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パネル会議 ニューヨーク 2001年9月4〜6日
会議資料3 議事7a


「CBRの見直し」に関する国際会議
日時:2002年10月  場所:フィンランドのヘルシンキ
企画:WHO及びその他の国連機関の共同企画  主催:フィンランド政府

背景:

CBR(地域社会に根ざしたリハビリテーション)の最も重要な目的は、障害者のエンパワーメントを促進する事により障害者が自分の人生の様々な面について自己決定し、身体的、精神的機能を最大限に発揮し、一般のサービスや機会が利用でき、完全に地域社会の一員となることである。社会政策の一つとして、CBRによって障害者が地域で生き、健康で幸福な生活を送る権利が保障され、教育、職業、社会、文化、宗教、経済、政治活動に完全参加できるようにする。CBRはさまざまな分野から成り立つ多角的な事業であり、障害者、その家族、保健専門員、地域社会のパートナーシップにより推進される。世界保健機関(WHO)は長年CBRに取り組んできた。WHO障害・リハビリテーション・チーム(WHO/DAR)は保健や社会施策の見直しに際してCBRとPHC(Primary Health Care 基礎的保健事業)を極めて重要な事業として位置付けている。

CBR戦略の見直しの必要性:

CBR戦略が最初に提案されたのは20年ほど前になる。CBRは全世界で支持され、障害者とその家族が利用できるサービスを提供するための中心戦略とされてきた。初期の段階では地域や非政府団体、地方自治体などによって推進されたが、この10年の間には徐々国の政策にCBRが含まれるようになってきた。このような動きは特に開発途上国に見られる。CBRに関する数々の国際ワークショップと研修コースが設けられてきた。さまざまな国でCBR活動が進展していて、CBRのパイロット事業、研究、評価、効果の検証などが行われてきた。CBR問題は国連特別報告者と専門家パネル、国際NGOなどとも討議されてきた。

CBRが実践されてきたこの20年ほどの間に、さまざまなCBR「モデル」についてその長所、短所、メリット、デメリットが指摘されてきた。CBRが障害者の生活の質の改善を成功させるには、地域のかかわりが重要であり、障害者に関する意識の変化をもたらさなければならない。CBRはそれぞれの地域特有の社会的、文化的、経済的背景の中で行われることを考えれば、例え基本理念が同じでも、全く異なる地理的環境で展開されるCBR事業はずいぶん違った形になる事も理解できる。ILO,UNESCO,WHOの第一回共通指針(1994)にもこれらCBRの基本方針が明記されている。現在この共通指針の見直し作業が行われているが、近々改訂版が出来上がり、UNICEFにも賛同してもらえるはずである。

WHO障害・リハビリテーション・チーム(WHO/DAR)の活動: ここ数年DARチームは、世界中の障害者、特にこれまで全くサービスを受けられていない障害者のニーズに応える最善の方策を見出す目的でいくつかの活動に取り組んできた。

これまで取り組んできた主な活動としては:スウェーデンのSHIAと共同で「CBRの影響のアセスメントに関する研究」、イタリアのAIFOと共同で「スラムの住民、難民など弱者グループに対するCBRの研究」、障害者の意見や考えを聞くフォーラム (Rethinking Care Conference) をノルウェー政府、ノルウェー障害者協会 (Norwegian Association of the Disabled) と共同で開催、「CBRに関する共通指針」 (Joint Position Paper on CBR) をUNICEF、UNESCO、ILOとの共同で作成、世界各地で多国間討議を開催、国連障害問題特別報告者のベンクト・リンドクビスト氏と障害者の機会均等に関する基準規則について対談などがあげられる。

これまでの進展を論理的に考えて、次にとるべきステップはCBRを見直す国際会議を開催し、これまでのさまざまな取り組みを完成し、補完することである。この国際会議にはCBR計画の多方面の関係者に参加を呼びかけ、これまでの理念、知識、経験を見直し、これからのCBR戦略をたてるべきである。

国際会議の協議範囲: この見直しはCBRのあらゆる側面を網羅すべきであり、国連障害問題特別報告者、ILO、UNESCO、UNICEF、UNHCRなどの国連機関も関わるべきである。

参加者:

CBRの見直し作業には、国や地方のCBRプログラム・マネージャー、中間レベルのCBRスーパーバイザー、ボランティアを含む地域CBRワーカー、障害者とその家族、DPO,NGOとINGOの代表者等、CBR事業、計画に関連するあらゆる人や団体が関わるべきである。実際CBR事業を実行する責任者、色々な国でのCBRを体験する等CBRに関する幅広い経験を持つ人、評価、運営研修、施策立案などの分野で力が発揮できる人等も、それぞれ数名ずつ必要であろう。全体として上限100名ほど規模の会議を予定している。

会議期間:

会議は二日半に及び、初日前夜に開会の式典を行う。

会議から望まれる結果:

会議の協議の結果、CBRの4つの主要分野(地域との関わり、多部門的アプローチ、メインストリーミング/インクルージョン、CBRプログラムの向上、拡張)の今後の戦略に関する報告書・レポートが発表されるべきである。

会議の方法論:

協議を要するCBR関連の問題点の多さと複雑さ、限られた会議期間、参加人数の多さと多様性などを考えた場合、事前に問題点を明確にし、事前協議を行い、早期に議事案を作成しておかなければ望まれる結果には到達しないであろう。

会議で使用される言語は英語で、会議は全体会議、基調講演、グループ・ディスカッションなどで構成される。

活動日程2001〜2002:

活動 期間・締切期限
CBR戦略に関連し、説明又は討議が必要な主要な点に関する実践的な報告書を作成する。 2001年3月末(完了)
アルワン局長(Dr. Alwan)と会談し、実践的報告書とブレーンストーミング会議の打合せをする。 2001年3月8日又は9日(完了)
国連機関も参加する国際会議の在り方についてブレーンストーミング方式の会議を開くが、その参加者数名(5~6名)を選び実践的報告書を送付する。 3月末(完了)
ブレーンストーミング会議開催(WHOにて) 2001年5月10日(完了)
フィンランドの現地の委員会の役割を決定。会議場、ホテル、費用などの確認。 2001年6月〜9月DARのエヴァ・サンドボルグ(Eva Sandborg)担当
会議の主要テーマと基調講演の講師候補の決定。 2001年6月〜9月スニル・ディーパク(Sunil Deepak)が6月末までに第一案を作成
国際DPO及びベンクト・リンドクビスト氏との討議。 2001年9月3〜5日ニューヨークにて(エンリコ・ピュピュリン/エヴァ・サンドボルグ担当)
国際NGOとの会合。会議準備。(ジュネーブにて) 2001年末までに
参加見込み者への連絡(招待の予告) 2001年10月〜2002年1月
参考資料、グループ・ディスカッションの質問などの準備。 2002年3月
会議資料作成完了、参加者への正式招待 2002年6月
「CBRの見直し」に関する会議 2002年10月フィンランドにて
会議報告 2002年12月

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