2005年11月11日

NHK
 会長 橋本 元一 様


東京都新宿区山吹町130 SKビル8F 
電話03-3268-8847・Fax.03-3267-3445
財 団 法 人 全 日 本 聾 唖 連 盟 
理 事 長 安 藤 豊 喜 


聴覚障害者の福祉施策への要望について



 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 日頃より、私ども聴覚障害者の福祉向上にご理解ご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
 さて当連盟は、本年5月29日北海道札幌市において第53回全国ろうあ者大会を開催しました。 この全国大会決議の趣旨に基づき、聴覚障害者の福祉に関し下記の通り要望いたしますので、 その早期実現をお願い申し上げます。





  1. テレビ放送享受の完全平等化を図るために、手話、字幕を付けた番組を拡大してください。
    (説明)  総務省が発表した2004年度の「字幕・解説・手話」放送状況によると、 NHKの字幕放送対応率は着実に増加しており、民放各局に比べても比率が高く、 貴局による字幕導入に対する努力が確実な数字となって現れています。 これは私たち聴覚障害者にとって非常に有意義であり、 評価しているところです。しかし一方、 対応可能な番組の放送時間に限ってみると比率は2.9%減となっています。
     また、先日の衆議院議員総選挙にかかる報道の際には、通常、 字幕放送に対応しているはずのニュース番組内において、 演説や選挙情報の部分には字幕が付与されておりませんでした。 NHKは中立・公平な立場で放送されており、 選挙の際には有権者にとってその報道は重要な判断材料・ 情報源となります。特に今回のように非常に注目された選挙において、 その部分だけ字幕が付与されないことは、 聴覚障害者に対する参政権の侵害といっても過言ではありません。 次回選挙においては必ず字幕を付与していただくよう強く要望いたします。
     今後は対応が後退することのないよう、 字幕放送増加に、更なる努力の継続をお願いいたします。 また、手話挿入の増加につきましても、積極的に検討をお願いいたします。

  2. 災害時の緊急テレビ放送を聴覚障害者にも分かるようにしてください。
    (説明)  聴覚障害者の場合、緊急災害時において、 その情報源はテレビ画面の文字情報のみとなります。 最近は、緊急災害時の情報をテレビ以外のホームページといった様々な情報媒体への情報掲載等、 工夫をいただいておりますが、やはり刻々と変化する情報を伝える際、 テレビの果たす役割は非常に大きいものがあります。 緊急災害時の字幕・手話放送の対応について、ぜひ検討ください。

  3. CSによる障害者放送に、NHKテレビ番組の利用を認めてください。
    (説明)  著作権法の改正がありましたが、 その法を弾力的に活用し聴覚障害者のテレビ視聴の更なる充実のためには、 尚一層の情報提供や協力体制が欠かせません。手話通訳者が常駐する、 という物理的に条件の整った聴覚障害者情報提供施設を活用し CS障害者専用放送で手話と字幕の挿入が可能であるため、 それを提供して聴覚障害者が見やすいようにCS放送での、 番組の利用を認めてください。 特に緊急災害放送において番組の利用を認めて下さい。

  4. ろう者の貴重な情報源である「手話ニュース」の放送時間の延長・ 時間帯の変更・放送回数の増加といった改善を検討してください。
    (説明)  手話を主なコミュニケーション手段とするろう者にとって、 この「手話ニュース」は馴染みやすい番組であり、 貴重な情報源です。現在「手話ニュース」は、 平日は13時からと20時45分からの2回放映、土・日につきましては、 19時55分からの1回放映となっておりますが、 働く聴覚障害者も見られるよう早朝及び深夜帯の時間での 「手話ニュース」の放送を検討いただく等、 「手話ニュース」の番組拡充を求めます。

  5. 「ろうを生きる 難聴を生きる」は再放送でなく、毎週1回の本放送にしてください。
    (説明)  毎年、回答で「予算の問題である」という説明をいただいておりますが、 この番組もろう者にとって大切な情報収集の一手段となっております。 視聴者から再放送要望の声の有無に関わらず一律に再放送を行うという今の形ではなく、 年間の作成本数を増やすといったような、改善をお願いいたします。

  6. 字幕挿入(リアルタイム)スポーツ中継番組の時間を拡大してください。
    (説明)  メジャーリーグなどのスポーツ番組は、 障害の有無に関わらず関心の高い番組であると思います。 聴覚障害者がリアルタイムに情報を得、その展開を楽しむためにも、 スポーツ中継番組への字幕挿入を積極的に図り、 番組時間の拡大していただけますようお願いいたします。



以  上