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パネル会議 ニューヨーク 2001年9月4〜6日
会議資料6 議事7b


2001年8月13日
ベンクト・リンドクビスト様
障害に関する国連特別報告者
ニューヨーク国連本部

件名:世界銀行の障害活動プログラム

リンドクビスト様、

世界銀行の障害関連活動に関する報告を要請して頂きありがとうございました。終了したばかりの会計年度では、予算の制限内でできるだけのことは行いました。次年度の活動についても、慎重にではありますが、期待しています。

2001年度

世界銀行は2001年の会計年度(2001年6月30日まで)に、開発途上国へ173億ドルを貸し出しました。この主な目的は、貧困の軽減です。開発途上国に住む障害者は不均衡に貧しく、また、開発途上国に住む貧困者は不均衡に障害を持つ状況となっています。貧困層の中のこの重要な集団に特別な配慮を行わない限り、この集団が世界銀行の貧困撲滅計画の恩恵を受ける可能性は低いです。貧困の中で生活する障害者は、経済的な発展がもたらす機会拡大の恩恵を受ける可能性が最も低く、貧困層の他の集団と比べて地位向上の機会も狭く、経済的な打撃や他の社会的不安定の被害を最も受けやすい集団であります。

リソースの管理:2001年度に、世界銀行は障害分野に非常勤のスタッフ(年に約12週間の出勤)を割り当てました。このスタッフの主な作業は、将来に向けた特別予算の確保でした。この結果カナダ、フィンランド、ノルウェーの三カ国が$692,000の信託基金を約束しました。この資金の利用方法については、以下の「展望」の節に書いてあります。

知識の管理:障害問題に関するテーマ・グループは、障害と開発に関する論文をいくつか作成しました。中心的なのは、ディナ・マクレオドとパメラ・ダドジクの「最も弱い立場に置かれた人々を含める:生活保護助成金と障害者」、「障害者を含める:世界銀行事業の概要」、そして貧困軽減戦略文書ソースブックの補足として作成された4つのテクニカル・ノートです。テーマ・グループは障害、貧困、そして経済開発に関する内部セミナーの開催や共催も行いました。

パートナーシップ:世界銀行は、ロンドンで開催された「障害と開発に関する国際作業部会(IWGDD)」の会議、コペンハーゲンで開催された障害と開発に関する北欧諸国外務省会議、そしてサンティアゴで開催された米州開発銀行の会議「開発とインクルージョンに関する意見交換:障害者の機会」に参加しました。

2002年度(展望)

2000年12月3日、ワシントン地域で開催された国連「障害者の日」記念式典において、世界銀行のジェームス・ウルフェンソン総裁は常勤障害アドバイザーのポストの確立を発表しました。ポストの募集通知は2001年8月初旬に世界銀行のウェブサイトで公開されました。この報告書に募集通知の写しを添付します。国際的な公募が順調に進みましたら、このポストは募集開始後一年以内に決定する予定です。さらに、カナダ、フィンランド、ノルウェーからの資金提供により、様々な活動が実現できます。2002年度の活動には以下が含まれます:

1)世界銀行の活動における障害のベンチマーク調査:この調査は、カナダの顧問信託基金(CTF - Consultant Trust Fund)からの出資で雇われた顧問が実施します。調査の目標は、世界銀行の活動の中で、障害問題が統合された範囲をモニタリングするための規準の作成です。また、この規準を利用して、時間の経過による進捗状況を測ることの出来るベンチマークを確立します。このような調査は2年間で完了すると予想されています。

2)経済・セクター分析(ESW - economic and sector work)への障害問題の導入:障害アドバイザーは、世界銀行の国とセクターへの支援に関する戦略文書、貧困軽減戦略文書、及び運営方針や手順などを調査し、障害の要素を含める、または拡大する方法を建設的に提案します。障害アドバイザーの作業には、必要に応じて専門的な意見を求められるコンサルタントがつきます。

