に近いので、これからお互いに協力しあって活動するのはどうか?」と質問し、中国代表は「もちろん、お互いに可能な範囲で助け合っていきたい」と答えた。

10.4 香港 (添付資料)
香港代表は添付資料をもとに報告を行った。

10.5 インド
欠席。報告書なし

10.6 インドネシア
インドネシア代表は口頭で報告を行った。報告書はなし。
インドネシア代表は「1981年にろう協会が、1982年にろうスポーツ協会が設立されて以来、全国大会を開催するなど活動を進めている。今年はバリにて全国ろう者大会を開催する予定だが、テロの影響で開催が危ぶまれている。全体的にろう者の状況はまだ良くない。ろう運動はジャカルタ島のろう者が中心であり、その他の辺境や諸島ではろう者が集まりにくく、十分な教育も受けられず福祉も受けられない状態であり、都会と地方地域との格差が著しい。」と述べた。

アクイリンWFD事務局長は「インドネシアのろう者の人口数が600万人だと報告があるが、それは他の障害者も含めた数か?」と質問し、インドネシア代表は「この数はろう者だけでなく、難聴者なども含めた聴覚障害者全体の数です。」と答えた。

10.7 イラン
イラン代表は添付資料をもとに報告を行った。

※アクイリンWFD事務局長は「イランのろう者の中に性差別はあるか?」と質問し、イラン代表は「昔は女性に対する社会的制限が多かったが、今は改革が進んであらゆる場で男女平等になっている。女性はマスクしなければならず、クラスでも席が男性とは分けられるなど区別されることはあるが、差別など抑圧されることはほとんどない。イランろう協会の理事会にも女性の理事がいる。」と答えた。

※アンダーソンWFD前理事長は「裁判に手話通訳者の同席は認められているか?」と質問し、イラン代表は「公式に認められており、通訳者に対する諸費は政府から支給される。ただ、政府から通訳者が保障されているのは裁判のみであって、学校などの通訳には政府からは謝礼金などが支給されない。」

10.8 日本
日本代表は添付資料をもとに報告を行った。

10.9 韓国
韓国代表は添付資料をもとに報告を行った。

10.10 マカオ
マカオ代表は添付資料をもとに報告を行った。

10.11 マレーシア
マレーシア代表は添付資料をもとに報告を行った。

10.12 モンゴル
モンゴル代表は添付資料をもとに報告を行った。

※アンダーソン前WFD理事長は「AIFO組織から援助を受けてアメリカ手話を教えているそうだが、どのような経過によって援助を受けるに至ったのか?」と質問し、「モンゴル代表はこちらから援助を依頼して、それが認められて援助を受けるに至った。」と答えた。

10.13 ネパール
ネパール代表は口頭で報告を行った。報告書はなし。
ネパール代表は「政府からの援助がなく、スウェーデンとイギリスから援助を頂いて、ろう運動を進めている。手話を指導し、十分な教育を受けてこなかったろうの成人に対して日常生活に支障の無いように教育を施している。手話通訳がついているテレビ番組もわずかだがある。」と述べた。

10.14 ニュージランド
欠席。報告書なし。

10.15 パキスタン
パキスタン代表は添付資料をもとに報告を行った。

※アクイリンWFD事務局長は「パキスタンの国名手話を確認したいのだが、どれが本来の表現か?」と質問し、パキスタン代表は「国際的に使われている表現とは別に我々は旗のイラストになぞらえた表現の手話を使っている。」と答えた。

※アクイリンWFD事務局長は「手話の本で、文を手話でどのように表すか紹介していたが、それは言語対応手話ということになって、ろう独特の手話言語の文法とは別のものになってしまうのでは?」と質問し、パキスタン代表は「この本は教育現場で書き言葉を学ぶために使われている。教育的には良いと思う。」と答えた。

10.16 フィリピン
フィリピン代表は添付資料をもとに報告を行った。

10.17 シンガポール
シンガポール代表は添付資料をもとに報告を行った。

10.18 スリランカ
欠席。報告書なし。

10.19 タイ
タイ代表は添付資料をもとに報告を行った。

未加盟国からの出席者に各国のろう者の状況を説明してもらった。

10.20 フィジー
フィジー代表は「フィジー島は大小の島々に別れており、手話も統一されていない。スバ島に集中してろう者が集まっているが、受けられる教育もまだ十分ではない。いずれは手話を統一し、公用語である英語の教育を研究して開発していくことを目的にしている。」と述べた。

10.21 ベトナム
ベトナム代表は「ろう協会はまだ設立されておらず、ろう学校はあるが教育は十分ではない。1986年にアメリカのギャローデット大学の教授が来て、ベトナムのろう者を調査し、手話の普及など活動が進められた。南北で手話が異なるなどまだ厳しい状態ではあるが、去年に南北のろう者が一堂に集って話し合いが行われるなど、徐々にだが活動が進みつつある。」と述べた。

