2003年2月20日

文部科学大
遠山敦子

東京都新宿区山吹町130 SKビル  8F
電話03-3267-8847 FAX03-3267-3445

財団法人全日本聾唖連盟
理事長 安藤豊喜

聴覚障害者の教育施策への要望について

 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
日頃より、聴覚障害者の福祉向上にご理解ご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。さて、当連盟は昨年6月9日沖縄県宜野湾市において第50回全国ろうあ者大会を開催しましたが、この全国大会の決議に基づき、聴覚障害児・者の教育に関し下記のとおり要望いたしますので、その早期実現をお願い申し上げます。

1.ろう学校〔ろう教育〕のあり方について

1)手話言語をろう教育の手段の一つとして積極的に肯定し,幼稚部を含めた全校的な手話指導が図られるようにしてください。
2)手話教育実践のために、ろう学校教職員が手話の研修付けをし、それを実践できるためのシステム整備に取り組んでください。

2.ろう学校〔ろう教育〕の教職員について

(1)ろう学校教員採用に際しては、ろう学校の専門性を尊重して、教育系大学等での手話、口話、聴能および聴覚障害問題に通じた専門教員の育成に力を入れ、その優先的採用を図るための具体的な対策を立ててください
また、聴覚障害者が教員採用試験を受ける場合は手話通訳等の保障をし、その実施が平等となるようにしてください。
(2)ろう教育についての専門的知識・経験を有し、かつ熱意を持つろう学校教員に対し、本人の希望に基づかない他校への強制異動の発令は行わないよう、都道府県教育委員会に指導してください。

3.ろう学校は、ろう団体、福祉・医療等の関係機関と連携を深め、地域の教育センターとしての役割を果たすようにしてください。

4.ろうと他の障害を併せ持つ重複障害児対策について

ろう重複障害児の特性に合わせた教育を一層充実させるとともに、その進路保障に取り組んでください。

5.聴覚障害者が入試等で差別されることがないよう、また、欠格条項によって入学が制限されていた医科大学等も含むすべての大学・短大・専門学校等の門戸の開放を行うと共に,入学後の手話通訳・ノートテイク等の情報保障を行ってください。

6.教育委員会主催の公的市民講座には、受講者の希望に応じて手話通訳・要約筆記員配置を図ってください。

7.「総合的な学習」について

地域の小学校や中学・高校などの総合的な学習の時間で手話講習や体験談などが行われており,聴覚障害者の講師依頼が多くなってきていますが、そのほとんどが無報酬となっています。学習指導要領にもある正規の授業なのできちんと予算化するよう教育委員会に指導をしてください。

8.文部科学省等のろう・聴覚障害者に関わる諮問機関や研究者会議のメンバーには、成人ろう者団体代表や聴覚障害教職員代表を必ず加え、その体験と意見を充分尊重した検討が行えるようにしてください。

9.文部科学省部内の手話の普及と聴覚障害者問題の啓発を行ってください。

以  上