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第13回世界ろう連盟アジア太平洋地域事務局代表者会議
2001年12月5〜9日 香港 沙田

議事録


出席者:10カ国19名

WFD RS A/P事務局長 小椋武夫
オーストラリア Mr. Robert Adam Ms Patricia Levitzke-Gray
中国 Ms Yang Yang Mr.Cheng Hai
香港 Mr.Lau Yiu Cheong Mr.Wong Siu Lun Andrew
インドネシア Mr.Dimyati Hakim Mr.Iwan Satryawan
日本 大杉豊
韓国 Mr.Tae-Hoon Lee Mr.Ki-Bum Kim
マカオ Ms.Veng Lan Ho Mr.Kam Chi Vong
モンゴル Mr.Purevdoo Tserendorj Mr.Baasandorj Nyamaa
シンガポール Mr.Tan Lian Seng Dennis
タイ Ms.Panomwan Boontem Mr.Suwech Chaisirivikrom

オブサーバー:

WFD代表者 高田英一
WFD代表者 Rev.Joo-Hai Kang
カンボジア
日本
ネパール

<<1日目 (12月6日) >>

1.歓迎のことば:香港ろう協会会長

香港ろう協会会長は「会議を主催したのは初めてだが、皆さんのご協力をいただき、開催までこぎつけることができた。今、経済が下降し、ろう者にとっても厳しい問題に面しているが皆さんと頑張っていきたい」と歓迎した。

2.開会挨拶:WFD RS A/P事務局長小椋武夫

小椋事務局長は「昨年タイのWFD RS A/P代表者会議で、事務局長が高田さんから私に変わった。アジア太平洋障害者の十年が来年、最終年を迎えるが、まだまだ課題も多い。皆さんと力を合わせて頑張っていきたい。遠くからいらしたWFD理事のお二人と今回の準備をしてくださった香港ろう協会にお礼を申し上げたい。」と挨拶した。

3.挨拶:WFD代表者

高田WFD理事は「第1回、第2回WFD RS A/P代表者会議の報告集を持参したのでご覧下さい。1985年の第1回会議は7ヶ国が参加した。この会議を通して、アジア各国で少しずつろう協会が設立され、参加国が増えて嬉しい。WFDから日本に特別表彰を受けたので、お礼を申し上げたい。昨年、運営委員が5人決定したが、今回出席者は一人だけで残念に思う。ろう協会が未設立の国も多いので、互いに助け合うことが大切」と挨拶した。

カンWFD理事は「アジアは人口は多いが、ろう運動は遅れている。その遅れを埋めるためには、健聴者との差別を取り除き、平等を目指すことが必要。ろう運動は、ビジョンを明確にして活動を進めていくことが大切になる。成功している国の活動を参考に、自国の活動に活かしていってほしい。21世紀はアジアの世紀としよう!」と挨拶した。

4.自己紹介

参加国10カ国の代表者とWFD RS A/P事務局員とオブサーバーのカンボジアと日本のCS放送取材団はそれぞれ自己紹介を行なった。欠席国はバングラディシュ・イラン・マレーシア・ニュージーランド・パキスタン・フィリピン・スリランカであり、フィリピン以外の国からは欠席通知がなかった。

5.会議日程の説明

小椋事務局長は会議の3日間のスケジュールを説明し、問題がないことを確認した。

6.前回会議の議事録の承認    (添付資料)

採択は9ヶ国で承認された。オーストラリアは前回不参加のため保留した。

7.議事の採択

議事案は満場一致で承認された。

8.活動報告    (添付資料)

8.1. WFD RS A/P事務局長報告

小椋事務局長は添付資料をもとに報告を行ない、満場一致で承認された。

8.2. WFD RS A/P運営委員会報告

小椋事務局長は添付資料をもとに報告を行なった。

ニュージーランドで行なわれる青年キャンプについてはニュージーランドから連絡がないため保留された。「参加者個人が直接ニュージーランドにキャンプを申し込むのではなく、自国の協会がまとめて申し込む形にしたい」という意見がオーストラリア代表から出された。