3)世界銀行の活動における障害要素の構築:この作業の主な資金源は、ノルウェーの障害・開発信託基金の一部であるインクルージョン基金となります。スタッフは事業の実施手順の監視を通して事業をより「障害にやさしく」できる部分を確認し、事業の責任者へインクルージョン基金に関する情報を提供します。事業責任者は、事業での障害要素の構築に関する顧問を雇うため、インクルージョン基金からの補助金を申請します。また、障害アドバイザーは全般的に、適正な事例(good practice)から学ばれた点が、世界銀行の運営に活かされる事を確認します。

4)障害・貧困の相互関係を理解するための情報基盤の整備:障害に関するデータは乏しいです。米州開発銀行およびアジア開発銀行とのパートナーシップで、障害に関する各国の調査報告を集成することが計画されています。フィンランドのCTFは、南アフリカでの障害調査を補助しています。カナダのCTFは、ベトナムでの調査を補助しています。2002年度中に少なくとももう一カ国、おそらくアフリカで調査が開始されます(対象国の意向で決定します)。3カ国目の調査は、ノルウェーの障害・開発信託基金により出資されます。これらの調査の主な目的は、各国における世界銀行の貸与活動への情報提供です。この3つの調査に加えて、米州開発銀行は障害に関する3カ国での調査を計画しており、さらにアジア開発銀行は他の3つの調査を目的とする資金提供を受けました。

5)調査研究:開発途上国での障害と貧困に関する、目的にかなった調査研究が必要とされています。ノルウェーの障害・開発信託基金からの資金により、少なくとも一つの所帯調査の実施が予定されています。

6)資金提供者(ドナー)および国際コミュニティとの関係強化:世界銀行は、開発途上国における障害と貧困に関して既存する知識をまだ十分に引き出していません。この状況を改善するため、世界銀行は資金提供者、及び専門家パネルに属する障害NGOとの関係を強化して行きます。また、少なくとも四半期に一度は、国際会議に参加することを暫定的に計画しています。

世界銀行の活動に関心を寄せて頂き、ありがとうございました。

敬具

トム・フーペンガードナー
コーディネーター、障害と開発
社会保護グループ、人間開発ネットワーク


募集通知
障害・開発アドバイザー

世界中の障害者人口は2億3千5百万〜6億人に達すると見られている。この大半は開発途上国に住み、貧困層のなかでも公平に配慮されていない。貧困の中で生活する障害者は、経済的な発展がもたらす機会拡大の恩恵を受ける可能性が最も低く、貧困層の他の集団と比べて地位向上の機会も狭く、経済的な打撃や他の社会的不安定の被害を最も受けやすい集団である。

障害問題を世界銀行の主流な貧困軽減活動に適切な形で取り入れるため、そして障害者に特定した活動を奨励し続けるため、世界銀行は最初の任期を3年間とした、障害・開発アドバイザーのポストを築いた。このポストは、不利な集団に深く影響する収入や福祉の問題改善を個人・所帯・地域社会に支援する、人間開発(HD)ネットワークの社会保護ユニットに所属する。主な監督と報告先は、社会保護ディレクター、そして二次的に教育ディレクターと保健・栄養・人口ディレクターとなる。

障害問題は世界銀行の様々な分野に広く関係するため、社会保護(社会保障、生活保護助成金、社会安全策、労働市場)、HDネットワークのより広範な分野(教育、保健、栄養、人口)、銀行全体にわたる分野(貧困軽減、社会的性別、社会開発、紛争後の回復、交通と通信など)などの様々な分野間の調整と共同作業の促進が、このポストの重要な役割の一つとなる。

職務と責任:

世界銀行の障害関連活動の基本的な目的は、世界銀行の政策、プログラム、そして事業において、障害者を十分に考慮した範囲を拡大することである。これに関連して、アドバイザーの主要な責務は以下の通りとなる:

選出規準:

開発途上国出身者、及び個人的に障害の経験を持つ候補者は優遇される。職場はワシントンDCとなる。世界銀行は、再就職の斡旋を含めて国際的にも高い規準の就職制度を持つ。

応募者は詳細な履歴書またはCVをEメールで Lmillett (アットマーク) worldbank (ドット) org 宛に、またはFAXで (202) 473-0901 へ送付すること。締め切りは2001年9月15日。


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