2004年9月16日
独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構
 理事長 征 矢 紀 臣 様
東京都新宿区山吹町130 SKビル8F
電話 03-3268-8847・FAX 03-3267-3445
財団法人 全日本聾唖連盟
理事長 安 藤 豊 喜


聴覚障害者の福祉施策への要望について


 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 日頃より、私ども聴覚障害者の福祉向上については、深いご理解とご配慮をいただき、厚くお礼申し上げます。
 さて、当連盟は、本年6月13日岩手県盛岡市において第52回全国ろうあ者大会を開催しました。
この大会決議に基づき、聴覚障害者の福祉に関し下記の通り要望いたしますので、早期実現を心からお願い申し上げます。





1.各企業が法定雇用率を達成できるように、また聴覚障害者の雇用拡大できるように強力なバックアップを図ってください。
(説明)
深刻な経済不況の中で、解雇やリストラにあい、苦しんでいる聴覚障害者が依然として存在しております。またリストラされた中高年障害者は、再就職もままならず、5年・10年もの長い間、失業中というケースも出ています。そのような中で法定雇用率未達成企業が50%を越え、また法定雇用率を守らない企業名が公表されるという残念な状況が報告されています。すべての企業が障害者の社会就労を助長する意味で法定雇用率を守れば、障害者の失業問題も改善される部分があるかと考えます。したがってこのような事態を改善するために下記の要望を実現してください。

(1) 「障害者の雇用の促進等に関する法律」を実効性のあるものとするために、企業納付金のあり方や雇用率改善を図ってください。
雇用率を達成するためには、企業名を公表するだけでなく、納付金制度の改善や平成20年までに障害者雇用数を60万人と設定した「新障害者基本計画」を実現させるためにも、雇用率のアップを検討してください。
各企業が積極的に聴覚障害者を雇用・職場定着できるように重度介助者助成金制度の中の手話通訳担当の委嘱を改善し、さらに使いやすい制度にしてください。
@等級制限をなくし、聴覚障害者の職場での情報・コミュニケーションを十分に保障していくものにしてください。
A企業が助成金を活用して手話通訳者が設置できるような助成金制度の弾力化を検討をしてください。
B情報が行き渡らず、コミュニケーションが十分でないために誤解されやすく、職場定着がままならない聴覚障害者を理解してもらうために、職場環境改善好事例集の普及や聴覚障害者職場定着マニュアルの改訂版の作成など図り、聴覚障害者を受け入れる環境の整備を指導してください。

2.障害者職業能力開発校に手話通訳者を派遣し聴覚障害者が学べる環境の整備を充実して下さい。
職業能力開発校は、新たに技術を身につけ、就職できるようにするために大切な場になっております。しかし大半の開発校では手話通訳者が設置されていないために、聴覚障害者は学ぶに学べません。ノーマライゼーション理念に添う職業教育環境を整備するためにも、すべての開発校への手話通訳者の派遣ができるように図ってください。

3.職場適応援助者(ジョブコーチ)制度をすべての障害者にも活用できるように、制度を拡充してください。
ジョブコーチ制度が本格化し、様々な障害者に活用され、大きな成果を挙げております。この事業をさらに充実させ、効果的なものとしていくため、大阪府の「ワークライフ支援事業(重度障害者職場定着相談員)」のように、職場定着指導や職業相談業務などを含めた重度障害者にも適用できるよう、制度の拡充とジョブコーチ人材の養成を図ってください。

4.高齢障害者が生きがいを持って社会貢献できるよう、「高齢障害者人材活用センター」の設立を検討してください。
高齢障害者も社会的貢献し生きがいを持った生活が送られることが望まれますので、シルバー人材センターと同じように聴覚障害者を含めた「高齢障害者人材活用センター」の設立を検討してください。

5.「聴覚障害者職域拡大等研究調査事業」の充実を図ってください。
2003年度より当連盟に委託され、2年目となります「職業別専門手話(今年度はITがテーマ)と聴覚障害者職場定着阻害要因調査(今年度は10企業訪問調査の予定)」は、昨年の実績をもとにしてさらに研究を深める内容で事業を実施しております。
来年度もこの事業を継続し、聴覚障害者の職域拡大につなげていけるよう事業の継続を要望します。

以 上