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IDA・国際障害同盟及び国連特別検討会(アドホック)に関する報告
高田英一


IDA・国際障害同盟及び国連特別検討会に関する報告

2002.8.1

1.IDA・国際障害同盟会議

 ニューヨーク・ブロードウェイ・プラザ・ホテルにおいて、7月27.28日の両日第7回IDA・国際障害同盟が開催された。
 WFDからはカウピネン理事長、高田及びアクイリン事務局長が出席、他に世界盲人連合(WBU)、世界盲ろう者連盟(WFDB)、世界精神医療利用生還者ネットワーク(WNUSP)、国際リハビリテーション協会(RI)、国際育成会連盟(II)の代表が出席した。DPIは議長のヨシュア・マリンガ氏が障害と関わらない政治的理由のために英国を通過できず欠席した。

2.関心は「障害者権利条約」の成立にあり、その成功のための判断及び戦略・戦術が中心議題となった。

(1)メキシコ政府の提案する「障害者権利条約(案)」は、その積極的な姿勢にもかかわらず内容的に大変貧しい。単なる修正では追いつかない内容である。

(2)一方国連が「障害者権利条約」審議のための特別検討会(各国の代表団に依って構成)は障害者に対して傍聴を含むあらゆる便宜を供与しようとする姿勢があり、それは評価する。例えば検討会において障害者NGOの発言を認める(前例がなく、かつ前例としない)他、検討会議長は審議中の毎日、障害者NGOと面会して意見交換を行うなどの特別の措置を取っている。これらの便宜は基本的にINGO(国連の認める国際NGO・非政府機関)に対するものだが、これ以外にも一定の手続きを経て傍聴を認める。

(3)従って、これらの措置を配慮して当面、政府提案に敵対的な態度を取らず、友好的な姿勢で基本的な理解を求める方向を確認した。

3.IDA・国際障害同盟は新規約(緩やかなネットワーク)を仮承認して、規約により議長はドン・ウイルス(II会長)からキキ・ノードストレム(WBU会長)に交代した。高田の評価としてキキはスウェーデンの盲女性だが大変個性的で的確な情勢判断をする。

4.IDA・国際障害同盟は5月にメキシコで開催された専門家会議(WFDからはカウピネンとアクイリンが出席)の結果を踏まえた(1)新条約の起草方針、(2)条約に含まれるべき具体的な権利の項目、(3)キキの報告書の3つの文書に基づいて声明文を作成、29日の特別検討会で配布することとした。

5.29日の特別検討会初日では開会挨拶をニティン・デサイ事務次長が行い、議長にエクアドル大使ルイス・ガレゴス氏が就任、副議長にカリナ・マーティン(スウェーデン)氏が確定、後3人が地域別に選出される予定。

6.検討会初日はデサイ次長挨拶の後メキシコ(デ・アルバ大使)、ヨーロッパユニオン(EU)、チリ、クロアチア、国連人権高等弁務官事務所、ノルウェイの5国1機関が条約賛成の方向で演説した。

7.まだ初日なので何ともいえないが、特別検討会は空席が目立ち、50カ国(国連全加盟国は190)程度しか出席していない。また代表も障害者自身がなっているのは、議場を見ただけではウガンダとデンマークのみ。

8.メキシコからの条約の提案は未だ、この提案によって具体的な審議が開始され、各国による駆け引きが始まるものと思われる。これまでの条約審議の経過からして、審議が継続されるとしても5年程度必要と思われる。

9.日本も国連代表部からの出席はあったようだが、代表も正式には決まっていない模様で積極的な姿勢は見えない。このままでは、条約賛成はもとより、国内での批准、条約締結、実効性も怪しくなる。国内的な運動の盛り上げが必要。日本代表には障害者自身として八代英太議員がなる可能性も考えられる。

高田英一


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最終更新 2002年8月3日
財団法人 全日本聾唖連盟