採択は9カ国で、承認された。

8.3. WFD RS A/P加盟国報告(カントリー・レポート)

8.3.1オーストラリア    (添付資料)

オーストラリア代表は添付資料をもとに報告を行なった。

8.3.2バングラディシュ

欠席。報告書なし。

8.3.3中国    (添付資料)

中国代表は添付資料をもとに報告を行なった。

*高田WFD理事はインテグレーションについて質問し、中国代表は「インテグレーションと言っても、普通学校にろう者だけのクラスが設けられている。教育方法は口話と手話の両方で、ろう学校にろう者の教師はいるが、校長レベルのろうの先生はいない」と答えた。

*シンガポール代表は「中国のろう協会は正式な組織として認められているのか」と質問し、中国代表は「認められている。China Association of the Deaf(CAD)の加盟団体は31団体。任期は5年で1998年に役員選挙があり、次回は2003年に選挙を行う」と答えた。

*香港代表は「政府から援助はあるのか」質問し、中国代表は「政府から援助がある。会費も集めている」と答えた。

*マカオ代表は「ろう学校で先生になる場合、教師資格は必要なのか?マカオに中国から多くのろうの教師が来ており、仕事を紹介する際に資格や卒業証明書がないため、問題が出ている」と意見を述べた。

*シンガポール代表は「中国ろう協会に香港ろう協会が合併されることはあるのか」と質問し、中国代表は「中国、香港、マカオ、それぞれが互いに対等であることが大事だと認識している」と答えた。

<<昼食>>

8.3.4香港    (添付資料)

香港代表は添付資料をもとに報告を行なった。

*カンWFD理事は「2001年に手話通訳の資格試験があると聞いているが」と質問し、香港代表は「25名が学んでおり、3つのレベルにわたるカリキュラムを終えたばかりで、今度3人のろう者、3人の健聴者による試験を行う予定。現在手話通訳者は8名」と答えた。

*日本代表は「香港ろう協会がWFDに加盟するまでの歴史を簡単に伺いたい」と質問し、香港代表は「1976年にろう協会が設立され、会員は1300人。1995年にWFDに加盟する際、数団体のうち、我々の団体が代表すると決定され、もう一つの団体は消滅した。香港内の手話が異なる問題があり、ろう者団体もいくつかあるため、これからは各団体が交流を持って手話を統一し、さらに手話の本を作りたい」と答えた。

*シンガポール代表は「ろう教育の研究や通訳養成担当はろう者か?」と質問し、香港代表は「ろう教育の研究や先生は健聴者。1995年以前はアジアのろう者に関する情報がまったくなかったが、WFDに加盟してから色々な情報が入るようになり、研究が進んでいる」と答えた。

8.3.5インド

欠席。報告書なし。

8.3.6インドネシア

インドネシア代表はパソコンを使用して報告した。

「先日、インドネシアでろう者がテレビで放送された。ろう者が集い、デモを行ない、ろう者の力を示すことができた。92校のろう学校があり、政府は口話教育を奨励している。ろう学校はろう者の先生が多い」と述べた。

*カンWFD理事は「会員数が1,494,240人と言うがこんなに多いのか?会員数が多ければ、会費も集まるのではないか」と質問し、インドネシア代表は「一つの家族に何人ものろう者がいることが多く、家族で会員に入るため多くなるのではないかと思う」と答えた。

8.3.7イラン

欠席。報告書なし。

8.3.8日本    (添付資料)

日本代表は添付資料をもとに報告を行なった。

*インドネシア代表は「ダスキン事業は、他の障害者も対象になるのか?対象は個人ではなく、各国ろう協会が認定した者にしてほしい」と意見を述べ、日本代表は「ダスキン事業は障害者全体が対象となり、全部で10名。今年はモンゴルろう協会とネパールろう協会から推薦と申込があった。推薦文は研修生を決定する上で非常に重要となる。来年度も引き続き行なわれる予定」と答えた。

8.3.9韓国    (添付資料)

