2002年10月8日

NHK
会長 海老沢勝二 様

財団法人全日本聾唖連盟
理事長 安藤豊喜

聴覚障害者の福祉施策への要望について

 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 日頃より、私ども聴覚障害者の福祉向上にご理解ご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
 さて、当連盟は、本年6月9日に沖縄県宜野湾市において第50回全国ろうあ者大会を開催しましたが、この全国大会決議の趣旨に基づき、聴覚障害者の福祉に関し下記の通り要望いたしますので、その早期実現をお願い申し上げます。

1.テレビ放送享受の完全平等化を図るために、手話、字幕を付けた番組を拡大してください。

(説明)字幕放送については郵政省の「字幕放送普及行政指針」によると、「2007年までに全ての番組に字幕を付与する」とあります。現在7時と9時のニュースが字幕付きで見られ、これは私たち聴覚障害者にとって非常に有意義であり、高く評価いたします。字幕挿入の技術は日々進歩しており、字幕を付けた番組を増やしてください。また、人的配置の面で物理的に課題のある手話挿入につきましても、更なる検討をお願いいたします。

2.聴覚障害者にも完全にわかる災害時の緊急テレビ放送を求めます。

(説明)最近は緊急災害時にも画面への文字表示に工夫をいただく等の努力をしていただいております。緊急災害のために事前に準備が困難な面があり文字表示が重視される傾向がありますが、1.の説明同様、字幕挿入の技術は進歩しており、リアルタイム字幕がどの程度可能であるかその検討も含め、今後の更なる努力の継続をお願いいたします。

3.CSによる聴覚障害者専用放送に、NHKテレビ番組の利用を認めてください。

(説明)著作権法の改正により、インターネット配信で文字表現することが可能になりましたが、実現した著作権法改正は聴覚障害者全体のものになっていないことは、昨年度の要望時に確認したとおりです。手話通訳者が常駐する、という物理的に条件の整った聴覚障害者情報提供施設を活用しCS専用放送で手話と字幕の挿入が可能であるため、聴覚障害者が見やすい情報が提供できるよう、番組の利用を認めてください。

4.「手話ニュース」の放送時間を延長し、時間帯を改善してください。

(説明)週間手話ニュースやこども向け手話ニュース等で手話関連のニュース枠が増えたため、時間延長実現の目処がたたない、という状況を昨年の交渉の際にご説明いただきました。手話を主な情報源とするろう者にとって、この「手話ニュース」は馴染みやすい貴重な番組枠です。働く聴覚障害者も見られるよう遅い時間への時間帯変更、および5分でも延長できるよう改善を求めます。

5.「聴覚障害者のみなさんへ」は再放送でなく、毎週1回の本放送にしてください。

(説明)昨年同要望を提出させていただいたおり、2002年度以降検討したい、という回答をいただいております。現時点でどのような方向が見込まれるか、ご説明をお願いいたします。

6.大相撲の放送では力士の四股名の文字表示にルビを付けてください。

(説明)相撲は見て分かりやすい競技であるため、テレビ観戦を楽しんでいる聴覚障害者は少なくありません。音声の情報が入らないため、四股名の読み方が分からない聴覚障害者が多くいます。ルビをふるようお願いします。

以   上