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パネル会議 ニューヨーク 2001年9月4〜6日
会議資料8 議事8


2002年以降のモニタリング
(ベンクト・リンドクビスト)

承知の通り、基準規則に関する現在のモニタリング期間は2002年12月に終了する。人権分野での発展、および国連人権委員会と人権高等弁務官事務所の役割は重要視されるが、障害を、開発問題の一つ、そして国連社会開発委員会の責任分野として位置付けることが極めて重要である。社会開発委員会決議2000/5の第7節において、今後のモニタリングの可能性を検討する任務が私に与えられた。この文書で、パネル会議で話し合いたい私の提案の要点を説明する。

基準規則第4章1節において、モニタリングの目的が以下のように書かれている:

「モニタリング機構の目的は基準規則の効果的な実施を進めることにある。モニタリング機構は各国が自国での基準規則の実施状況を査定し、その進歩を測定するのを支援する。モニタリングは障壁を把握し、規則の実施の成功に貢献する適切な措置を提案すべきである。・・・重要な要素としてはアドバイザリー・サービスの提供と、各国間の経験と情報の交換もあるべきである。」

私はモニタリングのこれらの様々な要素を、1994年以来続けてきた作業に含めてきた。ただしこれは、この作業を唯一の方法で行ってきたことや、活動が十分であったことを意味するものではない。別の特別報告者であれば別の方法がとられた可能性があり、また、より多くの人的・資金的資源があればより多くが達成できたかもしれない。

今までのモニタリング活動を非常に簡単にまとめれば、基準規則実施の促進と、発展状況の評価が2つの主要な要素だったと言える。この2つの分野での取り組みを継続することが重要だと私は考える。このため、現在のモニタリング期間が終了した後に、どのような形でこれを継続させるか、パネルで話し合って行きたい。

第4章12節で、社会開発委員会に次の任務が与えられている:「社会開発委員会は特別報告者の任期延長、新しい特別報告者の任命、新たなモニタリング機構の検討のそれぞれの可能性を考慮し、経済社会理事会に適切な勧告を行うべきである。」

この3つの選択肢の1つ目、すなわち任期延長は、完全に除外できる。残る2つの選択肢にうち最もシンプルな方法は当然、新しい特別報告者を任命し、現在のガイドラインに従って(もしくは細かい変更を加えて)作業を継続することである。パネル会議と社会開発委員会での協議によると、この案はあまり支持されていないが、より魅力的な方法が見つかればこの姿勢は変わる可能性がある。何れにしても、この選択肢は既に広く知られており、私がこれ以上検討する必要はない。

別のモニタリング機構を設置することについては、いくつかの方法が取り得る。以下に、国連の一般業務にモニタリングを組み込み、基準規則と世界行動計画(World Programme of Action)のそれぞれのモニタリング業務を統合する案を、一つの方法として紹介する。

促進活動

新しいモニタリング機構に、促進(プロモーション)と評価(アセスメント)の両要素が含まれることが重要である。規則実施の促進とは、規則と国際的な障害政策について啓発することであり、これは規則と世界行動計画の双方に含まれている。これらの障害政策、そして様々な状況での政策適用に関する研修も、促進活動の重要な一面である。私の経験によると、それぞれの国への助言サービスも不可欠である。このようなサービスは、政府と障害者組織の双方に提供するべきである。2つの案を協議しなければならない。承知の通り、私が社会開発委員会に提出した前回の報告には、地域アドバイザー(助言者)を設置する案が含まれていた。地域に分かれたアドバイザーであれば、その地域内の国のニーズにとって、より適切な知識と経験を持つ可能性が高くなる。しかしながら、この方法の実現にはかなりの問題が伴う。例えば、国連事務局を通して調整される統一構造という形がとられるべきか、運営資金はどうするか、このような構造はUNDPを通して組織することは可能か、などの問題である。

より現実的なもう一つの選択肢は、国連経済社会局(Department for Economic and Social Affairs)内の障害プログラム(disability programme)が、これらの促進活動を担当することである。テクニカル・アドバイザー(専門的助言者)のポストも新たに設置することが出来る。これは、基準規則の第4章10節で述べられる「地域間アドバイザー」とほぼ同様の役割と言える。このポストにつく人は、専門家としての優れた経歴、政府の障害問題政策での豊富な経験、そして障害者運動からの信頼がなければならない。このポストを有意義にするための前提条件の一つは、任務の一部となる各国訪問に、十分な資金提供が行われることである。また、これらの促進活動における専門家パネルの関わりについても、我々は話し合う必要がある。

状況の評価

モニタリングのもう一つの要素、すなわち発展状況の評価に関しては、私は主に、政府と組織の両方にアンケートを送付するという、国際調査の方法を進めてきた。承知の通り、最終回であった3回目はWHOを通して実施され、たった今、報告されている。同時進行の活動として、国連事務局は「世界行動計画実施の再考と評価("Review and Appraisal of the Implementation of the World Programme of Action")」を行っている。これは、国際障害者年(IYDP)以来、5年ごとに行われている。次回は来年であり、委員会が決議2000/5で我々に活動の調整を要請しているのはこのためである。

私の提案するのは、将来的にこれら2つの評価プロセスを1つに統合することである。国連事務局は定期的に、政策開発に関する国際的な調査を実施するべきである。これは、3年、4年、または5年の間隔で行う必要がある。国連が時間の経過による変化を比較できるよう、アンケートの一部は標準化するべきである。他の部分では、より具体的な分野で詳細な情報を求めることができる。基準規則のモニタリングに関連して拡大してきた、国を代表する障害者組織との関わりも保たれるべきである。また、我々と同様の構成を持つ専門家パネルが設置され、アンケート調査の準備と調査結果の分析に携わるべきである。


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