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全日本ろうあ連盟による仮訳

国連子どもの権利条約の批准を記念し、近日中に開催される
国連サミットに対する国際障害同盟の声明書


国連は子どもの権利条約の10周年を記念する特別セッションの準備を進められていて、会員国は声明書の最終原稿や「子どもに適した世界」("A World fit for children") と題した成果文書を準備しておられると聞いています。

国際障害同盟(IDA)に代表される各国際障害者組織としては、その成果文書の最終案に障害に関することが事実上全く取り上げられていないことを非常に嘆かわしく思っております。

世界中の子ども達のうち10%もの子どもが身体的、感覚的、知的、又は精神的(心理社会的)障害を持っています。そして、これらの子ども達こそ世界の人々のなかでも最も傷つきやすい立場にあります:

「子どもに適した世界」と題された成果文書に描かれている「子どもにやさしい世界」(child-friendly world)にはこのような障害を持つ子ども達の入り込む余地がありません。

障害を持つ子ども達の特殊なニーズが認められていないということは、つまり世界の多くの国にはこのような子ども達が存在しないか、あるいは存在する必要がないということでしょうか?他の子どもと違って、彼らには権利がないということでしょうか?

成果文書に彼らの声が聞こえず、彼らの姿が見えない様では、そういう結論になるでしょう。障害を持つ子どもの権利擁護者達は準備委員会のメンバーの目を障害児に向ける努力をしてきましたが、依然として障害を持つ子ども達の問題は十分に取り上げられていません。

IDAは障害を持つ子どもたちが地域社会生活のあらゆる面に参加し、障害を持たない人とは違うと言う烙印が押される事のない様に戦う一方で、国連の文書にこのような子ども達の特殊ニーズが特記されるように働きかけていることはいささか矛盾しているように感じます。しかし、まず彼らの存在が十分に認識されないと、見落とされてしまいます。

子どもの権利条約の第23条のみが障害児に関する条項ではありません。条約の全ての条項が障害を持つ子ども達の機会均等化を求め、将来他の子ども達と共に参加できるようにすることを訴えていると考えるべきです。

障害を引き起こす原因を取り除くだけでは不十分です。いつでも障害を持つ子どもは必ず居ます。なぜならば障害は世の中の動かし難い現実だからです。障害を持つ子ども達とかれらの家族は支えていく必要があります。

人々の権利が守られ、平和と連帯の世の中を作るには、障害を持つ子どもも含めて、全ての子どもの未来に投資していかなければなりません。

我々は各国政府、資金提供団体、民間社会、経営者、家族、地域社会に対して、下記の方策を支援することにより、全ての子どもが社会の活動から取り残される事なく、その権利を認め参加を促進するよう呼びかけ、これらの方策が国連の成果文書にも取り入れられるよう訴えていきます:

2001年7月3日

ドナルド・ウィルズ
IDA議長
インクルージョン・インターナショナル会長


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