財団法人全日本ろうあ連盟
理事長   安藤 豊喜殿

弊社記事に関するご質問について

2001年4月25日
毎日新聞大阪本社

 3月24日付弊紙朝刊(大阪本社版)に掲載された「企画特集 耳の健康を考える」の記事について、貴連盟からお寄せ頂いたご質問についてお答えいたします。
 初めに、本件記事に関して配慮に欠けた表現があったことは誠に遺憾に存じます。貴連盟のご指摘を真摯に受け止め、弊社としても誠意を持ってお話し合いをしたいと思います。
 なお、当該記事の基になる講演をした大阪府耳鼻咽喉科医会会長の酒井國男医師から別紙の通り回答が寄せられています。併せてお届けします。

1、ご返答が遅れたことについて
まず、ご回答が遅れたことをお詫びします。
当該記事について、本来なら貴連盟京都事務所の石沢様より最初にお問い合わせを頂いたあと直ちにご返答すべきところ、専門家の意見を聴くなど対応を協議していたため今日まで遅れました。誠に申し訳なく思っています。

2、当該記事の表現について
 本件記事は、耳の健康を啓発するために企画された特集の一つで、近畿地方の都市圏の紙面に掲載されました。
企画内容について聴覚障害の方を差別する意図なぞ毛頭ないことは言論機関として言うまでもありません。
酒井医師は別紙回答の中でも書いておられますが、「三十年間、耳鼻咽喉科の中でも聴覚障害を専門領域として診療に励んで」こられ、「その過程で、社会の聴覚障害者に対する偏見とも戦ってきた」方でもあります。
弊社としては、いわばこの道の専門家として多方面で尽力してこられた酒井医師を信頼し、その人物の講演内容ということで安心感を抱きながら記事化したわけです。
しかしながら貴連盟が指摘されている「想像力や考える力は耳が優位」「5歳までに難聴が治らないと、言語がしゃべれなくなる」等の文言が、要約として配慮を欠いた表現であることは、ご指摘の通りだと考えます。
酒井医師は「今回の講演で私が言いたかったのは、聴覚障害者への理解と高度難聴者への教育の重要性、教育の成果について強調したいとの思いが強く働いていた」と書いておられます。また、「耳鼻咽喉科医でありながら上手に手話が使えなくてごめんなさい、という態度で接して参りましたのに、私の意思とは全く正反対の誤解を与えてしまい誠に残念」とも述べられています。
酒井医師は大阪府耳鼻咽喉科医会の会長を務められ、長年、耳鼻咽喉科医師として聴覚障害者に愛情を注いでこられた方だと理解しています。
記事化に際して、講演要旨の記述を酒井医師に最終的にチェックしていただき、酒井医師の了承を得て掲載しております。
しかしながら、こうした専門医の講演要旨の紹介といいながら、結果的に配慮を欠いた表現のある記事を掲載したことについて、弊社として責任を痛感する次第です。

3、本件を契機として
今回のご指摘をきっかけにして、聴覚障害者の現状等についてもよりいっそう社内啓蒙を図っていく所存です。また、本紙記事はもとより投稿・講演等についても内容チェックをより強化していく考えです。
弊社は介助犬シンシア・キャンペーンを始めさまざまな障害者キャンペーン報道に全社挙げて取り組んでおります。こうした一連の報道に関し多くの読者の方々から高い評価を頂戴していると自負しております。
障害者への差別・偏見をなくしていくのは、弊社の強く念願しているところです。今回のご指摘を重く受け止め、さらに努力を続けてまいりたいと考えております。
今後とも、より広く聴覚障害者への理解が得られるような記事を積極的に掲載していきたいと思います。
読者に関心と理解を深める記事を届けるためにも、貴連盟には情報や企画、資料の提供など、ご協力を賜りますようお願いする次第です。
                                  以上