韓国代表は添付資料をもとに報告を行なった。

*高田WFD理事は「アジアの中でろう協会の会員数は日本が一番だと思っていたが、韓国に追い越された。45,000人とはすごい!」とコメントした。

8.3.10マカオ    (添付資料)

マカオ代表は口頭で報告を行なった。報告書は2日目に配布された。

「ろう学校が一つあり、口話ができる人は普通学校に、できなければろう学校に入る。ろう協会会員は200人。大きな問題は手話通訳で、政府と交渉中である」と述べた。

8.3.11マレーシア    (添付資料)

欠席。報告書は事前に配布された。

8.3.12モンゴル    (添付資料)

モンゴル代表は報告書をもとに報告を行なった。

*高田WFD理事は「モンゴルは会う度に代表者が違うのは何故か?モンゴルはどのように代表者を決めているのか?」と質問し、モンゴル代表は「これまでの代表者はろう協会会長ではなかった。1999年に私がろう協会会長に選出されたので、代表者も固定できるのではと思う」と答えた。

*モンゴル代表はアメリカの手話を導入した経緯について、「20年間ロシアと結びつきが強く、ロシア手話が教えられてきた。今、ロシア手話は世界会議などでは使われないため、1999年にアメリカと会議を設けた際にアメリカから資料をもらい、ろう学校でアメリカ手話を教えている。地域によってロシア手話とアメリカ手話に分かれている」と述べ、高田WFD理事は「アメリカ手話か国際手話かと言う前にそれぞれの国の手話が大事。WFDとしては、お互いの手話を尊重するために国際手話があると考えている」とコメントした。

8.3.13ネパール    (添付資料)

欠席。報告書は事前に配布された。

8.3.14ニュージーランド    (添付資料)

欠席。報告書なし。

8.3.15パキスタン

欠席。報告書なし。

8.3.16フィリピン

欠席。報告書なし。

8.3.17シンガポール

シンガポール代表は口頭で報告を行なった。報告書はなし。

シンガポール代表は「ろう協会の活動はろう学校の指導・職業訓練・生活サービス・家庭内の問題の4つある。かつては手話やろう教育はなかったが、1951年に中国人が中国手話と中国語を広めた。1955年にイギリスの宣教師がキュードスピーチを始め、1968年にはシンガポールの第一言語である英語を教えるためSEEが広まった。昔はろう学校が100校あったが、今は普通学校に入れたい親が増えている。仕事は手仕事が多かったが、今ではパソコンを使う仕事など職業の幅が広がっている。手話通訳者は現在20人。」と説明した。

*カンWFD理事は「ろう学校でろうの先生は何を指導しているのか?」質問し、シンガポール代表は「ろう者の自覚を促すため、シンガポールの歴史やアジア・世界のろう者の状況や文化などを教えている。数学、社会も教えている」と答えた。

8.3.18スリランカ

欠席。報告書なし。

8.3.19タイ    (添付資料)

タイ代表は添付資料をもとに報告を行ない、「ろう学校9校、ろう専門の大学2校がある。手話通訳者は3人と少ないが、最近は裁判所の通訳が認められるようになった。日本からの援助で手話の本を作り、今は多くの人が大学で手話を学べる。通訳の費用は政府からの援助金をあてている。緊急時の連絡方法としてポケベルが無料配布された。先日は500人が集まってろう者の人権や通訳問題を訴えるデモを行なった」と述べた。

*インドネシア代表は「ポケベルはどのようにして勝ち取ったのか?」質問し、タイ代表は「政府ではなく、ある会社が無料提供してくれた。今はポケベルが中心だが、これからは携帯電話になると思うので改めて交渉したい」と答えた。

オブサーバーのカンボジアは簡単に活動の説明をした。「ろう協会は今のところなく、障害者団体がろう者を支えている。ろう学校ではアメリカ手話を教え、カンボジア手話は抑圧されている。まずはろう協会が政府から認められるようにし、国内のカンボジア手話を統一させていきたい。フィンランドからの援助で手話の研究を進めており、手話400語を収めた本を作成している。5人のろう者と6人の聴者が活動している」と述べた。

