2004年9月24日

厚生労働大臣
坂 口   力 様

東京都新宿区山吹町130 SKビル8F
電話03-3268-8847・Fax.03-3267-3445
財団法人全日本聾唖連盟 
理事長 安藤豊喜

手話通訳事業への要望について

 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

 日頃より、聴覚障害者福祉の向上にご理解ご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。

 さて、ろう者の基本的なニーズは、手話コミュニケーションの保障にあります。それは働く権利、教育を受ける権利、政治参加の権利などすべての権利を実現するための必須条件であり、「権利保障の基盤」というべきものです。私たちはこれを理念として、手話の言語としての位置付けと、手話コミュニケーションの保障による「自己選択・自己決定」の基盤整備としての手話通訳制度の発展をめざし取り組んでいるところです。

 この考えは、貴省社会保障審議会障害者部会等の場でも主張させて頂いております。

 しかし、地方六団体による「国庫補助金等に関する改革案」では、障害者自立支援・社会参加総合推進事業が一般財源化のメニューにのせられています。これが実現すると、手話通訳事業も都道府県及び市町村での事業整備に委ねられることになり、地方自治体の限られた財源の中で、手話による情報・コミュニケーションの保障が地域のろう者のニーズに沿わず、後退することが懸念されますし、全国的な格差が生じるのは火を見るより明らかです。

 前述した「権利保障の基盤」は、国の責任においてなされるべきと考えます。手話通訳関係事業は、ろう者の社会参加に欠かせない事業であり、今後も、国が責任を持って実施するとともに、拡充策を講じていただきたく要望します。

以   上