10.22 カンボジア
カンボジア代表は「フィンランドやカナダなどの組織から援助を受けて、ろう者開発プログラムを設けて手話の研究や指導など活動を進めている。ろう協会はまだ設立されていないが、各地域でろう者に手話を指導するなど手話の普及を目指して活動している。」と述べた。

10.23 ラオス
ラオス代表は「ろう学校が首都にあり、職業訓練が受けられる。しかし、首都以外の地域に在住しているろう者の情報がないので、全国的に集まることが難しく、ろう協会もまだ設立されていない。また、地方ではろう者に対する理解が著しく遅れている状態である。隣国のタイから、手話の本の寄贈や手話の指導をアドバイスしてくれるなど、援助がある。これから国内のろう者の実情を少しでも把握していきたい。」と述べた。

10.24 ミャンマー
ミャンマー代表は「ろう協会を設立するのはまだ難しい状態である。以前から様々な活動に取り組んできたが、なかなか前進できない。ろう学校はあるが、卒業しても仕事がなかなか見つからず、またろう学校に戻ってくるろう者が多い。NGO団体などから援助を頂いて、自立生活ができるように職業訓練を施すなど支援活動を始めた。」と述べた。

《3日目》

バングラデシュ代表が送れて来日し、19日より出席した。

10.25 バングラデシュ
バングラデシュ代表は口頭で報告を行った。報告書はなし。
バングラデシュ代表は「ろう者に対する周りの理解がまだ遅れており、手話も認められていない。ろう教育も十分ではなく、仕事を得るのが難しい。給料でも健聴者とは差をつけられている。何らかの援助を海外や国際組織などに請おうとしても、国内政府とのつながりがない為に難しい状況である。政府などに対してろう者のアピールをしたいので、いつかはバングラデシュでWFD RS A/P代表者会議を開催したい。」と述べた。

11. 今後のWFD RS A/P代表者会議の開催地
11.1 第15回WFD RS A/P代表者会議の開催地

第15回WFD RS A/P代表者会議は2003年7月にカナダで開催される第14回世界ろう者会議の期間中に行うことを確認した。

※マレーシア代表は「前回にオーストラリアで開催された時に一部の国からの代表者に対してビザが発給されずに入国を認められない問題が起こった。しかも、今回はテロの影響があり、入国審査が厳しくなっている状況だが、カナダの場合は大丈夫か?」と質問し、アクイリンWFD事務局長は「カナダろう協会から全ての国のカナダ大使館宛に、世界ろう者会議への参加者に対してビザを発給するよう推薦する公式文書を送ってある。参加者は各国にあるカナダ大使館に行けばビザを発給してもらえるはずである。もし、何らかの問題が起こった場合はこちらWFD事務局に連絡してほしい。」と答えた。

※日本代表は「現在時点では第14回世界ろう者会議のプログラムがまだ決まっておらず、内容に関する情報があまりないので、各国の代表者も参加を決めかねている状態である。従って、第15回WFD RS A/P代表者会議の出欠確認は来年以降に世界ろう者会議の詳細が発表されてから各国に確認するのが望ましいのではないか。」と意見を述べた。
→この意見は満場一致で承認された。

11.2 第16回WFD RS A/P代表者会議の開催地
小椋事務局長は「第13回WFD RS A/P代表者会議の際、シンガポールと韓国、インドネシアから第15回WFD RS A/P代表者会議の開催地に候補することが口頭によって発表された。しかし、各協会の承認を得た公式文書による候補届けがまだこちらには1つも寄せられていない。シンガポールからは都合により候補をキャンセルする旨がこちらに届けられたが、その他にはまだこちらに連絡はない。今回の会議でパキスタンから候補届けが寄せられたが、これはろう協会の承認を得た公式文書ではないので有効ではない。」と現在の状況について報告した。

※高田WFD理事は「この会議を主催するろう協会は大変な作業を負担することになる。特に各代表者の滞在期間の宿泊費などを調達するのが一番困難であるだろう。しかし、各国のろう運動を活発に奨励し、つながりを強めるためにもこの会議を設けることは意味がある。それも1年に1回は会議を設けるのが望ましい。」と意見を述べた。

※マレーシア代表は「どのように決定するのか確認したい。もし来年にカナダの世界ろう者会議にて第15回WFD RS A/P代表者会議を開催するとしても、代表者の出席が足りずに会議が成立しなかった場合、次回の会議の開催地を決める機会がなくなってしまう。」と意見を述べた。

※日本代表は「このWFD RS A/Pの規約では、代表者会議は最低でも2年に1回は設けることとある。もし、2004年が無理でも2005年に開催すればよい。それまでの準備期間があれば開催できるという協会の有無を確認してもいいのではないか。」と意見を述べた。

小椋事務局長は「皆さんの意見をまとめる。WFD RS A/P地域事務局から加盟国に対して2004年と2005年それぞれの開催地の候補を募集する文書を送る。そして、こちらに公式文書で寄せられた候補を運営委員会で審議して開催地を決める、ということでいいか?」と確認を取り、満場一致で承認された。

