2002年9月25日

厚生労働大臣
坂口 力 様             

財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 安藤豊喜

「新生児聴覚検査事業の手引き」作成に関わる要望

時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
日頃より聴覚障害者への福祉向上にご理解とご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、6月21日付け「意見書」(別紙参照)でも触れましたように、今回の「手引」は新生児聴覚スクリーニングに留まらず、聴覚障害発見後の療育にまで踏み込んだ記述となっています。私ども当事者としては、療育としての「早期支援」の重要性を認識すればこそ、その内容については、種々懸念を持たざるをえません。
つきましては、下記ご検討いただき、是非とも私どもの要望をお聞きいただき、「手引き」に反映下さいますようお願い申し上げます。

1.「新生児聴覚検査事業の手引き」作成にあたっての基本的概念

 この「手引き」を作成する上で、その根底に据えるべき「障害」の概念については、WHOの「ICF」を基に記述いただきたい。
 1980年にWHOより発表された「国際障害分類(ICIDH)」が、新たに「ICF」と改訂されたことはご存知のことと思います。この「ICF」においては、「障害」の発生は「社会的環境・価値観等の意識的な環境が大きく影響する」ことが指摘されています。様々な「環境」という場面の影響が、「障害」を大きくも小さくもすると考えられます。
 「ICF」発表という国際的な意識変革のなかで出される「手引き」には、まさに聴覚障害発見の場に立たれる関係者が、「障害」について正しい概念が持てるように記述していただきたいと思います。

2.「手引き」作成委員会の委員に当事者である聴覚障害者を。

 今回の「手引き」は当事者の参加がないことで、その記述に偏りを感じるのは否めません。
 コミュニケーションや情報取得の記述等、正確な内容にするには、当事者である聴覚障害者の参加が不可欠です。
 特に両親へのカウンセリング・「早期支援」には、現に聴覚に障害を持って生活している者の意見が参考になるものと思います。

以   上