2006年7月19日
厚生労働大臣
 川崎 二郎 様
東京都新宿区山吹町130 SKビル8F
電話03-3268-8847・Fax03-3267-3445
財団法人 全日本聾唖連盟
理事長 安藤 豊喜

障害者自立支援法(コミュニケーション支援事業)に関する要望について

 時下、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
 日頃より、私ども聴覚障害者の福祉向上にご理解ご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。
 本年4月の障害者自立支援法の施行により地域生活支援事業が10月から実施される予定ですが、私ども聴覚障害者にとりわけ関係の深いコミュニケーション支援事業について、市町村の必須事業と位置づけられていながらも、その詳細が国から提示されていないために市町村によって格差が生じております。
 私どもは聴覚障害者が安心してコミュニケーション保障を受けられることができるよう下記のとおり要望いたします。



1、市町村が取り組むべき事業として手話通訳等を含むコミュニケーション支援事業が法定化され、10月から実施されます。
(1) この事業は地域の特性や利用者の状況に応じて柔軟に地方が自主的に取り組む事業としての位置づけがされています。しかしながら、コミュニケーション支援事業についてのガイドラインが示されていないため、新規におこなう市町村の中には、手話通訳を利用する聴覚障害者に負担金を求めることを要綱に明記するところも散見されています。手話通訳保障は従来から聴覚障害者の負担金がかからない分野であることに鑑み、事業を実施する市町村の参考になる都道府県・市町村のモデル要綱等の情報を示すことが地域の格差を生じさせず、コミュニケーション支援事業の展開に役立つ観点から、好事例を全国課長会などで資料として紹介してください。
(別紙参照 北海道モデル要綱・滋賀県モデル要綱・静岡県モデル要綱)

(2) 手話通訳等の派遣事業を市町村に任せることで、縮小あるいは廃止を検討する都道府県の動きもあります。聴覚障害者の生活は居住地域の中だけで完結するものでは決してありません。広域的な手話通訳の派遣が引き続き実施されますよう、派遣システムの好事例の紹介などを実施してください。
(別紙参照 埼玉県要綱)

(3) 都道府県の事業として手話通訳の基盤整備が重要になっています。大都市特例の廃止により、手話通訳養成事業を廃止する市も少なからず見受けられています。一方で政令都市の手話通訳養成事業を引き継ぐ都道府県もあり、一概に後退しているとはいえませんが、都道府県・政令都市は養成事業を委託している実績のある団体(聴覚障害者協会等)と十分な協議をされ、コミュニケーション支援事業が円滑に実施されるよう厚生労働省としても引き続きご高配をお願いします。

(4) 障害福祉計画の策定にあたっては、その検討段階で聴覚障害当事者が参画し、当事者のニーズが十分に反映されることが大切です。聴覚障害者が参画している事例を資料として紹介してください。
(別紙参照 中野区障害福祉計画策定委員会)
2、平成19年度予算における地域生活支援事業配分に関して
(1) 障害者自立支援法スタートの本年は、10月から来年3月までの6ヶ月間で200億円の予算が設けられています。平成19年度についても十分な予算の確保をお願いします。

(2) コミュニケーション支援事業につきましては、初年度の平成18年度は人口比率(障害者手帳所持者数)とこれまでの実績を勘案して予算配分されると伺っています。19年度の予算編成に当たっては、全都道府県・市町村で事業が十分に実施できるよう、各地の実情を十分に踏まえた予算措置を講じてください。

以  上