※アクイリンWFD事務局長は「このWFD RS A/P代表者会議に参加するためには、各ろう協会がWFDに加盟してなければならない。加盟国になるための登録料をWFDに支払う必要がある。もし支払ってなければ選挙権は持たない。財政上困難であるというのならば、その旨の報告書を登録申込書に添付してこちらWFD事務局へ送ってくれれば考慮はできる。」と意見を述べた。

12. 大阪宣言案について
小椋事務局長は「前日に討議した折に提出された案や意見を取り入れて改訂した。」→満場一致で承認

13. 加盟国からの提案
ネパール代表は添付資料をもとに提案を行った。
その提案は満場一致で承認された。

14. AP事務局運営委員会
14.1 2002‐2003年の計画

小椋事務局長は添付資料をもとに報告を行った。

※アクイリンWFD事務局長は「情報をAP事務局から傘下加盟国に流すにあたって運営委員会がまず確認をするとのことだが、WFD事務局から発せられた情報も同様にまず運営委員会が確認するのか?」と質問し、小椋事務局長は「WFD事務局から寄せられた情報は運営委員会の確認は取らずにそのまま傘下加盟国に流すつもりである。」と答えた。

※アクイリンWFD事務局長は「計画(5)手話の統一に関して、WFDの方針と反する面があるので改訂するべきである。」と意見を述べ、シャーリAP運営委員は「了解した。どのような英単語の表現が相応しいか、これからチェックして改訂する。」と答えた。

※日本代表は「その計画期間は1年間だけなのか?内容からすると最低でも2年間は必要ではないか。または目的をもっと絞るべきではないか。」と意見を述べた。

※中国代表は「JICAと協力して手話通訳者を養成するとはどういうことか?」と質問し、小椋AP事務局長は「健聴者に手話を一から教えるというのではない。各国では手話通訳者を養成する技術や、手話通訳の技術を高めるためのノウハウが欠けている。従って、JICAに対して手話通訳者を養成する技術を学べる事業を設ける要求を出して働きかけていく方針である。」と答えた。

採択は満場一致で承認された。

14.2 2002‐2003年の予算
キムAP運営委員は「これまでの運営費は1日目に報告した通りであるが、これからの予算は運営委員会を設ける機会がなかなかなく、予算を組み立てることができなかった。」

マレーシア代表が「では、議題にある「承認」を「情報提供」という形にするべきでは。」と意見を述べ、満場一致で承認された。

15. 閉会
カウピネンWFD理事長は「今回の会議に招いて頂き、本当に感謝している。会議が滞りなく進められ、成功に終わったことをとても嬉しく思う。開催国の日本が積極的にアジア太平洋地域のろう運動に関わっていることを尊敬する。これからも皆で力を合わせてがんばってほしい。」と挨拶した。

カウピネンWFD事務局長は「1998年にオーストラリアで世界ろう者会議が開催された際にAP代表者会議も開催されて、私も出席したがそれ以来、この会議に出席する機会がなかった。今回は招待してくださって、本当に感謝している。出席できたことによって、アジア太平洋地域のろう者とつながりを強くすることができたと思う。」と挨拶した。

アンダーソンWFD前理事長は「このAP代表者会議は香港で初めて開催され、その時は私も参加した。当時はコミュニケーションがまだ十分に通じ合えなく、討議できる議題もわずかのみであった。しかし、今回の会議を見てみると、非常にコミュニケーションがスムーズであり、やはり、アジア太平洋地域のろう運動は前と比べても前進しているのだと感じた。この会議の成功をお祝い申し上げる。」と挨拶した。

高田WFD理事は「私もこの会議が始めて開催された時は国際手話が全くわからない状態であったが、会議を繰り返しながら皆さんと話し合うにつれて徐々に国際手話をお互いに身に付けられた。共に影響を与え合って切磋琢磨できる関係を築けたのは素晴らしい。これからも、アジア太平洋地域に留まらず、アフリカやヨーロッパなどにも視野を広げて、世界のろう者と共に前進していきたい。」と挨拶した。

安藤全日本ろうあ連盟理事長は「全日本ろうあ連盟として、ここ日本でAP代表者会議を開催して、皆さんを招待できたのを嬉しく思う。この会議に出席してアジア太平洋地域のろう者がどのようにろう運動にはげんでいるのか、目のあたりにして感動した。また、全日本ろうあ連盟の理事でもある小椋AP事務局長が高田さんの後を引き継いでがんばっているのを見られて、嬉しく思う。これも皆さんの協力のおかげだと思う。ありがとうございます。」と挨拶した。

16. 高田AP地域前事務局長への記念品授与


第14回世界ろう連盟アジア太平洋地域事務局代表者会議 議事録(和訳)
2002年10月17〜19日 大阪ビッグアイ/日本

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