<<2日目 (12月7日) >>

最初に、1日目の議題にのぼった青年キャンプについて、現時点の参加者数が報告された。合計35名で、内訳はニュージーランド6名、オーストラリア5名、バングラデシュ5名、モンゴル4名、日本3名、シンガポール2名、フィジー2名、スリランカ2名、マレーシア1名、カナダ1名、スウェーデン1名、オランダ1名である。参加保留はアメリカ1名、太平洋諸島6名、ニュージーランド5名、オーストラリア3名、マレーシア4名。

9.2001〜2002年のWFD RS A/P事務局活動方針(添付資料)

小椋事務局長は添付資料をもとに報告した。

オーストラリア代表は「国連がNGOの調査しているが、オーストラリア政府は我々NGOと話し合うことなく、国連に回答を出した。これについて事務局から政府に対して問題を訴えることはできるか?」と質問し、日本代表は「政府がNGOとの結びつきを持たずに回答するような問題がおこった際には、WFDへ報告するよう説明があった」と情報提供した。高田WFD理事は「政府とは別に、事務局でも各国の問題点をまとめ、報告することが大切では」とアドバイスした。小椋事務局長は「そのような問題をRNNで訴え、国連に伝わるようにしたい。問題が起こったらすぐに事務局へ報告してほしい」と述べた。

タイ、香港、シンガポール、マカオ、モンゴルなど多くの国がまだ回答していないことに対して、高田WFD理事は「調査用紙はまず国連から政府に送られて、政府から国内のNGOに送られるはずだったが、政府からNGOに渡されない、手続きが遅れて締切日を過ぎる国が多い。英語での回答が難しい国もあるだろうが、重要な調査なので、必ず回答してほしい。事務局としても対策を講じる必要がある」と指摘した。

日本代表は「援助を求める国が多く、資金が一番の問題となっている。援助のためには、アジア太平洋地域だけでなく、欧米との結びつきを強化する必要があるが、その際、事務局がアジア太平洋地域と他地域との橋かけの役割を果たす必要があるのではないか」、シンガポール代表は「シンガポールのろう協会では、DPIと交渉して資金面での援助を受けている。そういう方法もあるのでは」、香港代表は「APで話し合った内容を毎回WFDに報告するようにすれば、何かの問題もWFDにすぐ伝わるようになるのでは」とそれぞれ意見を述べた。

カンWFD理事と高田WFD理事は「渡航費用を政府と交渉する際にWFD RS A/P事務局からの推薦書を一緒に渡せば効果がある。交渉のための推薦書などの援助は惜しまない」と述べた。小椋事務局長は「来年の会議の際には会議の資料を皆さんにお届けしたい。それを利用して交渉にあたってほしい」と述べた。

2001年〜2002年の活動方針は満場一致で採択された。

10.今後のWFD RS A/P代表者会議

10.1第14回WFD RS A/P代表者会議

来年の第14回会議主催は、昨年パキスタンが口頭で立候補したが、立候補届けの文書が提出されていないため、パキスタンからの立候補はなかったものとみなされた。

10.1.1日本からの提案事項    (添付資料)

日本代表は提案1の第14回会議開催について資料に沿って説明した。

カンWFD理事は「滞在費を日本が負担するというが、登録費はどうなるか?」質問し、日本代表は「登録費は今回の会議と同様、WFD RS A/P規約に従う」と答えた。タイ代表が「滞在費を負担してくれることに感謝したい。RNN会議も含めて長期間にわたって、学べることはありがたい」と述べ、会場から拍手が沸いた。

提案1は満場一致で採択された。

<<休憩>>

日本代表は日本からの提案2第14回会議のオブサーバー参加について添付資料にそって説明した。

カンWFD理事は「3カ国を選ぶ基準は?ろう協会がない国は、代表者を選ぶのは難しいのではないか」と質問し、日本代表は「選定は事務局の判断に任せたい。事務局がアジア太平洋全域のそれぞれの情報を集め、それをもとに決めてもらいたい」と答えた。

