2003年  9月  19日

日本障害者雇用促進協会
会長 椎 谷  正 様

                            財団法人 全日本聾唖連盟
理事長 安 藤 豊 喜

聴覚障害者の福祉施策への要望について

 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 日頃より、私ども聴覚障害者の福祉向上については、深いご理解とご配慮をいただき、厚くお礼申し上げます。
さて当連盟は、本年6月8日山梨県甲府市において第51回全国ろうあ者大会を開催しました。
 この大会決議に基づき、聴覚障害者の福祉に関し下記の通り要望いたしますので、早期実現を心からお願い申し上げます。

1. 助成金制度の改正にあたって重度障害者介助等助成金による手話通訳担当の委嘱制度を、聴覚障害者の就労現状にあった制度にしてください。

(1)企業が手話通訳者を採用・設置するための助成金として使えるよう、制度を弾力的に運用して下さい。

2. 職業能力開発校に手話通訳者を設置し、また社外研修や資格取得のための講習に手話通訳者を派遣できる制度を新設してください。

(1)毎年要望しているものですが、職業能力開発校は新たに技術を身につけ、就職できるようにするために大切な場になってきております。しかし手話通訳者が設置されていないために、聴覚障害者は学ぶに学べません。ノーマライゼーション理念に添う職業教育環境を整備するためにも、すべての開発校への手話通訳設置を図ってください。
(2)企業において社外研修や技術取得のための講習が増えております。聴覚障害者であっても働く意欲を持ち、仕事を続けていくためには、新しい技術や知識を身につけていかなければなりません。そのためにも、社外研修などへの手話通訳派遣できる制度を新設してください。

3. 聴覚障害者が職場での能力をより発揮できるよう、就労での障害を克服するために、目で見て確認できる機器を幅広く障害者作業施設設置等助成金制度の対象に加えて下さい。

〔説明〕
聴覚障害者の中には文章を正しく読み書きすることが困難な人が多く実在します。この方々が情報を獲得し、社内や社外とのコミュニケーションをスムーズにするためにも、会議や外部との連絡に「テレビ電話システム」は有効な手段です。また緊急時に大勢の社員から離れて作業を行うような聴覚障害者にとって「非常文字表示装置」類の目で確認できる機器が必要になりますので、このような目で見て確認できるシステムが幅広く使えるよう積極的に運用してください。

4. 聴覚障害者を積極的に雇用している企業に対して、手話講習会を開催できるよう積極的に働きかけてください。

5. 障害者雇用機会創出事業の積極的な周知と運用を行なってください。

〔説明〕
・厚生労働省から貴協会へ委託されているこの事業を理解している企業は、まだ少ないと思われるので、積極的にPRし、企業が積極的に活用できるように図ってください。
・事業予算を増やし多くの聴覚障害者がこの事業を活用できるようにしてください。

6. 職場適応援助者(ジョブコーチ)制度を重度聴覚障害者にも活用できるように、手話のできる人材育成を図ってください。

〔説明〕
 ・ジョブコーチ制度が本格化していく中で、あらゆる障害者への対応できることの人材育成に重点が置かれようとしております。重複聴覚障害者への対応できるためにもジョブコーチの条件に「手話ができる」ことや養成のカリキュラムに「手話」を取り入れられるようにしてください。
 ・社会福祉法人山口県聴覚障害者福祉協会や社会福祉法人大分県聴覚障害者協会では、この制度の委託を受けて効率的に事業を展開しております。障害者の実情に合わせて制度運営ができるよう聴覚障害者情報提供施設や聴覚障害者団体に委託できるようにしてください。 

7. 「職業別専門手話の開発・普及事業」(障害者職域拡大等研究調査業務)を継続事業にして下さい。

〔説明〕
この度は私たちの長年の要望をお汲み取りいただき、同事業を当連盟に事業委託して下さったことに対し、心より御礼申し上げます。同事業を今後の聴覚障害者雇用及び職場定着に役立てるためには、長期的継続事業にする必要がありますので、今後とも特段のご理解とご支援をお願い致します。 

                                         以 上