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※邦訳は川島聡様のご好意により掲載させて頂きました。

「障害者による障害者のための障害者と共同した機会均等化の更なる促進と、
障害者の人権の更なる保護」についての社会開発委員会決議

(訳:川島聡)


社会開発委員会第40会期
2002年2月11-21日
議題3 (b) (ii)
2002年2月27日に採択された決議案(a)

社会開発委員会は次の決議案を採択するよう経済社会理事会に対して勧告する。

「障害者による障害者のための障害者と共同した機会均等化の更なる促進と、障害者の人権の更なる保護」

経済社会理事会は

国連憲章の原則及び目的を想起し、また、関連人権文書(女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(注1)及び子どもの権利条約(注2)を含む。)に含まれる義務を再確認し、

障害者に関する世界行動計画を採択した1982年12月3日の国連総会決議37/52(注3)、障害者に関する機会均等化に関する基準規則を採択した1993年12月20日の国連総会決議48/96及び2001年12月19日の国連総会決議56/115を想起し、

また、2000年7月27日に採択された障害者の機会均等化に関する経済社会理事会決議2000/10、2000年4月25日に採択された障害者の人権に関する国連人権委員会決議2000/51(注4)並びに国連総会、経済社会理事会及びその機能委員会のその他の関連決議を想起し、

1994年11月25日に採択された経済的、社会的及び文化的権利委員会の障害者に関する一般的意見第5(注5)に留意し、

障害者の権利及び尊厳の保護及び促進に関する包括的かつ総合的な国際条約についての諸提案を検討する特別委員会を設置することを決定した2001年12月19日の国連総会決議56/168を想起し、

障害者の人権の保護及び監視に関する諸文書の妥当性についての研究を要請した国連人権委員会決議2000/51を想起し、

経験及び知識の共有において、国連人権委員会と社会開発委員会の障害特別報告者との協力を歓迎し、

ある環境において障害者が貧困の中の貧困にいること、並びに、有給職へのアクセスや教育のような発展の恩恵から排除され続けていることに強く憂慮をもって留意し、

万人のための社会を実現するために、平等を基礎として、障害者の権利並びに経済的、社会的、文化的及び政治的生活における障害者の完全かつ効果的な参加を促進するための、効果的な戦略及び政策を採用しかつ実施する必要を想起し、

基準規則が障害者の機会均等化において重要な役割を一層果たしていること、並びに、障害者の人権及び尊厳の問題が一層多くのフォーラムにおいて取り組まれかつ促進されていることに満足をもって留意し、

基準規則を実施するための政府の重要な努力に留意し、

また、基準規則の実施を促進する際の、種々の国内及び地域フォーラム、専門家会議その他の活動の重要な貢献に留意し、

政府並びに関連政府間機関及び機構と協力して、国内、地域及び国際レベルにおいて基準規則の実施及び評価に対する認識を促しかつそれを支援するための、非政府組織(特に、障害者組織)の積極的な役割に感謝し、

1.社会開発委員会の障害特別報告者の作業を歓迎し、将来の活動のための勧告の作成を含む当該特別報告者の第3期報告書(注6)に留意し、また、障害問題の主流化に関する当該報告者の提案を支持する。

2.障害特別報告者の任期中になされた、障害者の機会均等化に関する基準規則を実施するための能力を国内、地域及び地域間レベルにおいて構築するための、政府間機構、非政府組織及び学究機関の重要な努力に感謝をもって留意する。

3.基準規則に従って障害者の完全参加と平等という目的を更に実施するための政府の多くの率先性及び活動、並びに、この点についての国連システム(ブレトンウッズ体制を含む。)及び非政府組織の重要な役割を歓迎する。

4.基準規則の更なる実施のために一層大きな意識及び支援を創出するための、障害者の人権の更なる促進及び保護のための措置を提案するための、障害分野における国連システム内の協力を改善するための、また、基準規則の将来の監視形態を明らかにするための実際的な活動をとるよう、政府、政府間機構及び非政府組織に対して要請する。

5.障害者が教育、保健、雇用、社会サービス、住居、公的運輸、情報、法的保護及び政治的意思決定過程に平等にアクセスすることを確保するよう、政府に対して要請する。

6.基準規則に照らし、多数国間開発機関のプロジェクトと関連させて、障害と関連する人権問題に適正な関心を払うよう、当該機関に対して要請する。

7.基準規則を更に実施するために、協議のためのメカニズム、適当なものとして情報及び調整の交換、並びに、関連国連機関、専門機関及び関連組織の積極的参加を強化しかつ改善するよう、国連事務総長に対して要請する。

8.障害者に関する知識、経験、成果及び勧告を共有することにより障害者の権利を促進するために、国連障害者計画と緊密な関係をもって作業するよう(特に現地レベルでの活動を含む。)、国連システムの関連機関及び機構(それぞれの任務内で関連人権条約機関を含む。)に対して要請し、また、地域委員会、政府間機構及び非政府組織(特に、障害者組織)に対して要請する。

9.効果的で調整された方法をもって基準規則を実施するために、障害者組織その他の障害問題に関心を持つ組織との協力関係を高めるよう、政府及び国連システム(ブレトンウッズ体制を含む。)に対して奨励する。

10.障害者の人権が適切に取り組まれることを確保するために、障害者に特有の問題を条約機関の締約国の報告書に含めるよう(その際には、経済的、社会的及び文化的権利委員会の一般的意見第5が障害問題に関する一つの主流化モデルとして役立ちうるだろう。)、当該締約国に対して奨励する。

11.基準規則の促進及び監視(障害の人権的側面を含む。)を更に進めるために、基準規則第4章に定められた規定に従って、2005年までの期間、障害特別報告者の任務を更新することを決定する。

12.障害特別報告者の報告書における提案(特に、基準規則の補足についてなされた提案)について国連加盟国の見解を求め、かつ、社会開発委員会第42会期に実質的な報告書を提出するよう、国連事務総長に対して要請する。

13.関連人権文書及び基準規則との関係を考慮することにより、またその際には、社会開発委員会第40会期における障害特別報告者の報告及び提案(注6)、国連人権高等弁務官事務所による研究並びに国連加盟国、国際機構及び非政府組織(特に障害者組織)のこれらの提案に対する見解を慎重に研究することにより、国連総会決議56/168に従って設置される特別委員会が条約についての諸提案を検討するよう勧告する。

14.国連総会の一般的慣行に従って、特別委員会の作業に積極的に参加するよう、国連システム(ブレトンウッズ体制を含む)及び非政府組織(特に、障害者組織)に対して奨励する。

15.さらに、障害特別報告者の活動並びに障害者による障害者のための障害者と共同した機会均等化のための国内能力を強化するための新たなかつ拡大された率先性を支援するために、障害に関する国連自発的基金への貢献を継続するよう、政府、非政府組織及び民間部門に対して奨励する。

(注1)General Assembly resolution 34/180, annex.
(注2)General Assembly resolution 44/25, annex.
(注3)A/37/351/Add.1 and Corr.1, annex, sect. VIII, recommendation I (IV)
(注4)See Official Records of the Economic and Social Council, 2000, Supplement No.3 (E/2000/23), chap. II, sect. A.
(注5)Ibid., 1995, Supplement No.2 (E/1995/22), annex IV.
(注6)E/CN.5/2002/4.


「障害者による障害者のための障害者と共同した機会均等化の更なる促進と、
障害者の人権の更なる保護」についての社会開発委員会決議

最終更新 2002年5月16日
財団法人 全日本聾唖連盟

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