オーストラリア代表は「もし、他国からも援助があれば4カ国に増やせるという話があったが、オーストラリアとしてもその援助に興味がある。候補として5ヶ国あれば、オーストラリアとしても残りの国を援助できる可能性もある」と述べた。

日本からの提案2は満場一致で決議された。

推薦国はラオス、カンボジア、ミャンマー、ベトナム、フィジー、パプアニューギニア、台湾、東ティモールが挙がった。高田WFD理事は「国連の方針では台湾は含められない」と述べ、台湾は除外した。韓国代表は「インドネシアと東ティモールの間に政治的衝突が起こっているため、東ティモールは今回は除外して来年にまわしてはどうか」と述べたのに対して、高田WFD理事は「東ティモールに関しては今は問題が解決しており、国連からも認められている」と述べた。

7カ国の中から3カ国に絞る方法については、オーストラリア代表とシンガポール代表は「今決定するのではなく、7カ国に関する情報を集めてから決めたほうがいいのでは」、タイ代表は「何が起こるかわからないから今すぐ決めた方がいい」、韓国代表は「今回は多数決で選び、漏れた国は補欠とするか、来年に保留してもよいのでは」とそれぞれ意見を述べ、用紙に各国で候補を3ヶ国書いて投票する方法で多数決を取った。

・カンボジア
・ベトナム
・ラオス
・パプアニューギニア
・東ティモール
・ミャンマー
・フィジー

第14回WFD RS A/P代表者会議オブサーバー招待国はカンボジアとフィジーとベトナムが選定された。3カ国には全日本ろうあ連盟から連絡し、来日が無理な場合は東ティモールとなることに決定した。

10.2第15回代表者会議

小椋事務局長は「2003年の第15回会議はカナダでのWFD会議の前後となる」ことを確認し、「2004年の第16回の開催国は日本での第14回会議で決めるので、候補があれば申し出てほしい」と述べた。

シンガポールと韓国とインドネシアが第16回会議主催の意思を表明し、小椋事務局長は「口頭での立候補があったが、公式文書による立候補をお願いしたい。事務局から形式や提出期限について要項を送るので立候補届けを作ってほしい」とした。

11.国際会議/イベント

11.1アジア太平洋障害者の10年「キャンペーン2001」

日本代表はアジア太平洋障害者の10年の最終年キャンペーンについて説明した。

11.2ギャローデット大学「デフウェイII」

日本代表は来年のデフウェイIIについて説明した。

11.3他の会議/イベント

高田WFD理事はカナダで開かれる第14回世界ろう者会議について説明した。第14回のお知らせはイタリアの会議の時に配布されている。

他のイベントは特になし。

<<3日目 (12月8日) >>

12.AP事務局規約

前回運営委員会で規約に「緊急時は運営委員3名の同意があれば緊急運営委員会を開催できる」を追加したことが報告された。また、オーストラリア代表は「規約文中に難聴という表現があるがろうという表現がふさわしいのでは」と指摘し、修正された。

13.AP事務局財政

WFD RS A/P事務局運営を担当している日本代表が「本来は運営委員が会計監査を担うが、運営委員会が機能していないため、事務局運営を担当している運営が事実のみを報告したい」と会計の報告を行ない、満場一致で承認された。

14.AP事務局運営委員会

14.1役割と責務

運営委員5名(日本、韓国、マレーシア、ニュージーランド、シンガポール)のうち、出席者は日本の1名のみであり、残りの4名は欠席であった。韓国は委員がろう協会会長を辞任したためであり、マレーシアは経済的理由で、シンガポールは個人的理由で、ニュージーランドからは連絡なしであった。

小椋事務局長は「各国の協会から返事がなく、連絡がとれないことが一番困る。経済的に大変と思われるが、工夫して資金調達に励み、毎年参加してほしい」と述べ、運営委員の役割と責務について説明した。

