2020年5月 会報挨拶 「試練の幕開けに」 齊藤正比己  茶どころ静岡は、お茶積みの最盛期です。  会員の皆さん。お変わりございませんか。お伺いいたします。  新年度は、定期総会を中止する、試練の幕開けとなりました。 書面による表決をお願いいたしました。集計結果は、次号の7月会報にてご報告いたします。また、盲ろう者向け通訳介助者養成講座も中止となりました。補講を受ける予定の皆さんには、別途対応しますので、ともに修了を目指しましょう。  当面、7月まで、交流会やコミュニケーション学習会の開催を中止いたします。  新型コロナウイルス感染症の影響は、地球規模に及んでいます。私は、世界の人々がより強く連帯する方向に進んでほしいと願っています。世界には衛生的な飲み水の確保すら困難な生活を余儀なくされている人々、たとえ水があっても一人ではたどり着くことのできない盲ろう者が多くいるのですから。  ところで、感染症対応で窮地にある今、もしも大地震に見舞われたとしたら。  振り返れば、静岡友の会結成の1995年には、阪神淡路大震災がありました。また2011年には、東日本大震災により、浜松市で開催を予定していた第21回全国盲ろう者大会が中止となっています。今年度の全国大会も中止となりました。  水道や電気・ガス、交通・輸送、医療、そして忘れてはならないトイレなどのライフラインの確保があってこそ、暮らしが維持され発展も期待できます。  盲ろう者の私たちは、さらに、通訳・介助を受けなければ、これらのライフラインへたどり着くことも極めて困難あるいは不可能です。コミュニケーションにより情報を得て、移動しライフラインにたどり着けるのです。  いうなれば、盲ろう者にとって、通訳介助者は「ライフラインの(ための)ライフライン」といえるでしょう。  さらに、盲ろう者はその障害の特性から、触手話、弱視手話、手書き文字、指点字、接近した距離からの音声など、直接的な触れ合いによるコミュニケーションがとても重要です。したがって、画一的対応ではなく、盲ろう者個々の多様性、個別性への対応を大切にお願いいたします。  いつでも、どこでも、誰とでも、つながり合う暮らしをめざして、友の会活動に取り組んでまいります。  ヘレン・ケラーには、次のような言葉があります。  「世の中は辛いことでいっぱいですが、それに打ち勝つことも満ちあふれています」  みなさん、くれぐれもご自愛ください。