日本代表は「運営委員自身がWFD RS A/P代表者会議や運営委員会に出席できないのは、規約で渡航費は運営委員の所属団体が負担するとされているからでは」、カンは、「韓国では、運営委員になった場合は自国ろう協会との関係が断たれるという誤解があった」、シンガポール代表は「会議の前に運営委員の候補を募ることを知らせてほしい。ろう協会に無断で立候補はできない」と述べた。

14.2新しい運営委員の選出

新運営委員には日本の小椋武夫氏と韓国のキ・ブン・キム氏が立候補した。

立候補のあった2名と残りの3名の選定について、日本代表は「規約に運営委員の選出はWFD RS A/P代表者会議の選挙のみと明記されているため、来年の会議まで新たな運営委員は決められない」と指摘し、カンWFD理事とシンガポール代表は「5人以上の候補があった場合は選挙が必要だが、5名以下の場合は選挙は必要ないのでは」と意見を述べた。オーストラリア代表は「オーストラリアも立候補についてろう協会の承認を得た上で立候補したい」と立候補の機会が与えられたことに感謝を述べた。

運営委員2名(小椋武夫、キ・ブン・キム)は無選挙で自動的に決定した。来年のWFD RS A/P代表者会議まではこの2名が運営委員を担うことと、残りの3名については改めて募集の文書を各国ろう協会に送付し、2月28日までの2ヶ月間立候補届けを待った上で、次回の会議の際に補充選出することが確認された。

<<休憩>>

15.加盟国からの提案    (添付資料)

提案のあったネパールが欠席のため、提出された文書にそって説明が行なわれた。

日本代表は「ワークショップの前に事務局が各国の問題点を把握した上で、それをもとにワークショップを開いてはどうか」と意見を述べ、小椋事務局長は「事務局から各国の達成度を調べるアンケートを送付するので、回答してほしい」と答えた。高田WFD理事は「翻訳に関しては各国で解決すべき問題だが、事務局は各国の翻訳方法について把握してほしい」とアドバイスした。

ネパールは出席できなかったが、代わりに提案を出した姿勢は評価された。この議題は提案であるため、議決は行なわれなかった。

16.AP事務局ロゴ

16.1ロゴ・コンテスト

ロゴは8カ国から20点の応募があった。オーストラリア代表は「作品の大半は『WFD』の表記が多いが、『AP』の文字の有無が重要では」、日本代表は「ロゴは手紙のヘッドマークなどに使用するため、カラフルなものやイラストが細かなものは費用がかかる。簡単明瞭なイラストが必要」、シンガポール代表は「ロゴは重要なので、時間をかけて慎重に決めなければならない」と意見を述べた。

「AP」の文字のある作品7点の中から多数決で1点を仮選定し、さらに皆からの意見を受け付け、色やデザインをシンプルなものに少しずつ変えていくことが確認された。

ネパール
マレーシアI
マレーシアII
マカオ
インドI
インドII
香港

多数決でネパールからのロゴが仮決定された。

17.閉会

高田WFD理事はベトナムでのESCAPに出席するため、途中退場した。「開催国の香港に感謝している。新しい事務局長や運営委員と共に力を合わせて頑張ってほしい」と挨拶した。

香港ろう協会会長は閉会の挨拶を述べた。「オーストラリアのようにカンボジアを援助するなど、様々なつながりができて喜ばしい。WFD RS A/P代表者会議にあたって、政府や大学にお世話になり、日本からも資金援助をいただいたことを感謝したい」と挨拶した。

小椋事務局長は「運営委員のキ・ブン・キムとの話し合いにより、小椋が事務局長を務めることに決定した。協力をお願いしたい」と述べ、「残り3名については、マレーシア、シンガポール、オーストラリアのろう協会の承認を得た上で、2月28日までに事務局に立候補届けを提出してもらい、規約通り次回のWFD RS A/P代表者会議で選出する」ことが再確認された。最後に会議の参加と協力に対して参加者全員に感謝の言葉を述べて閉会した。

<<閉会>>


第13回世界ろう連盟アジア太平洋地域事務局代表者会議 議事録(和訳)
2001年12月6〜8日 香港、沙田、港中文大学

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